NECが販売するLAVIE Pro Mobileはわずか837gの重量かつ20時間の連続駆動時間を誇る省電力設計のノートPCです。
この記事では、2019年夏モデルとして販売されているNECの『LAVIE Pro Mobile』シリーズについてNECが開催するYouTuberレビューキャンペーンにて実機でテストする機会がありましたので、検証結果及びLAVIE Pro Mobileの特徴を記載します。
LAVIE Pro Mobileの特徴
動画で確認する
LAVIE Pro Mobileの強みは、細かいグレードから好みのスペックを購入できる点と、全グレードでLTEモジュールの増設が可能な点につきます。
この模様は動画で語っていますので、気になっている方は是非ご覧ください。チャンネル登録もお待ちしております。
Core i3からCore i7まで幅広いラインナップで自分にぴったりの性能が選べる
NEC直販サイトでは『Lavie Direct PM』という名称で販売されているこのLAVIE Pro Mobileですが、エントリーモデルがCore i3 8145U/メモリ4GB/SSD128GBとビジネスにぴったりな構成から購入が可能という点。
上記は、『13.3型液晶・4GBメモリモデル』選択時。
4GBモデルではCore i5 8265Uまでが選択可能でCore i7 8565Uを選択するためには『13.3型液晶・8GBメモリモデル』以上を選択する必要があります。
最近ではCore i3シリーズのパフォーマンスが向上していることもあり、5万円から7万円程度で外資系メーカー大手が安価に販売していることもあり、Core i3をチョイスするユーザーが増えています。
ビジネス用途だけであればCore i3 8145Uでも事足りるシーンというのは想定できますが、メモリは8GB程度あったほうがいいと思うので、メインのノートPCで検討しているのであれば、『13.3型液晶・8GBメモリ』モデルからがおすすめです。
カラーバリエーションは3種
前述した『13.3型液晶8GBメモリ』以上を選択すると画像にある『クラシックボルドー』『メテオグレー』『フレアゴールド』が選択できます。
NECらしく落ち着いたカラー配色だと思います。スモーキーカラーはフォーマルとカジュアルのちょうど中間のような印象です。ビジネスシーンでも使える、かといって武骨過ぎないため、どのカラーを選んでも失敗しないでしょう。
LTEモジュールを増設可能
LAVIE Pro Mobileは税抜き22,000円を支払うことでLTEモジュールをPCに装備可能です。
LAVIE Pro MobileのLTE対応バンド | |
---|---|
1, 3, 8, 18, 19, 26, 28, 41 | |
LAVIE Pro Mobileの3G対応バンド | |
1, 6, 8, 19 |
主要キャリアのプラチナバンドは抑えており、ドコモ,au,ソフトバンクのSIM及びMVNOのSIMに対応できます。
他のPCに搭載されているものと違いめずらしく、au系のプラチナバンドであるBand 18やWiMAX2+のBand 41に対応。
最近では、無制限で利用できるSIMカードや大容量高速通信が可能なSIMカードを容易に入手でき、キャリアを選ばないため、LTEモジュールとしてはやや高めですが、どこのキャリアのSIMを選んでも高速通信が可能な点が評価できます。
USB PD対応でモバイルバッテリーから充電が可能
USB PD 3.0に対応した点が素晴らしい。
NECによると
最大5V/1.5A給電です。USB Power Delivery対応機器へ充電できます。USB Power Delivery対応の15W以上のACアダプタやモバイルバッテリからPCへの充電が可能です。
とのことで、PD対応機器への充電やLAVIE Pro Mobile本体へ充電が可能。
最近では、PD対応のモバイルバッテリーや充電器が増えつつあります。
例えば、スマートフォンの充電が切れてしまいそうなとき、ノートPCに接続すれば急速充電可能ということ、7.5Wなのでそれほど早くはありませんが、十分に充電できるほどのパワーはあると思います。
