レノボ公式オンラインストアにて、AI開発向けの小型ワークステーション「ThinkStation PGX」が売り切り特別価格で販売されています。
販売価格は税込929,830円・送料無料です。
ThinkStation PGXは、NVIDIA Grace Blackwellアーキテクチャを採用した「NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchip」を搭載する、一般的なミニPCとはまったく性質の異なる製品です。
128GBのユニファイドメモリと4TB SSDを備えており、大規模言語モデルの推論やファインチューニング、AIエージェントの開発などをローカル環境で行いたい研究者・開発者向けのパーソナルAIワークステーションとなっています。
在庫限りの販売となっているため、導入を検討していた法人やAI開発者はチェックしておきましょう。
ThinkStation PGXの販売価格

今回販売されている構成は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | ThinkStation PGX |
| プロセッサ | NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchip |
| GPU | NVIDIA Blackwell GPU |
| メモリ | 128GB LPDDR5X-8533MT/s ユニファイドメモリ |
| ストレージ | 4TB M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 SSD |
| OS | NVIDIA DGX OS |
| 無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth |
| 電源 | 240W |
| 保証 | 3年間プレミアサポート |
| 本体カラー | サンダーグレー |
| 販売価格 | 税込929,830円 |
| 送料 | 無料 |
一般的なデスクトップPCとして考えると非常に高額ですが、GPUメモリ容量が求められるローカルAI開発用マシンとして見ると、比較対象はゲーミングPCではなく、複数GPUを搭載したワークステーションやクラウドGPU環境になります。
NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchipを搭載
ThinkStation PGXの最大の特徴は、NVIDIAの「GB10 Grace Blackwell Superchip」を搭載していることです。
GB10はBlackwell世代のGPUと20コアのArm CPUを統合したAI開発向けプロセッサで、FP4精度・スパース性を利用した場合、理論上最大1PFLOP、1,000TOPSのAI演算性能を備えています。
CPUは以下の20コア構成です。
- Cortex-X925:10コア
- Cortex-A725:10コア
GPUには第5世代Tensorコアを採用したBlackwellアーキテクチャが使われています。CUDAコア数は6,144基で、LLMの推論や生成AIアプリケーションの検証に適した設計です。
ただし、記載されている1PFLOPはFP4精度とスパース性を利用した理論性能です。一般的なPC向けGPUのFP32性能やゲーム性能と単純比較できる数値ではありません。
128GBのユニファイドメモリを搭載
ThinkStation PGXは、128GBのLPDDR5Xユニファイドメモリを搭載しています。
一般的なデスクトップPCではCPU用のシステムメモリとGPU用のVRAMが分離されていますが、本製品ではCPUとGPUが128GBのメモリ空間を共有します。
メモリインターフェースは256bit、メモリ帯域幅は273GB/sです。
大規模なAIモデルをローカル環境で扱う場合、GPUの演算性能だけでなく、モデル全体を展開できるメモリ容量が重要です。
ハイエンドGPUでもVRAM容量は限られているため、モデルによってはCPUメモリへのオフロードや複数GPU構成が必要になります。128GBのユニファイドメモリを搭載するThinkStation PGXは、こうしたメモリ容量の制約を受けにくい点が強みです。
なお、128GBすべてを常にGPU専用メモリとして利用できるわけではなく、OSやシステム処理でも使用されます。
最大2000億パラメータのAIモデルに対応
レノボとNVIDIAは、ThinkStation PGXおよび同じGB10プラットフォームについて、最大2000億パラメータのAIモデルに対応すると説明しています。
NVIDIAの案内では、主な用途は次のように整理されています。
- 最大700億パラメータのモデルのファインチューニング
- 最大2000億パラメータのモデルの推論、検証
- AIエージェントの開発
- データサイエンス
- ロボティクス、コンピュータービジョン
- クラウドやデータセンターへ展開する前のプロトタイプ作成
NVIDIAによると、700億パラメータまでのモデルのファインチューニングと、2000億パラメータまでのモデルの推論・検証を想定しています。
ただし、「最大2000億パラメータに対応」という表現は、すべてのモデルを最高速度・最高精度で実行できるという意味ではありません。
実際に動作するモデルサイズや速度は、量子化方式、コンテキスト長、推論フレームワーク、メモリ使用量などによって変化します。
NVIDIA DGX OSとAIソフトウェア環境を搭載
OSには、Windowsではなく「NVIDIA DGX OS」が採用されています。
さらに、NVIDIAのAIソフトウェアスタックに加えて、PyTorchやJupyterなどのAI開発で使われるツールやフレームワークが利用できる構成です。
通常のPCにLinuxやCUDA、各種ライブラリを個別に導入して環境を構築する方法と比べて、AI開発用の環境を立ち上げやすいことがメリットです。
ローカル環境でモデルの試作や検証を行い、その後NVIDIA GPUを利用するクラウドやデータセンター環境へ移行する、といった開発フローも想定されています。
4TBのNVMe SSDを搭載
ストレージには4TBのPCIe Gen4 NVMe SSDを搭載しています。
