DAIV CX-A9A60をレンタルしたのでレビューします。貸出機提供マウスコンピューター株式会社
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DAIV CX-A9A60のスペック
| DAIV CX-A9A60 | |
|---|---|
| モニター | ミニPCなのでなし |
| CPU | Ryzen AI Max+395 |
| GPU | Radeon 8060S |
| メモリ | 128GB (オンボード128GB) |
| SSD | 2TB(NVMe) |
| サイズ(幅×奥行×厚さ) | 幅約198mm×奥行き約70mm×高さ約200mm |
| 無線通信規格 | WIFI7、Bluetooth 5 |
| バッテリー | なし |
| 充電タイプ | 250W ACアダプター |
| 重量 | 約1.98kg |
| 保証 | 3年間のセンドバック修理保証・24時間365日電話サポート |
特徴:ローカルLLMにも活用できる128GBメモリ搭載のコンパクトデスクトップPC
DAIV CX-A9A60は、約20cm四方、厚さ約7cmのコンパクトなデスクトップPCです。一般的なミニPCよりはやや大きいものの、ミニタワーやスリムタワーと比べると小さく、デスク上にも設置しやすいサイズにまとまっています。
小ささだけを追求するのではなく、性能を発揮するためのスペースも確保する。そうしたマウスコンピューターらしい設計を感じる、絶妙なサイズ感だと思います。
搭載するRyzen AI Max+ 395は、CPUとGPUでメモリを共有するユニファイドメモリを採用。本モデルは128GBの大容量メモリを搭載しており、その一部をGPU用に割り当てて利用できます。
この仕組みが強みになるのが、PC本体でAIを動かす「ローカルLLM」です。使用するモデルや設定によって必要なメモリ容量は異なりますが、GPU側に大容量のメモリを割り当てられる点は、モデル選びの幅を広げてくれます。
写真編集や動画編集などのクリエイティブ用途に加えて、コーディング支援や翻訳などにローカルLLMを活用したい人にも、検討してほしい1台です。
デザイン

DAIV CX-A9A60にはゴム足が標準で付属しており、写真のように縦置きで使用できます。デスク上で占有するスペースを抑えられるため、モニターの横にも設置しやすい形状です。
業務用PCを思わせる無骨な外観ですが、角に丸みを持たせた筐体や、フロントのヘアライン加工がスマートな印象を与えてくれます。派手な装飾を控えた落ち着いたデザインで、仕事場にもなじみやすい仕上がりです。


側面には2基のファンを備えたデュアルファン構成を採用しています。コンパクトな筐体ながら冷却機構にもスペースを割いており、高性能なCPUとGPUを冷却するための設計がうかがえます。実際の冷却性能や高負荷時のファンの動作音については、後ほど検証結果を紹介します。


本体重量は実測で1,875gでした。ACアダプターと電源ケーブルは575.5gで、合わせると約2.45kgです。
コンパクトな見た目ながら、本体を持つとずっしりとした重さを感じます。ただ、デスクトップPCとしては移動させやすく、設置場所の変更やデスク周りの掃除で取り回しに困ることは少ないと思います。
モニターやキーボードなどを用意した場所であれば、自宅と仕事場の間で本体を持ち運ぶ使い方も考えられます。その場合は、本体だけでなくACアダプターを含めた重量と収納スペースも考慮しておきたいところです。
インターフェースについて
DAIV CX-A9A60は、コンパクトながら端子類が充実しています。前面と背面にそれぞれ1基ずつ、最大40Gbpsのデータ転送に対応するUSB4 Type-C端子を搭載。外付けSSDやドッキングステーションなどを接続できます。
端子構成は以下のとおりです。
| 配置 | 端子 |
|---|---|
| 前面 | USB4 Type-C ×1、USB 3.2 Gen 2 Type-A ×2、SDカードリーダー(UHS-II対応)、ヘッドホン出力/ヘッドセット端子 |
| 背面 | USB4 Type-C ×1、USB 3.2 Gen 2 Type-A ×1、USB 2.0 Type-A ×2、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4、2.5GbE有線LAN、ヘッドホン出力、電源端子 |
USB Type-Aは前後合わせて5基あり、キーボードやマウスを接続しながら、外付けストレージなども利用しやすい構成です。抜き差しする機会の多いUSB端子やSDカードリーダーが前面にまとまっている点も便利。特に、UHS-II対応のフルサイズSDカードリーダーは、カメラで撮影した写真や動画を取り込む際に重宝します。
映像出力はHDMIとDisplayPortに加え、前後のUSB4も対応しており、最大4画面へ同時に出力できます。編集画面とプレビューを分けたり、ローカルLLMのチャット画面を開きながらコードや資料を確認したりと、作業に合わせてマルチモニター環境を構築できます。
ネットワークは2.5GbE有線LANとWi-Fi 7に対応。周辺機器や複数のモニターを接続して使う、据え置きの作業用PCとして扱いやすい構成だと思います。
性能
Cinebench R23