また、15W以上のACアダプターやモバイルバッテリーからノートPCに直接充電が可能であるため、PD対応の大容量モバイルバッテリーが1台あるだけでノートPCのバッテリー切れの不安から解放されます。
LAVIE Pro Mobile
公式サイトで確認LAVIE Pro Mobileのスペックと価格
各グレードでSSDの増量は可能ですが、メモリはあらかじめ決まったモデルから選ぶ必要があります。またCPUの選択肢もメモリの容量に左右されます。
売れ筋は、メモリ8GBのモデルかと思われます。
13.3型液晶・メモリ4GBモデル
LAVIE Pro Mobile13.3型液晶・メモリ4GBモデル | ||
---|---|---|
型番 | GN1643/4F | GN2123/4F |
液晶 | 13.3インチフルHD・IPS | |
CPU | Core i5 8265U | Core i3 8145U |
メモリ | 4GB | |
SSD | 128GB | |
カラー | メテオグレー | |
重量 | 783g | |
価格 | 154,800円 | 144,800円 |
4GBモデルを選ぶのは、一般的な使い方からすると適切ではないのですが、ビジネスユースで検討している人ならば、選択肢としてあがることもあるかもしれません。
また、このモデルのみバッテリー容量が少ないため重量が700g台と軽量です。
13.3型液晶・メモリ8GBモデル
LAVIE Pro Mobile13.3型液晶・メモリ8GBモデル | ||
---|---|---|
型番 | GN1863/ZF | GN1643/ZF |
液晶 | 13.3インチフルHD・IPS | |
CPU | Core i7 8565U | Core i5 8265U |
メモリ | 8GB | |
SSD | 128GB | |
カラー | メテオグレー | |
重量 | 837g | |
価格 | 171,800円/189,800円 | 164,800円/177,800円 |
価格が二つあるのは、タッチパネルのありなしです。
史上で最も売れ筋のCore i5+メモリ8GBの組み合わせで税抜き164,800円は高い印象を受けます。
13.3型液晶・メモリ16GBモデル
LAVIE Pro Mobile13.3型液晶・メモリ16GBモデル | |
---|---|
型番 | GN1863/ZF |
液晶 | 13.3インチフルHD・IPS |
CPU | Core i7 8565U |
メモリ | 16GB |
SSD | 128GB |
カラー | メテオグレー/クラシックボルドー/フレアゴールド |
重量 | 941g |
価格 | 184,800円/202,2800円 |
クリエイティブな用途にも耐えられる、Core i7 8565U+16GBメモリの組み合わせで184,800円です。
富士通の世界最軽量ノートPCと比較
13.3インチモデルは富士通が世界最軽量のノートPCを販売していますので比較してみましょう。オーソドックスなCore i5 8265U+メモリ8GBモデルでは、どのような差があるのでしょうか。
直販サイトの価格で比較してみました。
富士通の世界最軽量モデルとの比較表 | ||
---|---|---|
メーカー | NEC | メーカー |
機種 | LAVIE Pro Mobile | LIFEBOOK WU2/D2 |
CPU | Core i5 8265U | Core i5 8265U |
メモリ | 8GB | 8GB |
SSD | 256GB | 256GB |
重量 | 837g | 698g |
サイズ | 307×215×15.5 | 309×212×15.5 |
価格 | 169,800円 | 199,874円※ |
※クーポン非適用時の税抜き価格です。随時変更されるので、各社HPでご確認ください。
直販サイトでは、クーポンやキャンペーンによって価格があってないようなものなのですが、2019年現在は上記のような結果に。
NECは大容量のバッテリーを標準で付属しているため、やや価格のベースが高めに設定されています。
