デルが販売するInspiron 13 5310は13.3型のモバイルノートPC。直販サイトのセール時に価格が7万円台から購入可能ということもあり、インテルモデルを選びたいユーザーやUSB-Cからの充電に対応したノートPCが欲しいユーザーからの人気が高い。
今回、メーカーより実機をレンタルできたのでベンチマーク結果や使い勝手を検証していく。
スペック
検証モデルはCore i7 11370H/16GB/1TB/の構成
DELL Inspiron 13 5310 | |
---|---|
モニター |
|
CPU |
|
iGPU |
|
メモリ |
|
SSD |
|
サイズ(幅×奥行×厚さ) | 幅約296.78mm×奥行き約210mm×高さ約15.9mm |
バッテリー持続時間 | – |
充電タイプ | 65WUSB-C/ACアダプター |
重量 | 約1.25kg |
保証 | 標準保証・1年間の引き取り修理 |
使用・詳細はDELL公式ページから確認してください。
特徴
動画で見る
フルサイズスケール対応のキーボード、16:10のアスペクト比のモニターを採用
Inspiron 13 5310は13.3型ながらキーピッチは19mmほどでフルサイズスケールを採用している。従来までのモデルとは違い、キーボードを筐体ギリギリまで配置することで可能にした設計が非常に魅力的で技術力の高さがうかがえる。
キーボードの打鍵感については上位モデルのような抜群の打ち味、というわけではないが、USキーから日本語に切り替えたような配列も改善されており、エンターキーや矢印キーが大きく取られているため、文書ファイルの作成もしやすいだろう。
また、モニターの解像度はベースが1920×1200ドットのフルHD+から選択できる。今回の検証機はさらに上の2560×1600ドットで高級モデルと遜色ない作業領域を手に入れることができる。
一般的な16:10などのワイドアスペクト比モニターよりも縦に長いアスペクト比のメリットはウェブの閲覧などの縦スクロールを必要とする作業の快適性が向上し、作業効率が14型や15.6型の16:10のモニターと同等クラスの作業性を手に入れられるような感じだ。
価格は安い、見た目は高級
Inspiron 13は本体カラーにプラチナシルバーを採用。天板の素材はアルミニウム合金で作られている。目で見て、手で触れてその高級感が伝わるようになっている。シンプルなデザインで万人に受け入れられやすい上に高級感があるので、安い価格とは思えないほどのつくりだ。
ビジネスワークで持ち運びを検討しているユーザーには一度チェックしてもらいたいノートPCだ。
USB-C(Thunderbolt 4)対応ポートが2つ
Inspiron 13 5310は標準でUSB-C (Thunderbolt 4)に対応している。PCに詳しいユーザーであれば、低価格モデルながらThuderbolt 4に対応していることに驚くかもしれないが、Core i3からしっかりThunderbolt 4に対応している。
インテル第11世代はCore i3 1125G4プロセッサからしっかりと4コア対応をしているため、現状のインテルCPUの構成を考えると、高いモデルを選ぶメリットが薄い感じがある。
Inspiron 13 5310はセール時でエントリーモデルが税込7.5万円ほどで購入できる。ビジネス文書の作成やビデオ通話を利用したテレワークを用途としてモバイルノートPCを購入するのであれば非常に良い選択肢だと感じる。
Inspiron 13 5310
公式サイトでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。
デザイン・外観
Inspiron 13 5310のキーボード側で目に付くのはベゼルはばの薄さだろう。市場の中ではモニターがわのふちが薄いナローベゼルデザインが主流だが、XPSシリーズでその流れを作ったデルが10万円以下のモデルでも再現している。
もちろんモニターだけでなく、前述のキーボードやボディそのものの薄さが際立っており、非常にスタイリッシュな印象だ。
底面側も素材はアルミニウム素材が使われている。カラーはグレーで天板側と比較するとさらに落ち着いた印象がある。裏蓋は精密ドライバーで開封可能ではあるが、おそらくオンボードメモリ(マザーボードを直付けしているため増設不可)なので、クリエイティブワークまで見据えて購入を検討するのであれば最初から16GBメモリをお勧めする。
天板側とキーボード側で自然な感じで2色に分かれており、接続されているヒンジがさらに濃いグレーでフォーマルなデザインに仕上がっている。
モニターについて
13.3型のモニターは筐体に対して高い解像度を持っているため、標準で2倍のサイズにスケーリングされている。そのため個人的には1920×1200ドットで必要にして十分だと思う。
キャリブレーションツールにによる白色輝度の測定では最大輝度が362nitとモバイルノートPCとしては非常に高い輝度を有していることがわかった。
色域
色域はsRGBカバー率が99.9%。標準でsRGBプロファイルとほとんどずれがなく表示されるため、ウェブ用のコンテンツ視聴や制作に最適なモニターだ。
インターフェース
左側
- HDMI
