12月25日まで、国内メーカー各社が在庫整理やモデル切り替えの影響で受注停止・値上げに動く中、まだ安い価格で購入できる日本HPのゲーミングPCをまとめて紹介します。HPは直販セールの割引率が高く、RTX 50シリーズ搭載モデルでも価格が抑えられているのが特徴で、同クラスの国内メーカー製品と比べてもコストパフォーマンスは明確に有利です。年末に向けてゲーミングPCの価格上昇が見込まれる今、値上げ前に確保しておくべき“買い時モデル”を厳選して解説します。
今ゲーミングPC市場で何が起きているのか

今回の混乱の引き金は、AIデータセンター需要の爆発的な増加によるメモリ(DRAM)とSSD(NANDフラッシュ)の供給不足です。
- 一部のメモリ製品は、わずか数ヶ月で価格が3倍近くに暴騰しています。
- メーカー側はパーツを確保できず、既存の注文分を捌くだけで精一杯という状況です。
弊サイトでも価格の予測はしていましたが、前倒しできてしまった感じです。
マウスコンピューターが受注を完全にストップ



マウスコンピューターは、想定を大きく上回る注文が集中したことを受け、パーツ在庫の逼迫および工場の生産キャパシティの限界を理由に、パソコン製品の受注を完全にストップしました。12月に同社が「早めの購入」を強く呼びかけていたこともあり、需要が一気に前倒しで発生した結果、影響は国内メーカーにとどまらず、外資系メーカーにも波及するほど大きな反響となったようです。
外資系メーカーへの影響も


12月23日、アフィリエイター向けイベントにて、日本HPの担当者から直接話を聞く機会がありました。
そこで得られた回答は、非常に示唆的な内容でした。
- 供給量自体は増えている
- ただし「今のところ」パンクしていない、というレベル
- SNSの影響は明確に感じている
- 企業努力は続けるが、来年は今より値上げする方向になる可能性が高い
つまり、日本HPはグローバルベンダーとしての供給力でまだ耐えられているものの、
市場全体は確実に“値上げ方向”に向かっている、というのが率直な見解でした。
値上げをユーザーにイメージとして植え付けると何が問題なのか
本来、PCは「道具」であり、購入時には利用シーン全体を通した体験、たとえば性能の余裕、安定性、サポート体制、買った後の安心感まで含めて選ぶべき製品です。
しかし、値上げが意識される局面では、「今買わなければ損をするかもしれない」という心理が先に立ち、本来重視すべき体験価値よりも、価格を基準にした選択へと判断軸がずれてしまいがちです。
値上げのイメージはメーカーだけが作り出したものではない

値上げのイメージは、必ずしもメーカー自身が最初に作り出したものではありません。
多くの場合、その空気感は評論家やメディア、そしてSNSを通じて形成されていきます。
今回の発端も、どうやらメモリをはじめとしたDRAM価格の上昇が実行されるらしい、という業界情報から始まりました。それが、マウスコンピューターのXでのポストによって、あたかも「確定事項」であるかのように伝えられたことで、一気に可視化された側面があります。そして、この種の情報は強いインプレッションを生みやすい。
なぜなら、人は「どれくらい値上がりするのか分からない」という不確実性そのものに、強い心理的プレッシャーを感じるからです。
これは、株式市場が暴落している最中に、「このまま下がり続けるかもしれない」という不安から、本来であれば耐えられるはずの含み損を、感情的に確定させてしまう行動と極めてよく似ています。
つまり、将来の不確実な損失を回避するために、今この瞬間の損失(あるいは判断の歪み)を受け入れてしまう状態です。
行動経済学的に見れば、これは損失回避が過剰に働いた結果であり、「だからこそ損切りが必要になる」というトレードの原則と、ほぼ同一の構造に近似しています。
メディアやインフルエンサーによる増幅
こうした背景のもとで、大手メディアやインフルエンサーが、それぞれの立場や思惑から「値上げ」というテーマに言及することで、この話題はさらに増幅されていきました。
結果として、値上げに関する情報は短期間で大量のインプレッションを獲得し、市場全体に「今後は高くなる」という空気感が広がっていきます。
価格についての言及は、言ってしまえばPCの具体的な使い方やブランドの思想、製品そのものが持つ価値を深く理解していなくても成立する、最も分かりやすい切り口です。
誰でも発信でき、かつ誰にとっても直感的に理解しやすいため、SNSとの相性が極めて良いテーマでもあります。
その結果、本来であれば語られるべき「どんな用途に向いた製品なのか」「長期的に見てどんな体験が得られるのか」といった情報よりも、価格変動という単一の要素だけが切り取られ、過度に拡散されていきました。
これは、SNSが持つ「分かりやすい情報ほど拡散され、複雑な文脈ほど削ぎ落とされる」という、あまり良くない特性が表面化した例だと言えるでしょう。
マウスコンピューターの「やらかし」の本質的な問題点

