2026年のノートPCで注目したいCPUのひとつが、Intel Core Ultra X 7 358Hです。
これまでのIntel製ノートPC向けCPUは、CPU性能やバッテリー性能はある程度評価できる一方で、内蔵GPU性能はAMD Ryzenや専用GPU搭載モデルと比較すると、やや物足りない印象がありました。
しかし、Core Ultra X 7 358Hはその評価を少し変えてくる可能性があります。
特に注目したいのは、CPU性能そのものよりも、内蔵GPUのIntel Arc B390 GPUです。Intel公式仕様では、Core Ultra X 7 358Hは16コア構成、最大4.8GHz、PBP 25W、最大ターボパワー80Wのモバイル向けCPUで、GPUには12基のXe-coreを備えたIntel Arc B390 GPUを搭載しています。
結論、モデルによって性能にばらつきがあるので注意
今回のCPUはモデルによって性能にばらつきがあります。搭載しているPCはすべてが高価といわれる価格帯なのでより自分の使い方と製品がマッチしているかを確認しないと失敗します。
GPU性能はメーカーが交渉していたRTX4050程度というのはベンチマーク上の結果でゲーム性能やクリエイティブ性能はRTX3050~RTX4050の間くらいです。あまり期待しすぎないようにしましょう。
Core Ultra X 7 358Hの主なスペック

Core Ultra X 7 358Hは、Panther Lake世代の上位寄りCPUです。
主な仕様は以下の通りです。
| 項目 | Core Ultra X 7 358H |
|---|---|
| コア数 | 16コア |
| 構成 | Pコア4基+Eコア8基+LP Eコア4基 |
| スレッド数 | 16スレッド |
| 最大クロック | 最大4.8GHz |
| キャッシュ | 18MB |
| Processor Base Power | 25W |
| Maximum Turbo Power | 80W |
| 内蔵GPU | Intel Arc B390 GPU |
| Xe-core | 12基 |
| NPU | 最大50TOPS級 |
比較する機種について

比較する機種は、XPS 16、XPS 14、HP EliteBook X G2i 14 AI PCの3機種です。
XPS 16は、デルが販売するプレミアムノートPCです。100WのACアダプターが付属するモデルで、クリエイティブ作業やプロダクティビティ用途を想定して設計されています。バッテリー駆動時間と処理能力のバランスを取りつつ、高いパフォーマンスを発揮できる点が特徴です。
XPS 14は、XPS 16よりも小型で、より機動力を重視したプレミアムノートPCです。こちらも100WのACアダプターが付属しており、小型ながら高性能を狙える設計になっています。持ち運びやすさと処理性能の両方を求める人に向いたモデルです。
一方、HP EliteBook X G2i 14 AI PCは、65W設計のビジネス向けモバイルノートPCです。XPSシリーズと比べると、より持ち運びや実用性を重視した立ち位置で、外出先での作業やビジネス用途に適したモデルといえます。
つまり、XPS 16は性能とクリエイティブ重視、XPS 14は高性能と機動力のバランス重視、EliteBook X G2i 14 AI PCは持ち運び重視のビジネス向けという違いがあります。
前世代との比較
Cinebench R23

XPSシリーズの従来モデルと比較すると、Core Ultra X7 358H搭載モデルは、CPU性能が大きく伸びたというよりも、筐体設計に合わせて性能をマイルドに調整したモデルという印象です。
Cinebench R23の結果を見ると、XPS 16に搭載されたCore Ultra X7 358Hは、マルチコアで17,806、シングルコアで2,013でした。従来のDell 16 Premiumに搭載されていたCore Ultra 7 255Hは、マルチコアで22,505、シングルコアで1,980だったため、シングルコア性能は同等以上ですが、マルチコア性能では従来モデルのほうが高い結果になっています。
また、XPS 14に搭載されたCore Ultra X7 358Hも、マルチコアで16,796、シングルコアで2,048となっており、シングルコア性能は高めですが、マルチコア性能は旧世代の高性能モデルを大きく上回るほどではありません。
この理由としては、XPSシリーズ自体が薄型化しており、CPUの持続的な消費電力を抑えているためだと思われます。Core Ultra X7 358Hそのものは高性能なCPUですが、XPSシリーズでは静音性、薄型デザイン、バッテリー駆動時間とのバランスを重視しているため、マルチコア性能を最大限引き出す方向では調整されていないと考えられます。
そのため、Core Ultra X7 358H搭載のXPSシリーズは、マルチコア性能やシングルコア性能において、従来モデルから劇的に高性能化したという印象はありません。
むしろ、CPU性能だけを見るなら、従来のCore Ultra 7 255H搭載モデルのほうが高いスコアを出している場面もあります。Core Ultra X7 358Hの評価ポイントは、CPUのマルチコア性能というよりも、内蔵GPU性能やAI処理性能、そして薄型筐体でも扱いやすいバランスにあると考えたほうがよさそうです。
GPU性能比較
動画のエンコード