- USB-C(Thunderbolt 4)×2
右側
- USB-A 3.2 Gen 1
- オーディオジャック
Inspiron 13 5310は左側のUSB-Cポートから充電する方式で、付属の65WACアダプターを使わずともPC本体を充電可能だ。最近では65W給電に対応した専用モニターが多く販売されているため、非常に使いやすい。
PC本体とモニターを接続し、充電と映像出力を同時に行える。
性能
Cinebench R23
Cinebench R23はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り
Cinebench R23の総合スコア | |
---|---|
Core i7 11800H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i9 11980HK | |
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 9 5900HS | |
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 7 5800H | |
Core i7 11800H | |
Ryzen 7 5800U | |
M1 | |
Core i7 11370H | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7 1165G7 | |
Core i7 11370H(レビュー機) | |
Core i7 1165G7 | |
Ryzen 5 4500U | |
Core i5 1135G7 |
最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では5470pts。
インテル第11世代の4コア8スレッドCPUはRyzen搭載モデルと比較すると複数作業を行うマルチタスクにおいて不利。
PCMark10
FutureMarkが提供するPCMARK 10は、MicrosoftOfficeのWord、Excelに類する互換ソフトウェアや、ビデオ通話会議ソフト、画像編集ソフトのバッジファイルを実際に動作させ、どの程度の快適性があるかをスコア化。提供元はおおむね4000点以上あれば快適としている。
結果は総合スコアが5082でMicrosoftOffice互換ソフトやビデオ会議ソフトは快適水準。画像編集も快適に動作してくれる。
SSDの読み書き
搭載されていた1TBのSSDはSamsung製のもの。大容量データの読み書きでも速度低下せず、一定以上の水準を維持していた。品質の高いSSDだ。
PCの内部の温度、ファンの動作音
PC内部の温度について
CPU使用率を100%にできるソフトウェアを使い、後負荷時の挙動を確認。CPUの最大値は94℃まで上昇した。
動作周波数を確認してみると1.7Ghz程度で動作していた。
PCの表面温度
なお、PCの表面温度は36.3℃ほど。ユーザーの利便性を損なわない温度に抑えられている。ほんのり温かい程度。
ファンの動作音
ピーク時は45.4dbほどで騒音が気になるレベル。ピーク時の温度なのでパフォーマンスをコントロールすれば問題はない。
DELL Inspiron 13 5310の評価とまとめ
良い点
- 10万円以下の価格で高級感のあるデザイン
- 配列と設計に優れたキーボード
- Core i3モデルからThunderbolt4搭載で拡張性が高い
- 色域が広く、解像度の高いモニターを搭載
気になった点
- ピーク時のファンの動画音
- キーボードの柔らかい打鍵感
10万円以下で高級感のある13.3型モバイルノートPCを探すならコレ
インテル第11世代のパフォーマンスを素直に引き出せるパフォーマンスと洗練されたデザインでありながらCore i3モデルが10万円以下からとビジネス用のモバイルノートPCとしておすすめできる。
個人的に気になった点はファンの動作音とキーボード打鍵時の柔らかさ、ファンの動作音についてはXPSシリーズも同様で、パフォーマンスをコントロールすればそれほど気にはならないが、画像編集やウェブのブラウジングを同時に行うようなマルチタスクをおこなった際に気になるレベル。
また、配列や配置はかなり優秀だが、キーボードを打鍵した際の柔らかさが気になった。
客観的に見てバランスの取れた良い製品とは思う。が、Inspiron 13 5310を押しづらい理由として製品が中途半端な位置付けになってしまっているということだ。
例えば、Inspiron 13 5310はオンボードメモリで後からメモリを増設ができないが、14型のInspiron 14 5415であればメモリを増設前提として購入し、コストパフォーマンスを重視した買い方ができる。また、キーボードの頼りなさが弱点といったが、その点ははXPS 13 9305なら問題ない。価格はInspiron 13 5310のハイスペックモデルと大きく差が開かないので、個人的にはこの2機種の方がおすすめしやすいと感じてしまった。
Inspiron 13 5310
公式サイトでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。