Snapdragon X Elite搭載のノートPCを購入してから1か月程度が経過しました。サブのサブくらいの位置付けで利用してみたので、その使用感をベンチマーク結果とともに改めて記載します。
この感想は、自分で購入したSnapdragon X Eliteを搭載したYoga Slim 7xを使ってみた感想です。
メリット①従来機よりも薄型にできる点がとてもよい
ARM版Windowsの最大のメリットは、マザーボードの小型化による薄型軽量化でしょう。
今回、筆者が購入したYoga Slim 7xをはじめ、Snapdragon Xシリーズのプロセッサを搭載したモデルは軒並み薄型化されています。
これらのノートPCはMacのような質感を持ち、使い勝手もMacに匹敵するものがあります。
メリット②バッテリーの持続時間が長い
HD画質の動画をループさせるテストでは、高解像度のモニターを採用している14型の機種と比較して、バッテリーの持続時間が最も長い結果が出ています。
解像度を変更すれば同様の結果を得ることはできますが、プレミアムノートPCにSnapdragon Xシリーズが搭載されることには大きな意味があるようです。
デメリット①スペックに対しての費用対効果が悪い
高解像度モニターを搭載した機種の中でバッテリーテストの結果を比較すると、このモデルは長いバッテリー持続時間を誇ります。しかし、解像度をフルHDまで含めると、この機種よりも長い動作時間を持つインテルCPU搭載のノートPCも存在します。
バッテリーの持続時間が長いだけでなく、特別な価値を提供できなければ、高いコストを支払うユーザーはいないでしょう。
また、性能についても、x86のソフトをエミュレーションで動作させる場合、パフォーマンスが落ちるため、「それなら最初からx86で良いのでは」というのが素直な感想です。
デメリット②クリエイティブソフトに対応していない
プロ用動画編集ソフト「DaVinci Resolve Studio」で動画のエンコードを行ったところ、最も遅い結果となりました。
これは、Snapdragon X Eliteのハードウェアエンコードにソフトウェアが対応していないためです。現状では、AMDチップを搭載した格安ノートPCよりもエンコードスピードが遅く、クリエイティブ性能が高いとはお世辞にも言えません。
ただし、順次対応が進む予定なので、完全に対応した場合には評価が変わるかもしれません。
デメリット③Copilot+PCの機能が使えない
どちらかといえばWindowsへの不満ですが、当初予定されていたリコール機能は「PR動画」では頻繁に見かけるものの、リリースの目途が立っていません。
現状では、バッテリー持続時間が長い事務作業用のノートPCを高値で買わされたという感想しかありません。PR費用にお金をかけるくらいなら、ソフトウェアのリリースにお金をかけてほしいと思います。
Microsoftは結局なんでSnapdragon XシリーズをCopilot+PCに選んだのか
Intel、AMD、NVIDIAが対応の遅さを見せる中、Appleにユーザーを奪われたため、彼らに発破をかけたのが最も納得しやすい理由です。
ユーザーが使えるかどうかわからないという感想を持っているチップを「未来のPC」として打ち出すことで、サードパーティを含め半導体設計のメーカーも開発スピードを速めざるを得なくなりました。その結果、AMDはRyzen AI 300、IntelはLuna Lakeを2024年中に発表することになりました。
個人的には、Copilot+PCは企業の案件や特定の業界、PCメーカーぐらいしか騒いでいないので、一般の人はNPUが使えるソフトウェアが拡充され、自分のニーズにマッチしてからAI PCを検討するくらいのスピード感で良いと思います。