動画のエンコード性能についても、Core Ultra X7 358H搭載の新しいXPSシリーズは着実に進化しています。DaVinci ResolveのYouTubeプリセット H.264コーデックによるプロジェクトエンコードでは、XPS 16 2026(Core Ultra X7 358H / 32GB)が205秒となり、Dell 14 Premium Core Ultra 7 255H / 32GBの230秒を上回る結果でした。さらに、XPS 16 9640の299秒やXPS 14 9440の335秒と比較すると、かなり高速化していることがわかります。
もちろん、RTX 5060を搭載するDell 16 Premiumの129秒には及びませんが、専用GPUを搭載していないモデルとしてはかなり優秀です。実際、エンコード性能は内蔵GPUとしては非常に高く、体感としてはRTX 4050には届かないものの、RTX 3050以上は狙えるレベルと見てよさそうです。
そのため、Core Ultra X7 358Hは、CPU性能が突出して高いというよりも、内蔵GPUを活かした動画処理性能の高さが魅力のCPUだといえます。専用GPUなしでもここまで速くエンコードできるので、軽めから中程度の動画編集を行うユーザーにとっては、かなり実用的な性能です。
3D Mark Time Spy GPUスコア

グラフィックス性能についても、Core Ultra X7 358Hはかなり健闘しています。3DMark Time Spyのグラフィックススコアでは、XPS 16 2026が6,895、XPS 14 2026が5,630という結果で、最適化されたベンチマーク環境では専用GPU搭載モデルに迫る、あるいは一部で上回るスコアを確認できました。
特にXPS 16は、RTX 4050搭載モデルの6,552を上回るスコアとなっており、内蔵GPUとしてはかなり優秀です。一方でXPS 14は、筐体サイズや冷却性能の差もあってXPS 16よりスコアは下がるものの、それでも十分高い水準にあります。こうした結果を見る限り、Core Ultra X7 358Hの内蔵GPU性能は、おおむねRTX 4050クラスに近い性能感で捉えてよいでしょう。
もちろん、実ゲームや実アプリでは最適化状況によって差が出るため、常に専用GPU搭載機を上回るわけではありません。ただ、少なくともベンチマーク上では、従来の“内蔵GPU”というイメージを大きく超える性能を持っていることは間違いありません。特にXPS 16のように、ある程度余裕のある筐体と組み合わさると、その強みがより出やすいといえます。
実ゲーム性能について


実際にゲームを動作させた場合、ベンチマークスコアほどの快適性は出ないと考えたほうがよさそうです。
3DMark Time Spyのグラフィックススコアでは、Core Ultra X7 358Hの内蔵GPUであるIntel Arc B390 GPUはかなり高い結果を出していました。スコア上ではRTX 4050搭載モデルに近い、あるいは一部では上回る場面もあります。
しかし、実際にゲームを動かすと、RTX 3050搭載モデルよりも快適性は落ちる印象です。
今回の検証では、Core Ultra X7 358H+Intel Arc B390 GPU環境では、1920×1200、最低設定、フレーム生成ありで平均37.22fpsでした。一方、RTX 3050搭載モデルでは、1920×1080、最低設定で平均58.17fpsとなっており、実ゲームでは専用GPU搭載モデルのほうが明確に有利でした。
このあたりは、ゲームタイトルとの相性やドライバー最適化の影響が大きいと思います。Intel Arc B390 GPUは、ベンチマークや動画エンコード、クリエイティブ用途ではかなり高い性能を発揮できますが、ゲームではタイトルによってパフォーマンスが大きく変わる可能性があります。
そのため、Core Ultra X7 358Hは、クリエイティブ性能は高め、ゲーム性能はタイトル次第と考えておくのがよさそうです。
軽めのゲームや画質設定を落としたプレイなら対応できますが、ゲーム目的で選ぶなら、RTX 3050以上の専用GPU搭載モデルを選んだほうが安心です。
筐体サイズや付属ACアダプターによる差について
Cinebench R23

