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ASUS Zenbook Pro 15 OLED レビュー Ryzen 9 5900HX搭載ビジネスクリエイティブノートPC

ASUSが販売するASUS Zenbook 15 Pro OLEDは高性能なCPU AMD Ryzen 7 5800Hモデルから選択可能なOLEDパネル搭載ビジネスPCだ。

今回メーカーより検証機を借りられたのでベンチマーク結果や使い勝手を紹介していく。

スペック

検証モデルはRyzen 9 5900HX/16GB/1TBの構成

ASUS Zenbook Pro 15 OLED
モニター
  • 15.6型(1920×1080ドット)OLED
CPU
  • AMD Ryzen 9 5900HX
iGPU
  • AMD Radeon Graphics
メモリ
  • 16GB
SSD
  • 1TB(NVMe)
サイズ(幅×奥行×厚さ)幅約356mm×奥行き約239.5mm×高さ約19.65mm
バッテリー持続時間
充電タイプ150W ACアダプター
重量約1.85kg
保証12ヶ月間のインターナショナル保証・12ヶ月間のASUSあんしん保証

使用・詳細はASUS Storeページのスペック一覧から確認してください。

特徴

動画見る

Ryzen 9 5900HXプロセッサ搭載

ASUS Zenbook Pro 15 OLED は高性能なAMD Ryzen 9 5900HXプロセッサを選択可能だ。

一般的にスタンダードノートPCはインテルCPUを搭載したモデルが多い。とはいえ、インテルのCPUを搭載しているとノートPC本体の価格が高くなりやすい点がネック。

そして、インテル第11世代プロセッサに関して言えば、スタンダードノートPCに搭載されるCPUが4コアのものが多く、クリエイター向けの6コア以上のものを選択すると、性能が高い反面、PC本体がCPUの冷却をするためのコストがかかる。

AMD Ryzen 9 5900HXは8コア16スレッドでマルチコアでありながら、パフォーマンスを発揮した際の熱に関してもインテルよりはコントロールしやすく、圧倒的なパフォーマンスを体感できる。

ASUS Zenbook Pro 15 OLEDは製品ジャンルとしてはビジネス向けのスタンダードノートPCといった感じで、Microsoft Officeなどの事務作業から、動画編集までを見据えて検討すべきノートPC。

現行のスタンダードノートPCの中では最もパフォーマンスの高いモデルだろう。

PANTONEカラー準拠の色再現性を持つモニター

ASUS Zenbook Pro 15 OLEDに搭載されているOLEDパネルはグラフィックデザインや印刷物などの世界標準のPANTONEカラーに準拠したパネルで、フォトグラファーやビデオグラファーに必要な色再現性を持つ。

もちろん、アウトプットとして紙媒体などに適用させるとなると、別途キャリブレーションキットなどが必要となるが、ウェブ上にアップロードするコンテンツであれば必要にして十分な色域。

また、筆者のようなカジュアルクリエイターでも十分にその色再現性を楽しむことはできる。そしてコンテンツクリエイトだけでなく、コンテンツ視聴にも最適。

一般的にPANTONEカラー準拠の専用モニターは価格が高く、手が出しづらい金額だが、ノートPCに搭載されているモデルであれば比較的入手しやすいということだ。

特に、最近ではOLEDパネル搭載のスマートフォンが多く、視聴体験はOLEDモニターというユーザーも増えているため、写真の現像や動画の編集をOLEDパネルで行うのは理にかなっている。

ASUS独自のノイズキャンセリングシステム搭載、専用マイクは不要

2020年ごろから推進されてきたテレワーク需要ではあるが、PCパーツ業界を席巻してきたASUSならではのノイズキャンセリングシステムがASUS Zenbook Pro 15 OLEDには搭載されている。

WindowsノートPCに搭載されるマイクは、周囲のノイズまで拾ってしまうのが弱点だったが、ASUSは開発したAIノイズキャンセリングでこれを抑制。

専用のマイクがなくてもクリアな音質を相手に届けることができる。

ノートPCは使用用途が広がるごとに接続機器が増えるため、インターフェースを多く必要とする。が、ASUS Zenbook Pro 15 OLEDはノートPCのパーツにこだわることで、その数を少なくするPCと言えるかもしれない。

ASUS Zenbook Pro 15 OLED

公式サイトでみる

価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。

デザイン・外観について

ASUS Zenbook 15 Pro OLEDはアルミシャーシから削り出した質感の高いボディを採用している。モニター側のベゼルも細くぱっと見た印象ではかなりスタイリッシュだ。

15.6型でありアルミ素材を採用しているとそれなりに重量もあり1.8kgを許容できるかどうかは人による。個人的には少し重たいかなといった感想。

天板はASUSお馴染みのスピンドル加工が施されており、非常に高級感がある。カラーはパイングレー。昨年からZenbookシリーズのビジネス向けPCはこのカラーを採用している。

禅の精神からなされるスピンドル加工の中央にメーカーロゴを設置しているが、配色のため目立たず光が当たるとしっかりと存在が確認できる絶妙な設計でASUSファンならずとも洗練されたデザインだと感じるだろう。