一方、富士通はベースモデルでは25Whのバッテリーで追加料金を支払うことで50Whに交換可能。よりモバイルに特化したノートPCとしてカスタマイズするのであれば上記価格にバッテリーの値段が上乗せされます。
そしてサイズ。サイズはもう誤差といってもいいくらいの違いしかありません。
単純なスペックだけ見るとNEC LAVIEの強みはLTEモジュールが増設できる点とカラーバリーエーションということになりそう。
性能・パフォーマンスについて
Cinebench R20
CPUのパフォーマンスを測定するCinebench R20では上記のような結果に。
Cinebench R20 | |
---|---|
DAIV NG4300 | |
m-Book X400HS | |
LAVIE Pro Mobile |
※Core i7 8565Uを搭載したモデルとの比較、当ブログの過去の計測結果です。
LAVIE Pro Mobileは全開駆動時のファンの回転数がかなり抑えられており、静音性は高いのですが、パフォーマンスが振るわないという弱点があります。
ピーク時のCPUクロックとCPU温度
ファイナルファンタジー14のベンチマークソフトを30分間起動した際のCPU温度とCPUクロックです。
Core i7 8565Uのブーストクロックは4.5Ghzが最大値ですが、4.5Ghzで駆動している時間が極端に短い。ひょっとしたら耐久性や、静音性を保つためにパフォーマンスの調整が行われているのかもしれません。
Core i7 8565Uは、第4世代のデスクトップCPUのハイエンドクラスのパフォーマンスがあるため、動画編集などにも利用される方がいらっしゃると思います。
ただ、この検証結果を見る限り、作業時間は同じCore i7 8565Uを搭載しているノートPCと比較すると延びると思われます。
つまり、LAVIE Pro Mobileは動画編集など連続的に高負荷化がかかる作業は苦手ということです。
Crystal Disk Mark
検証機に搭載されていたSSDの中身はSamsung製の『Samsung PM981』でした。
PM981はバルク品(部品単体)として販売されているM.2SSDですが、市場で最も評価の高い、「970 PRO」「970 EVO」と同じ仕組みで動作するコントローラーを採用しており、パフォーマンスと耐久性が高いです。
中華性の粗悪なSSDは、動画の書き出しやRAW現像など、連続で行うと、読み書きのスピードが低下してしまうのですが、Samsung製のSSDは耐久性が高く長寿命と評判です。
PM981の平均故障間隔は150万時間で、これは24時間パソコンをつけっぱなしにしたとして62500日間に相当します。(つまり、理論上SSDの平均寿命を迎える前に先にパソコンの別のパーツが壊れる)
大容量のデータの書き出しや、データの読み出しは非常に高速です。
外観やデザイン
今回は、メテオグレーをメインに紹介いたします。
LAVIE Pro MobilはLavieロゴのみ天板に配置しシンプルな設計です。メーカーロゴをダサいなと感じている人にもおすすめできるかっこいいデザインだと思います。
各カラーの天板部も同様で、LAVIEロゴのみ反射する鏡面仕上げで、マット加工が施されて指紋が目立たないようになっています。
天板素材はカーボンとのこと。
液晶モニターはナローベゼルデザインによってシャープな印象です。IPSパネルで非光沢なので反射も少なく非常に見やすい液晶モニターでした。
横から見ると、本体の薄さが際立ちます。
リフトアップヒンジを採用しているため、開閉角度によってパソコンの傾斜が変わります。
また、通気口は、キーボードの先端に装着。リフトアップヒンジ+上面に通気口を設置することにより高い冷却性能とキーボードのうち安さを実現しています。
底面もフラットで凹凸がすくない。ゴム足でわずかに空洞を開けて吸気するための空間を作っています。
開閉部は斜めにカットされており、力をこめずともパッと開くことができる。非常にユーザービリティが高い作りだと思います。
わずか837gの重量なので指先でつまんでノートPCを持つことができます。
キーボード・タッチパッド
