Core Ultra 7 255Hを搭載したクリエイターノートPC4機種(DAIV Z4/Yoga Pro 7i/Dell 14 Premium/OmniBook 16-ay)を横並びで比較し、「どんな作業にどれが向くのか」を用途別に整理します。CPU性能は近い一方で、実際の使い勝手はディスプレイ品質・冷却設計(静音性)・GPU構成・携帯性で大きく差が出ます。本記事ではスペックだけでなく、制作現場で効くポイントに絞って、あなたに合う1台を選べるように解説します。
Core Ultra 7 255Hの概要

Core Ultra 7 255Hは、Intelのノート向け上位クラスに位置する高性能CPUです。最大で115W級の電力まで使える設計になっており、薄型ノートよりも「冷却と電力に余裕のある筐体」で実力を発揮しやすいのが特徴です。
ただし、ノートPCは多くの場合、ACアダプタが約100W前後で設計されており、CPUが常に115Wで動き続けるわけではありません。実際の性能は、メーカーが設定する電力制限(PL)や冷却設計によって変わり、同じ255H搭載でも機種ごとに体感差が出るポイントになります。
性能面では、事務作業やリモートワークはもちろん、RAW現像・FHD動画編集・CADソフトといった“それなりに重い専用ソフト”も快適に動かせるクラス。マルチコア性能が効く作業(現像の一括処理、エンコードなど)でも余裕が出やすいです。
内蔵GPU(Intel Arc系グラフィックス)は、8K映像出力に対応し、動画のエンコード/デコード支援も備えています。これにより、動画視聴や編集時のプレビュー、さらにリアルタイム配信などでも、CPU単体より負荷を分散しやすいのが強みです。
比較機種について

DAIV Z4(マウスコンピューター)

マウスコンピューターのクリエイター向けブランド「DAIV」から発売されている14型ノートPC。重量は約1.12kgと軽量で、持ち運び前提のモバイル×クリエイティブ用途に振ったモデルです。外出先で編集や制作作業を進めたい人に向きます。
Dell 14 Premium(デル)

デルのプレミアムノートPC。14.5型のサイズ感と、所有欲を満たすデザイン・筐体品質が魅力です。加えて、品質の高いディスプレイを重視したい人に刺さりやすく、「見た目・触り心地・画面の良さ」で満足度を取りに行くタイプのモデルです。
OmniBook 16-ay(日本HP)

日本HPのハイスペック・スタンダードノートPC。16型の大画面で作業領域を確保でき、ビジネス用途からクリエイティブ用途まで幅広くカバーしやすいポジションです。自宅やオフィス中心の運用で、画面サイズを優先したい人に向きます。
Yoga Pro 7i Gen 10(Lenovo)

14.5型のクリエイター向けノートPC。標準で3K OLEDパネルを搭載し、映像・写真編集やコンテンツ視聴の満足度が高いのが強みです。画面品質と性能バランスの良さから、コスパ重視でクリエイター寄りの1台を選びたい人向けのモデルです。
CPU性能について

Cinebench R23の結果を見ると、今回の比較では16型モデルが有利という傾向になりました。理由はシンプルで、ノートPCは筐体サイズが大きいほど内部スペースに余裕が生まれ、放熱設計を強化しやすいからです。冷却に余裕がある機種ほど、CPUが高い電力で動作する時間を伸ばしやすく、結果としてマルチコアスコアが伸びやすくなります。
また、同じCPUを搭載していても、メーカーごとの電力設定(PL)や冷却制御の方針によってスコアは変わります。さらに今回のように比較対象の中にCPUのスペックが異なるモデルが含まれる場合は、その差もベンチマーク結果に反映されます。
つまり、Cinebench R23の数値は「CPUの素の性能」だけで決まるものではなく、筐体サイズ・冷却設計・電力設定・CPU構成といった要素が複合的に効いてくる、ということです。長時間の高負荷作業(動画編集やレンダリング)を想定するなら、こうした“筐体の余裕”がある16型が有利になりやすい点は押さえておきたいところです。
動画のエンコードスピードについて

今回の「動画エンコード」テストは、YouTubeにアップした13分の動画を素材に、編集ソフトのYouTubeプリセット(H.264)で書き出したときの処理時間を比較したものです。グラフの数値は完了までにかかった時間(秒)を表しており、数値が小さいほど書き出しが速い=エンコード性能が高い、という見方になります。
実際の結果は、Yoga Pro 7i Gen 10が178秒で最速、続いてDell 14 Premiumが230秒、OmniBook 16-ayが234秒、DAIV Z4が261秒という順番でした。つまり、同じ13分動画を同じプリセットで書き出しても、機種によってエンコード時間には差が出る、ということです。
バッテリーの駆動時間

UL ProcyonのVideo Playback(ビデオ再生)テストでは、DAIV Z4が最もバッテリー持続時間が長いという結果になりました。グラフを見ると、DAIV Z4は1,085分と突出しており、同じCore Ultra 7 255Hクラスのノートでも「動画を流しっぱなしにしたときの持ち」は機種ごとに大きく変わることが分かります。
この差は、単純にバッテリー容量(Wh)だけで決まるわけではありません。ディスプレイの仕様(解像度・パネル特性・輝度)、省電力制御、筐体の設計方針などが積み重なって、動画再生時の消費電力が変わるためです。実際、バッテリー容量がより大きい機種でも、画面が高解像度だったり消費電力が高い設計だと、再生時間が伸びにくいケースがあります。
つまり、外出先での視聴や作業の合間に動画を流すような使い方をするなら、DAIV Z4のように動画再生での省電力性能が高いモデルは明確な強みになります。
ピーク時のファンの駆動音の比較