大規模言語モデルは、モデルデータだけで数十GBから100GBを超える場合があります。
複数のモデルや量子化方式、データセット、Dockerコンテナなどを保存することを考えると、AI開発用マシンではストレージ容量も重要です。
4TB SSDを標準搭載しているため、複数のモデルをローカルに保存して検証したいユーザーにも対応しやすい構成です。
小型筐体ながら本格的なAI開発環境を構築できる
GB10を採用したNVIDIA DGX Sparkプラットフォームの本体サイズは、約150×150×50.5mm、重量は約1.2kgです。
一般的な高性能ワークステーションと比較すると、非常に小型です。
複数の大型GPUを搭載するワークステーションでは、大型ケースや高出力電源、強力な冷却機構が必要になります。
一方、ThinkStation PGXは240Wの外付け電源で動作するため、研究室やオフィスのデスク上にも設置しやすい点が魅力です。
ネットワーク面ではWi-Fi 7や10GbEに加えて、ConnectX-7も備えています。対応する2台のシステムを接続すると、最大4050億パラメータのモデルを扱えるとされています。
ThinkStation PGXがおすすめのユーザー
本製品がおすすめなのは、次のようなユーザーです。
ローカル環境で大規模言語モデルを動かしたい人
クラウドへ社内データや研究データを送信せず、ローカル環境でAIモデルを検証したいユーザーに適しています。
機密性の高いデータを扱う企業や研究機関にとって、手元で推論や検証を完結できることは大きなメリットです。
AIモデルやAIエージェントを開発する人
LLMの推論だけでなく、ファインチューニングやRAG、AIエージェント、コンピュータービジョンなどの開発にも利用できます。
クラウドGPUの利用料金を継続的に支払う代わりに、ローカルの検証環境を保有したい開発者にも候補となります。
コンパクトなAIワークステーションが必要な法人
大型タワー型ワークステーションを設置するスペースがない環境でも導入しやすい点が特徴です。
3年間のプレミアサポートが付属しているため、業務用途で導入しやすい構成となっています。
購入前の注意点
ThinkStation PGXは非常に特徴的な製品ですが、一般ユーザー向けのPCではありません。
Windows PCではない
OSはNVIDIA DGX OSで、CPUもArmアーキテクチャです。
一般的なWindows用ソフトウェアをそのまま利用するPCではないため、事務作業、ゲーム、一般的な動画編集用PCとして購入する製品ではありません。
AIモデルの実行速度はモデルによって異なる
128GBのメモリを搭載しているため大きなモデルを展開できますが、メモリ容量が大きいことと処理速度が速いことは別の話です。
小~中規模モデルの単純な生成速度では、高性能なGeForce RTX搭載PCが有利になるケースも考えられます。
ThinkStation PGXの強みは、一般的なコンシューマーGPUではVRAM容量の関係で搭載しにくい、大規模なモデルをローカルで扱える点です。
用途が明確な人向け
税込92万円を超える製品なので、「生成AIを試してみたい」という段階のユーザーにはオーバースペックです。
使用するモデル、フレームワーク、必要なメモリ容量、クラウド利用料金などを計算したうえで導入を判断する必要があります。
新モデルはPCIe Gen5 SSDを採用する一方、価格は約198.7万円

現在、ThinkStation PGXには新しい構成も販売されています。
今回の売り切り特価モデルと新モデルを比較すると、画面上で確認できる主な違いはSSDの規格です。
| 構成 | SSD | 販売価格 |
|---|---|---|
| 売り切り特価モデル | 4TB PCIe Gen4 SSD | 929,830円 |
| 新モデル・2TB構成 | 2TB PCIe Gen4 SSD | 1,767,040円 |
| 新モデル・4TB構成 | 4TB PCIe Gen5 SSD | 1,987,040円 |
新しい4TBモデルでは、SSDがPCIe Gen4からPCIe Gen5へ高速化されています。
一方、販売価格は税込1,987,040円です。売り切り特価モデルの929,830円と比較すると、価格差は1,057,210円にもなります。
新モデルは旧モデルの約2.1倍の価格です。
もちろん、PCIe Gen5 SSDは大容量データの読み書きや複数のAIモデルを扱う際に有利です。しかし、ThinkStation PGXの中核となる以下の仕様は、掲載されている構成を見る限り共通しています。
- NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchip
- NVIDIA Blackwell GPU
- 128GB LPDDR5Xユニファイドメモリ
- NVIDIA DGX OS
そのため、SSDの最大転送速度よりも、GB10と128GBメモリを使ったAI開発環境を安く導入することを優先するなら、今回の売り切り特価モデルは非常に割安です。
特に4TBのストレージ容量は維持されているため、PCIe Gen4 SSDでも問題ないユーザーにとっては、約93万円の旧モデルを選ぶメリットが大きいでしょう。
まとめ 在庫があるなら旧モデルのコストパフォーマンスが圧倒的
ThinkStation PGXの新しい4TBモデルは、PCIe Gen5 SSDを搭載する一方、販売価格は税込1,987,040円まで上昇しています。
今回の売り切り特価モデルはSSDがPCIe Gen4となるものの、同じくNVIDIA GB10、128GBユニファイドメモリ、4TB SSDを搭載しながら、価格は税込929,830円です。
新モデルとの差額は約106万円となっており、売り切り特価モデルなら新モデルの半額以下で購入できます。
ストレージ速度を最優先するユーザーには新モデルが適していますが、ローカルLLMの推論やAIエージェント開発、ファインチューニング環境をコストを抑えて構築したいなら、旧モデルのほうが圧倒的に高コスパです。
在庫限りで販売終了となる可能性が高いため、ThinkStation PGXの導入を考えていた法人やAI開発者は、在庫が残っているうちに確認しておくことをおすすめします。