CPUの処理性能を測定するCinebench R23では、マルチコア33,962pts、シングルコア2,030ptsを記録しました。
搭載するRyzen AI Max+ 395は16コア32スレッド構成で、特に複数のコアを活用する処理で高い性能を発揮しています。今回の比較では、Core Ultra 7 265KFを搭載するLegion Tower 5のマルチコアスコア34,062ptsとほぼ同等。Core Ultra 7 265K搭載のOMEN 35Lにも近い結果となりました。
約20cm四方の筐体で、こうしたタワー型デスクトップPCに迫るスコアを出せる点は魅力です。CPUを使う3Dレンダリングなど、複数のコアを活用する作業にも期待できます。
一方、シングルコア性能は比較機の中では突出しておらず、あらゆる操作が大幅に速くなるというわけではありません。大容量メモリだけでなく、コンパクトな筐体に高いマルチコア性能を備えていることが、本モデルの強みといえます。
なお、今回の結果は最低実行時間を「Off」にした測定です。長時間負荷をかけた際の性能維持や温度については、別途ストレステストで確認します。
Cinebench 2024


Cinebench 2024では、マルチコア1,772pts、シングルコア113ptsを記録しました。
今回の比較では、M4搭載Mac miniのマルチコア965ptsに対して約1.84倍のスコアです。16コア32スレッドを備えるRyzen AI Max+ 395の強みが表れており、比較した機種の中ではマルチコア性能が大きく上回っています。
一方、シングルコアはM4搭載Mac miniの174ptsに届かず、113ptsでした。少数のコアで処理する作業と、多くのコアを使う作業では、性能の優劣が変わることがわかります。
R23に続き、Cinebench 2024でも高いマルチコア性能を確認できました。コンパクトなPCで、CPUによる3Dレンダリングなどの並列処理を行いたい人にとって、魅力的な結果だと思います。ただし、このスコアがそのままローカルLLMの生成速度や動画編集の快適さを示すわけではないため、それぞれの実作業での検証結果と合わせて判断してください。
3DMark Time Spy
重量級ゲームタイトルを想定したベンチマーク3DMark Time Spyの結果です。


3DMark Time Spyでは、総合スコア11,417、グラフィックススコア11,691、CPUスコア10,083を記録しました。
Ryzen AI Max+ 395に内蔵されるRadeon 8060Sは、今回の比較でRTX 5060 Laptop GPUを搭載するDAIV S5の11,678とほぼ同等のグラフィックススコアでした。同じくRTX 5060搭載のLegion 5a Gen 11には約7%届かなかったものの、専用GPUを搭載するゲーミングノートPCに迫る結果です。
また、比較グラフにあるデスクトップ版RTX 4060の10,626を約10%上回っています。内蔵GPUながら、コンパクトな筐体でこれだけの3D描画性能を発揮できる点は、本モデルの魅力だと思います。
ただし、今回の結果はTime Spyでの比較です。実際のゲームやクリエイティブソフトでは性能差が変わるため、「RTX 5060と同じ性能」と一括りにはできません。ローカルLLMについても、生成速度や使用できるモデルは別途確認する必要があります。
動画のエンコード


DaVinci Resolveを使用し、約13分の動画プロジェクトをYouTubeプリセットのH.264形式で書き出しました。処理時間は約2分半で、今回比較したRTX 5060搭載機に近い結果となっています。
比較グラフでは、RTX 5060搭載のLenovo LOQ 15が143秒、Legion 5a Gen 11が149秒となっており、DAIV CXも同程度の時間で書き出しを完了しています。専用グラフィックスボードを搭載しないコンパクトなPCとして、十分に実用的な処理速度だと思います。
書き出し時間は素材やエフェクト、出力設定によって変わりますが、今回のようなYouTube向け動画のエンコードでは良好な結果でした。ローカルLLMの活用に加えて、動画制作にも使いたい人にとって、用途を広げられる性能を備えています。
ローカルAIの性能について
生成AI性能:ローカルで毎秒約31~52トークンの文章生成