筐体サイズや付属ACアダプターの違いによるCPU性能差について見ると、今回の比較ではHP EliteBook X G2が最も高いスコアを記録しました。Cinebench R23では、EliteBook X G2がマルチコア18,204、シングルコア2,044、XPS 16がマルチコア17,806、シングルコア2,013、XPS 14がマルチコア16,796、シングルコア2,048という結果です。
この結果を見る限り、付属ACアダプターの出力差がCPU性能に大きく影響している印象はありません。XPS 16とXPS 14はどちらも100WのACアダプターが付属していますが、性能差はそこまで大きくなく、むしろCPU性能は電源よりも冷却性能や筐体設計の影響を強く受けていると考えたほうが自然です。
特に2026年モデルのXPSシリーズは、従来モデルよりもさらに薄型化されています。そのため、見た目の洗練度や携帯性は向上している一方で、薄型化が放熱面では不利に働き、CPU性能をやや抑える方向に作用している可能性があります。
そのため、XPS 16とXPS 14でCPU性能に極端な差は出ておらず、また65W設計のEliteBookが最も高いスコアを出していることを踏まえると、CPU性能を左右するのはACアダプターのワット数よりも、冷却の作り込みや筐体の余裕だと考えてよさそうです。
3DMark Time Spy

GPU性能についても、結果の傾向はCPUとほぼ同じです。3DMark Time Spyのグラフィックススコアでは、HP EliteBook X G2i 14 AI PCが7,077で最も高く、XPS 16 2026が6,895、XPS 14 2026が5,630という結果になりました。
この結果を見ると、Core Ultra X7 358HのGPU性能そのものに大きな差があるというよりも、各メーカーの筐体設計や冷却の考え方がスコアに影響していると考えたほうが自然です。XPSシリーズは、より薄型でタイトな設計を重視しているぶん、発熱処理や静音性とのバランスを優先した結果、Core Ultra X7 358Hの性能をフルに引き出しきれていない可能性があります。
一方で、EliteBookは65Wクラスのビジネスノートという立ち位置ではあるものの、今回の検証ではGPUスコアが最も高く出ています。つまり、単純に付属ACアダプターのワット数だけで性能が決まるわけではなく、冷却設計や電力制御のチューニングのほうが重要ということです。
そのため、Core Ultra X7 358H搭載モデルを選ぶ場合は、CPU名やブランド名だけで判断するのではなく、高出力で安定動作しやすい設計か、冷却にしっかり力を入れているモデルかを見て選んだほうがよさそうです。特に、このCPUの強みである内蔵GPU性能をしっかり活かしたいなら、薄さ優先のモデルよりも、ある程度余裕のある筐体設計のモデルのほうが向いていると思います。
まとめ Core Ultra X7 358Hはモデルと使い方をよく考えて選ぼう

今回の検証では、Core Ultra X7 358H搭載機を3機種比較しました。
ただし、今回扱ったモデルは、いずれもビジネス用途やプレミアムノートPCとしての性格が強いモデルです。そのため、純粋に性能を最大限引き出すというよりも、薄型デザイン、静音性、バッテリー駆動時間、持ち運びやすさを含めて、バランスよく使えるように調整されている印象でした。
そのため、Core Ultra X7 358Hの本領をフルに発揮しているかというと、少し物足りない部分もあります。
CPU性能だけを見ると、Core Ultra X7 358HはCore Ultra 200Hシリーズと同等クラスと考えてよさそうです。少なくとも、CPUのマルチコア性能が大きく伸びたという印象はありません。
一方で、内蔵GPU性能は確実に進化しています。Core Ultra 7 258Vなどの従来のCore Ultra 200Vシリーズと比べると、グラフィックス性能は明確に高く、動画エンコードや軽めのクリエイティブ用途ではかなり扱いやすくなっています。
つまり、Core Ultra X7 358Hは、従来のCore Ultra 200VシリーズではCPU性能に物足りなさを感じていた人や、専用GPUなしでクリエイティブ用途も含めてマルチに使いたい人に向いたCPUだと思います。
ただし、モデル選びには注意が必要です。
今回の検証でも、高級モデルであるXPSシリーズが必ずしも最も高性能という結果にはなりませんでした。むしろ、CPU性能やGPU性能ではHP EliteBook X G2i 14 AI PCのほうが高いスコアを出す場面もありました。
このことからも、Core Ultra X7 358H搭載機を選ぶ場合は、CPU名だけで判断するのではなく、筐体の冷却性能、電力設定、メーカーごとのチューニングまで確認したほうがいいです。
Core Ultra X7 358Hは、かなり面白いCPUです。
ただ、どのモデルを選んでも同じ性能が出るタイプではありません。薄型・軽量・静音性を重視するのか、動画編集や内蔵GPU性能をしっかり活かしたいのかによって、選ぶべきモデルは変わります。
性能重視で選ぶなら、高出力かつ冷却設計に余裕のあるモデル。
持ち運びや使いやすさ重視なら、薄型のプレミアムノートやビジネスノート。
このあたりを整理したうえで選べば、Core Ultra X7 358Hはかなり満足度の高いCPUになると思います。
Core Ultra X7 358H搭載でおすすめのモデル
ビジネス・クリエイティブ・モバイルノートPCとして使うならHP EliteBook X G2i 14 AI PC