『てっぺんからつまさきまでフラットに』といった調子で、段差やひっかかりそうな箇所がありません。タッチパッドはほぼ中心に位置しています。
キーピッチは、18.5mmでフルサイズに近いため、操作性は良いと思います。
キーストローク(キーの沈み込みの深さ)は1.2mmとノートPCとしては、浅いのですが、押下圧が調整されているのか、キーを押した際の反発が強くて打ちやすいです。
恐らく、LAVIE Pro MobileのキーボードはモバイルノートPCなかではトップクラスのうち安さです。
これは実際に打鍵してみないとわからない感覚だと思いますので、家電量販店等で触れてくるのをお勧めします。
タッチパッドに関しても、独立型ではないものの、クリック感がよく使いやすいと感じました。
ただ、13.3インチクラスなので他のPC同様、カーソルを頻繁に動かすのは少々面倒。
インターフェースについて
左側面
- ケンジントンロック
- USB 3.0 PD対応 Type-C
- microSDカードスロット
- ヘッドフォンジャック
右側面
- USB 3.1(Type-C)
- USB 3.1
- HDMI
ここまで軽量化しているにもかかわらず、HDMIサポートしてくれるのはありがたい。
しかし…ビジネス用ならばLAN端子はあってもよかったなと。
Intel製のWi-Fiモジュールが搭載されていました。
『Intel wireless-AC 9560』は最高速1.73Gbpsに対応する高速Wi-Fiモジュールです。MU-MIMOにも対応しているため、Wi-Fiでの高速通信が可能です。
指紋認証センサーは電源ボタンにあるので、登録しておけば、Windowsのログイン画面でパスワードを入力せずともログインが可能です。
ファンの音について
前述したファイナルファンタジー14のベンチマークソフトを起動している間に、騒音計PCの目の前に設置してファンの回転音を計測しました。
計測結果は40.7dbで非常に静か。ファン付きのノートPCとしてはおそらく最も回転音が小さいノートPCだと思います。
出先で使うなら、ハイパワー時にこれくらいの静音性がないと困る。
ということで、静音性は非常に高く、ストレスになりません。
量販店モデルPM750/NAシリーズPM550/NAシリーズと直販モデルの違い
直販モデルと量販店モデルの違いとして、SSDのベースが256GB、同じくメモリのベースが8GBと。Core i3 8145Uが存在しない。(家電量販店オリジナルと称して販売しているケースもあり得る)
Core i5/メモリ8GB/SSD256GBは最もオーソドックスな構成かつ汎用性が高いため、同じ構成で家電量販店のほうが安く購入できるようであれば、購入したほうが良いし、モバイルに特化させるべく、SSDを1TBに増設するなど細かくカスタマイズするのであればNECの直販サイトで購入することをお勧めします。
また、前述したLTEモジュールの増設は、NECの直販サイトでのみ可能ですので、格安SIMを指して使いたいのであれば公式サイトでカスタマイズして購入しましょう。
LAVIE Direct PM750/NA PM550/NAシリーズ評価とまとめ
LAVIE Pro Mobileの評価 | |
---|---|
価格 | 競合他社より安い |
性能 | 他社よりも性能は抑えている |
携帯性 | モバイルノートPC市場屈指の携帯性 |
液晶 | 広色域かつ正確な色、パネルの品質も良いと思いますが今回は未計測 |
デザイン | フラットでビジネスカジュアルに使える |
モバイルノートPCとしての完成度は非常に高いため用途を明確にしよう
モビリティ=機動性や静音性など、持ち運んでノートPCを使うといった点は業界でも屈指だと思うのですが、いかんせんCore i7 8565Uのパフォーマンスを活かしきれていないのが少し残念だなと思う点。
動画編集など、高負荷な作業をしないのであれば理想的な軽量モバイルノートPCといえますが、このクラスは群雄割拠なので、やはりLTEモジュールの利便性(NECオンラインストアで買うしかない)や大容量バッテリーを標準搭載している点(あるいはモバイルバッテリーで充電可能)をどれだけメリットだと感じられるかが購入の決め手になるのではないでしょうか。