ProcyonのAI Text Generation Benchmarkを使用し、ローカル環境での文章生成性能を測定しました。今回のテストでは、AMD XDNA 2 NPUとRadeon 8060Sを併用しています。
| モデル | スコア | 平均生成速度 | 最初のトークンが出るまでの平均時間 |
|---|---|---|---|
| Phi 3.5 | 1,151 | 51.79トークン/秒 | 1.00秒 |
| Mistral 7B | 981 | 33.90トークン/秒 | 1.60秒 |
| Llama 3.1 | 792 | 31.33トークン/秒 | 2.03秒 |
トークンは、AIが文章を処理する際の単位です。文字数と完全には一致しませんが、毎秒のトークン数が多いほど、文章を速く生成できます。
今回の結果では、Phi 3.5が毎秒約52トークン、Mistral 7BとLlama 3.1が毎秒約31~34トークンでした。最初の出力までの平均時間も約1~2秒で、今回のテスト条件では、対話形式で文章を生成する用途に実用的な応答速度が得られています。なお、モデルの読み込みには別途約3~7秒かかっています。
128GBメモリによるモデル選択の幅に加え、今回測定したモデルでは生成速度も確保できている点が魅力です。ただし、これはベンチマーク指定のモデルと実行環境での結果です。より大きなモデルの動作速度や、翻訳・コーディングの回答品質については、実際に使用するモデルで確認する必要があります。
下記にPDFファイルを置いておくので、AIPCの購入を検討っされている方はご利用ください。
AI画像生成:Stable Diffusion XLで1枚あたり約58秒

ProcyonのAI Image Generation Benchmarkを使用し、Stable Diffusion XLによる画像生成性能を測定しました。Radeon 8060Sで処理した結果、総合スコアは648、1枚あたりの平均生成時間は57.864秒でした。
今回の測定は、解像度1,024×1,024、推論ステップ数100、精度FP16、バッチサイズ1という条件です。16枚の生成にかかった時間は約15分26秒となっています。
この条件では、1枚の画像を約1分で生成できる計算です。画像を1枚ずつ生成して仕上がりを確認する使い方は可能ですが、プロンプトを調整しながら大量の候補を作る場合には、待ち時間も考慮したいところです。
なお、生成時間は使用するモデルやステップ数、実行環境によって変わります。今回の約58秒は、あくまでベンチマークの指定条件での結果です。DAIV CX-A9A60は、ローカルでの文章生成に加え、画像生成にも活用できることが確認できました。
下記にPDFファイルを置いておくので、AIPCの購入を検討っされている方はご利用ください。
ローカルLLMの実動作:毎秒約30~44トークンで文章を生成


ベンチマークに加えて、実際にローカルLLMを動かして生成速度を確認しました。使用したモデルは「qwen3.8-flash-next-unsloth-ud-iq4_xs」。メモリはGPU用に2GB、システム用に126GBを割り当てた状態です。
画面に記録された5件のリクエストでは、文章の生成速度は毎秒30.4~43.7トークンでした。直近のリクエストでは毎秒32.3トークンを記録し、655トークンの出力を約20.5秒で完了しています。今回試した範囲では、回答を読み進めながら利用できる実用的な速度だと思います。
ローカルAIの実用性:日本語での対話は可能、長い資料の処理には工夫が必要

実際にStrataでQwen系モデルを動かしたところ、日本語の質問に対して、文章や箇条書きで回答できることを確認しました。生成速度は毎秒約30~44トークンで、今回の短いやり取りでは実用的な応答速度が得られています。
GPU用メモリを2GB、システム用を126GBに設定した環境では、タスクマネージャーのメモリ使用量は約84GBでした。大容量メモリを使うモデルを、コンパクトなPC単体で動かせる点が本モデルの強みです。
文章作成や翻訳、コード作成などへの活用も考えられます。ただし、画面に表示された対応用途はモデル自身の回答であり、今回それぞれの精度まで検証したわけではありません。

また、PDFの要約を試した際には、入力が約72,500トークンとなり、設定上限の32,768トークンを超えてエラーになりました。これはメモリ不足を示すものではなく、一度に扱える文章量の制約です。長い資料を処理するには、文書を分割するなどの工夫が必要になります。
今回の検証からは、日本語で対話するローカルAI環境として利用できる一方、長文資料の要約などにはモデルやソフト側の設定も重要になるPCと評価できます。
ストレステスト

3DMark Steel Nomad Lightのストレステストでは、フレームレートの安定性が97.5%となり、合格基準の97%をクリアしました。
約20分間、20回のループでGPUに負荷をかけた結果、最高ループのスコアは11,186、最低は10,907でした。両者の差は約2.5%に収まっており、負荷が続いても大きく性能を落とさず動作しています。
コンパクトな筐体ながら、ゲーミングPCに求められるような持続的なGPU性能を確認できた点は好印象です。今回のテストでは、デュアルファンを備えた冷却設計が、安定した動作を支えているとうかがえます。
なお、今回確認したのはGPUに連続負荷をかけた際の安定性です。CPUとGPUを同時に酷使する作業など、すべての高負荷処理で同じ結果を保証するものではありません。
SSDの読み書き