ピーク時の騒音レベルは、Windowsの「電源とパフォーマンス」を最適なパフォーマンスに設定したうえで、Cinebench R23を10分間ループさせ、CPU使用率を100%に張り付かせた状態で計測しました。つまり、日常用途ではなく、レンダリングや長時間のエンコードのように負荷をかけ続けたときに、各機種の冷却ファンがどれくらいの音量になるかを見たテストです。
結果は、Dell 14 Premiumが44.2dBAで最も静かで、次いでOmniBook 16-ayが45.1dBA、Yoga Pro 7iが45.8dBAという順番でした。一方、DAIV Z4は50.5dBAと最も高く、同じ高負荷でもファンの回転数が上がりやすい傾向が見えます。
この差は「冷却性能の優劣」というより、メーカーのチューニング方針(温度を優先して回すのか、静音を優先して温度上昇を許容するのか)や筐体設計の違いが反映されたものです。静かな環境で作業することが多い人は、ベンチスコアだけでなく、こうした高負荷時の騒音レベルも重視して選ぶのが確実です。
5項目まとめ順位(2026年2月時点)

価格(安い順)
- Yoga Pro 7i:¥209,209
- OmniBook 16-ay:¥224,800〜
- DAIV Z4:¥269,800〜
- Dell 14 Premium:¥347,400
CPU性能(Cinebench R23 マルチ:高い順)
- OmniBook 16-ay:19,176
- Yoga Pro 7i:17,796 ※グラフはCore Ultra 9 285H表記
- Dell 14 Premium:16,741
- DAIV Z4:15,992
動画エンコード(YouTubeプリセットH.264:速い順=秒が短い順)
- Yoga Pro 7i:178秒
- Dell 14 Premium:230秒
- OmniBook 16-ay:234秒
- DAIV Z4:261秒
バッテリー(UL Procyon Video Playback:長い順)
- DAIV Z4:1,085分
- Dell 14 Premium:625分
- Yoga Pro 7i:624分
- OmniBook 16-ay:586分
ファン騒音(高負荷ピーク:静か順=dBAが低い順)
- Dell 14 Premium:44.2dBA
- OmniBook 16-ay:45.1dBA
- Yoga Pro 7i:45.8dBA
- DAIV Z4:50.5dBA
総合順位(5項目を均等に見た目安)
- Yoga Pro 7i:価格とエンコードが強い(総合のバランス型)
- OmniBook 16-ay:CPU性能と価格のバランスが良い(実務向け)
- Dell 14 Premium:静音+バッテリーは優秀だが価格がネック
- DAIV Z4:バッテリー最強。ただし高負荷時の騒音と性能/速度面で不利
FAQ

Q1. Core Ultra 7 255Hって結局どのくらいの性能?
A. 事務作業やリモートワークは余裕で、RAW現像・FHD動画編集・CADなど“そこそこ重い作業”まで対応できるクラスです。ただしノートPCは電力設定(PL)と冷却設計で性能が変わるため、同じ255H搭載でも機種差が出ます。
Q2. Cinebench R23のスコア差は何が原因?
A. CPUそのものだけでなく、**筐体サイズ・冷却・電力制限(PL)**の影響が大きいです。特にマルチコアは放熱に余裕があるモデルほど伸びやすく、同CPUでも差が出ます。
Q3. 動画編集なら「CPU性能が高い機種」を選べばOK?
A. 半分正解で、半分は違います。エンコードやレンダリングはCPU性能が効きますが、実作業の快適さはメモリ容量・SSD速度・冷却(長時間で落ちないか)・画面の見やすさも重要です。
Q4. YouTubeプリセットの書き出し時間が機種で違うのはなぜ?
A. 同じプリセットでも、PC側の電力制御・冷却・ドライバ最適化で処理速度が変わります。さらに、テスト対象にCPUが異なる個体が混ざる場合は、その差も結果に反映されます。
Q5. バッテリー容量(Wh)が大きければ必ず長持ち?
A. いいえ。バッテリー持ちはWhだけでは決まりません。**ディスプレイ(解像度・輝度・パネル特性)**や省電力制御、バックグラウンド動作などで消費電力が変わるため、容量が大きくても短い機種はあります。

Q6. 高負荷時の騒音(dBA)はどれくらい気にすべき?
A. 動画編集やレンダリングを頻繁に行うなら重要です。静かな部屋で作業する人ほど、ピーク騒音が高いとストレスになりやすいです。逆にヘッドホン常用なら優先度は下がります。
Q7. 14型/14.5型と16型、どっちがクリエイター向き?
A. 作業効率は16型が有利になりやすいです(タイムラインやUIが広く取れる)。一方で持ち運び重視なら14〜14.5型が便利。自分の利用シーン(外出多めか据え置きか)で決めるのが合理的です。
Q8. OLEDは編集に向く?デメリットは?
A. 発色やコントラストが強く、映像視聴やクリエイティブ用途で満足度が高い反面、反射や表示特性の好み、長時間表示に対する不安(焼き付き懸念)などで評価が分かれます。気になる人は非光沢IPSも選択肢です。
Q9. メモリは32GB必要?
A. 255H搭載クラスを選ぶなら、動画編集やRAW現像を想定して32GBを推奨します。軽作業中心なら16GBでも動きますが、長く使う前提なら余裕を持たせた方が快適です。
Q10. 結局どれを選べば失敗しない?
A. 迷ったら、まずは「優先順位」を決めるのが近道です。
- 価格と総合バランス重視 → Yoga Pro 7i
- CPU性能と価格バランス重視 → OmniBook 16-ay
- 静音性重視 → Dell 14 Premium
- 動画再生バッテリー重視 → DAIV Z4
