1月6日、Dell Technologiesは、新しいAI搭載PCポートフォリオを発表しました。この「未来のPC」を掲げる製品群には、エンドユーザーの生産性やクリエイティビティを向上させるオンデバイスAI機能が盛り込まれています。さらに、開発者やIT管理者にとってAIアプリケーションの構築や展開が簡単になるツールも提供されているとのこと。
「PCは生涯で最も重要な生産性デバイス」
複雑な購入体験を「簡単」に
Dellの調査によれば、74%の消費者が購入プロセスに圧倒されて買うのを諦めた経験があるそうです。これを受けて、DellはPCブランドを3つのカテゴリに再編しました:
- Dell:日常的な学業や仕事、遊び向け
- Dell Pro:プロフェッショナル向けの生産性重視モデル
- Dell Pro Max:高性能を求めるパワーユーザー向け
これにより、消費者が「適切な製品を選びやすく」なるとのこと。確かに、名前のシンプルさは歓迎ですが、肝心の製品選びが本当に簡単になるかどうかは未知数です。少なくとも、「Dell Pro Max」という名前がどれだけパフォーマンスを保証してくれるのか、慎重な目で見たいところです。
総評:中華企業との熾烈な争いは今後も続く
一連の新ブランド戦略を外から見ていると、Dellは長年の低価格路線による利益率の低下と、中国系企業(特にLenovo)との激しい価格競争を抜け出したいという狙いがあるように思えます。InspironはSNSでも“コスパ最強”として知られ、高い知名度を誇ってきましたが、安いから売れるという戦略は結局、さらなる低価格を武器とするライバルとの消耗戦になりやすい。その構造から抜け出すには、ブランド全体を見直さざるを得なかったのでしょう。
近年のプロセッサ性能向上により、従来ほど用途別に細かくモデルを分けなくても、多くのニーズに応えられるようになったことも大きな要因です。これによって、複数ブランドやシリーズを並行して維持しなくても製品クオリティを一定レベル以上に保てる時代になった。さらにAIのような新しいニーズにも対応しやすくなり、従来バラバラにかかっていたマーケティング費用を統合すれば、同じ価格帯でも製品の品質やサポートを引き上げられる可能性が生まれます。
結局のところ、Dellとしては『安さ』だけを打ち出すのではなく、全体のブランドイメージを統一しながら製品価値を高める方向へ舵を切ったといえるのではないでしょうか。そうすることで、単純な低価格競争に巻き込まれにくい体質への転換を狙っているように見えますし、ユーザーも迷わずに選びやすくなるというメリットを打ち出そうとしていると感じますね。