今回の検証機には、PCIe 4.0 x4接続のNVMe SSD「WD_BLACK SN850X」が搭載されていました。容量は2TBで、アプリケーションに加えて、写真や動画の素材も保存しやすい構成です。
ローカルLLMでは、複数のモデルを試すとストレージの使用量も増えていきます。128GBのメモリに加え、保存先にも2TBを備えている点は、生成AIを活用するうえでうれしいポイントです。


今回の検証機には、PCIe 4.0 x4接続の「WD_BLACK SN850X」2TBが搭載されていました。
CrystalDiskMarkでは、シーケンシャル読み込みが6,978.06MB/s、書き込みが6,565.64MB/sを記録。高速な読み書き性能を確認できました。大容量の動画素材や、ローカルLLMのモデルデータを扱う用途でも活用しやすい構成です。
参考として測定したUSB接続のSanDisk製SSDは、読み込み561.56MB/s、書き込み505.91MB/sでした。今回の測定では、内蔵SSDが読み込みで約12.4倍、書き込みで約13倍の速度を記録しています。ただし、実際のファイル転送速度は、転送先やファイルの種類にも左右されます。
容量も2TBあるため、複数のAIモデルや制作データを保存しやすい点は魅力です。
ストレステストの結果

3DMark Steel Nomad Lightのストレステストを20ループ実行し、長時間負荷時のGPU性能を確認しました。
結果はフレームレートの安定性98.6%で、合格基準を上回っています。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| フレームレートの安定性 | 98.6% |
| 最高ループスコア | 6,126 |
| 最低ループスコア | 6,040 |
| ループ回数 | 20回 |
最高スコアと最低スコアの差は小さく、テストを繰り返しても大きな性能低下は見られませんでした。
非常にコンパクトな筐体ながら、長時間のGPU負荷でもクロックと性能を安定して維持できています。ゲームや動画編集など、連続して負荷がかかる用途でも性能が落ちにくく、冷却設計は優秀です。
温度を一定範囲に抑えつつ、ファンの駆動音も約42dBに収まっているため、Yoga Mini 01IPH11は性能・冷却性能・静音性のバランスに優れたミニPCだと評価できます。
PCの温度とファンの動作音

Cinebench 2024を10分間連続で動作させ、CPUの動作周波数と温度を確認しました。
平均コアクロックは、負荷がかかっている間、おおむね4.2〜4.4GHzで推移。途中で一時的に低下する場面はありますが、その後はすぐに戻っており、時間の経過とともにクロックが落ち込む傾向は見られませんでした。
平均コア温度は約54℃で安定し、一時的な上昇も約56℃に収まっています。なお、こちらはコア温度の平均値であり、CPUの最高温度を示すものではありません。
今回の測定では、コンパクトな筐体でも温度を抑えながら、継続して高いクロックを維持できていました。先ほどのGPUストレステストと合わせて、負荷が続く場面での安定性は評価できるポイントです。
ファンの回転音の大きさ

Cinebench 2024実行時に測定した動作音は、約43dBでした。高負荷時にはファンの音が聞こえるため、静かな部屋で本体を近くに置く場合は気になることもありそうです。
まとめ ローカルAIレディなコンパクトデスクトップPC
DAIV CX-A9A60は、コーディングの補助や翻訳、文章の下書きなどに、ローカルAIを活用したい人に注目してほしいコンパクトデスクトップPCです。
最大の特徴は、128GBの大容量ユニファイドメモリを搭載していること。今回の検証では、ローカルLLMによる日本語の対話で、毎秒30〜44トークン程度の生成速度を確認できました。コードの正確さや翻訳品質は別途検証が必要ですが、大容量のAIモデルを手元のPCで試せる点は魅力です。
一方で、ローカルAIを使いこなすには、モデルの選択や設定の調整も必要になります。今回もPDFの要約で、設定したコンテキスト長の上限を超えてエラーになりました。メモリ容量だけですべてが解決するわけではなく、長い資料は分割するなど、用途に合わせた工夫が求められます。
クリエイティブ用途の性能も高く、動画のエンコードでは、今回比較したRTX 5060搭載ノートPCに近い処理時間を記録。CPUの連続負荷テストやGPUのストレステストでも、安定した動作を確認できました。
省スペースな制作環境を整えながら、コーディングや翻訳などに使うローカルAIの環境も構築したい。DAIV CX-A9A60は、そんな人に検討してほしい一台です。