このモデルは、重量が約1.09kgの14型ノートPCです。デザイン性に優れているだけでなく、軽量で持ち運びやすいため、モバイルノートPCとしても使いやすい構成です。
また、小型ながら今回の検証ではXPSシリーズを上回るスコアを記録しており、Core Ultra X7 358Hの性能をしっかり引き出せるモデルだと感じました。CPU性能、GPU性能ともに高めで、ビジネス用途だけでなく、軽めの動画編集や画像編集などのクリエイティブ用途にも対応しやすいです。
さらに、EliteBookシリーズらしく、キーボードの打鍵感やタッチパッドの操作性も良好です。法人向けモデルらしい使い勝手のよさがあり、長時間の作業でも扱いやすい点は大きな魅力です。
軽さ、デザイン、性能、操作性のバランスに優れたノートPCがほしい人には、HP EliteBook X G2i 14 AI PCはかなり相性のよいモデルだと思います。
デザイン性を重視するならXPS 16がおすすめ

XPSシリーズは、MacBookを彷彿とさせる洗練されたデザインが大きな特徴です。性能だけでなく、見た目の美しさや所有満足度を重視したいユーザーに向いているシリーズだと思います。
そのため、ノートPCに対して「まずはデザインを重視したい」という人には、XPSシリーズはかなり魅力的な選択肢です。
なかでもXPS 16は、クリエイティブ用途とプロダクティビティ用途をバランスよくこなしたい人におすすめです。今回のモデルでは重量が1.6kgまで抑えられており、従来モデルと比べて持ち運びやすさが向上している点も進化ポイントといえます。
もちろん、純粋な性能だけを最優先するなら、ほかに有力な選択肢もあります。ただ、XPS 16は洗練されたデザイン、大画面の使いやすさ、そして仕事からクリエイティブまで幅広くこなせるバランスのよさが魅力です。
そのため、デザインを重視しつつ、クリエイティブとプロダクティビティをバランスよく行いたい人にはXPS 16がおすすめです。
高コスパミニPCで選ぶならYoga Mini 01IPH11がおすすめ
Core Ultra X7 358H搭載モデルをコスパ重視で選ぶなら、Yoga Mini 01IPH11(Intel)も有力な選択肢です。
Yoga Mini 01IPH11はミニPCなので、ノートPCよりも本体サイズを抑えつつ、Core Ultra X7 358H搭載モデルを選べる点が魅力です。デスク上のスペースを取りにくく、据え置き用のコンパクトPCとして使いやすいモデルです。
また、付属ACアダプターは100W出力に対応しているため、Core Ultra X7 358Hの性能をある程度しっかり引き出せることにも期待できます。ノートPCのように薄型化やバッテリー駆動時間とのバランスを強く意識する必要がないぶん、性能面でも扱いやすい可能性があります。
そのため、モニターやキーボード、マウスをすでに持っていて、据え置き用の小型PCを探している人には、Yoga Mini 01IPH11は高コスパなPCといえるでしょう。
なお、筆者はこのモデルを購入しました。実機レビューができ次第、あらためて詳しく紹介する予定です。