今回、マウスコンピューターのSNS運用において起きた問題は、単なる情報発信上のミスではありません。本質的な問題は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、供給ショックを自ら引き起こし、本来自社が得られるはずだった利益を競合に渡してしまった点です。
値上げが確定事項であるかのような情報を先行して発信した結果、市場では「今すぐ買わなければ損をする」という心理が一気に広がりました。しかし、マウスコンピューター自身が十分な供給力を確保できていない状態でこのメッセージを出してしまったため、需要の受け皿になれなかった。
その結果、前述のとおり、まだ供給余力のある日本HPなどの競合メーカーが注文を吸収する構図が生まれています。
これはマーケティングの観点で見れば、自社ブランドへの関心を高めながら、実際の売上は他社に流すという、最も避けるべき展開です。
2つ目は、顧客満足度を中長期的に下げてしまうリスクです。
マウスコンピューターは本来、アフターサポートやカスタマイズ性といった部分に強みを持ち、価格だけではなく「安心して長く使える体験」によって選ばれてきたメーカーです。
そのため、本来であれば価格先行で選ばれるブランドではありません。
しかし、「値上げ前に買わなければ損をする」という文脈でメーカーが選ばれてしまうと、ユーザーの購買動機は歪みます。
その結果、
- 他社の方が結果的に安かった
- 本当は別の用途には向いていなかった
- 値上げと言われたから仕方なく買った
といった、ユーザー自身が承認していない不満が、購入後に噴出しやすくなります。
こうした不満は最終的に、「メーカーがそう言ったから」「メーカーの説明が悪かった」という形で、他責的にブランド側へ向けられます。
これは短期的な販売促進どころか、本来積み上げてきた信頼と満足度を削る行為になりかねません。
まだセール価格で買える日本HPのゲーミングPC
値上げ前の大本命 OMEN 16L インテル

特に値上げの影響を受けやすい VRAM 16GBのGPUと32GBメモリといった豪華パーツを最初から搭載している構成のため、今後の価格改定を考えると現時点で最もお買い得感が強いモデルです。同等スペックは今後確実に価格が上がると見られており、あとから同じ性能をこの価格で手に入れるのはほぼ不可能になります。「どうせ買うなら値上げ前に確保しておきたい」と考えている方にとって、今このタイミングで選ぶべき一台と言えるでしょう。
4Kゲーミングならコレ

4Kゲーミング環境を前提にするなら、OMEN 35L(Intel)パフォーマンスモデル v2はいま“値上げ前に押さえるべき”大本命です。RTX 5070にメモリ32GB、SSD 2TBという、今後特に値上げ幅が大きくなりやすい主要パーツをすべて高水準で揃えた構成にもかかわらず、30万円を切る価格帯で購入できるのは今だけ。最新AAAタイトルの4K高設定はもちろん、配信・動画編集・生成AIなどの重たい用途にも余裕で対応でき、長く使える完成度の高い1台です。4KゲーミングPCを検討しているなら、在庫と価格が動く前にこのモデルを選ぶ価値は非常に高いと言えます。
レビュー記事を見る(RTX5070Ti版です)