底面は4隅にゴム足が設置されており、吸気用の穴も小さめだ。AMD Ryzen 9 5900HXならこれくらいの小さい穴でも十分にパフォーマンスを発揮できる。

付属のACアダプターは150W出力のもの。

USB-CからPC本体に給電できるから、90W出力のモニターと接続してみたが、USB-Cから本体への給電には対応していないようだった。

モニターについて

Zenbook Pro 15 OLEDに搭載されているOLEDパネルはグレアタイプだが、比較的反射が少なく作業に適したモニターだと感じた。

明るさは白色輝度で最大344nitほど。

色域

キャリブレーションツールによる測定では、DCI-P3カバー率が99.9%で非常に広い色域を有する。また、フォトグラファーが利用したいAdobe RGBも92%ほどのカバー率があるため、幅広い作業用途に対応可能だ。ウェブコンテンツの基準となるsRGBカバー率は100%。

キーボード・タッチパッド

Zenbook 15 Pro OLEDは3列テンキー付きのキーボードを採用している。キーピッチは実測値で18mmほどで、キートップのサイズは15mmほど。

指が逞しい成人男性だとやや窮屈に感じる可能性がある。うち味については、かすかなクリックがあり、柔らかいタッチの打鍵感で好みが分かれるかもしれない。

また、タッチパッドはかなり浅く、反応が早い。もう少し余裕があった方が気持ちがいいと感じるが、操作性は悪くない。

インターフェース

  • USB-A
  • HDMI
  • SDカードスロット

  • USB-C(USB 3.2 Gen 2)
  • オーディオジャック
  • DCジャック

前述の通り、PC本体右側に搭載されているUSB-C 3.2 Gen 2は外部機器からの電源供給に非対応で、DCジャックから本体へ充電する必要がある。また、DPにも非対応なので映像出力を行う場合はHDMI接続をする必要がある。

性能について

Cinebench R23

Cinebench R23はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り

 

Cinebench R23の総合スコア

Core i7 11800H
14111pts
Ryzen 9 5900HX
13306pts
Core i9 11980HK
12687pts
Ryzen 7 5800H
12651pts
Ryzen 9 5900HS
12058pts
Ryzen 7 5800H
11670pts
Ryzen 7 5800H
11224pts
Core i7 11800H
10432pts
Ryzen 9 5900HX(レビュー機)
10401pts
Ryzen 7 5800U
7889pts
M1
7372pts
Core i7 11370H
7135pts 
Ryzen 5 5500U
6727pts
Core i7 1165G7
6594pts 
Core i7 1165G7
5379pts
Ryzen 5 4500U
4463pts
Core i5 1135G7
4223pts

最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では10401pts。

同じCPUを搭載しているゲーミングノートPCと比較してパフォーマンスは控えめだった。

とはいえ、これでもクリエイターノートPCと同等のパフォーマンスが期待できる。シングルコアも同様。

PCMark10

FutureMarkが提供するPCMARK 10は、MicrosoftOfficeのWord、Excelに類する互換ソフトウェアや、ビデオ通話会議ソフト、画像編集ソフトのバッジファイルを実際に動作させ、どの程度の快適性があるかをスコア化。提供元はおおむね4000点以上あれば快適としている。

結果は総合スコアが6275でMicrosoftOffice互換ソフトやビデオ会議ソフトは快適水準。画像編集や動画編集も快適に動作してくれる。

Adobe Premiere Pro CC動画の書き出し速度検証

過去YouTubeにアップロード用に作成したプロジェクトの書き出し時間を測定しました。α7R4で撮影したフルHD動画をH264 YouTube1080Pプリセットで書き出し、その時間を検証するというもの。

Premiere ProCCはVer22で計測、ハードウェアエンコーディングで実施しました。

  • XAVC S FHD24P(50Mbps)
  • 動画の長さ15分11秒
  • テロップ/カット編集/画像挿入あり
  • シーケンス設定は24fps
機種24fpsの書出し時間
XPS 171分39秒
HP ENVY 15 20211分57秒
Inspiron 15Plus1分57秒
Inspiron 16 Plus2分11秒
HP Pavilion Gaming (AMD)2分12秒
ROG Strix SCAR 172分13秒
ASUS TUF DASH F152分22秒
HP ENVY 14-eb(電源接続時)2分53秒
HP ENVY 14-eb(バッテリー動作)2分56秒
ROG Flow X13(バッテリー動作時)3分10秒
MacBookAir (M1)(ハードウェア)4分24秒
mouse K55分5秒
XPS 13(9310)6分25秒
ASUS ZenBook 14 Ultralight UX4356分36秒
Yoga Slim 750iCarbon7分34秒
ASUS Zenbook 15 OLED(レビュー機)8分21秒
mouse X5-R710分29秒
MacBook Air (M1)(ソフトウェア)10分46秒
mouse X5-R511分22秒
Yoga 650(AMD)12分39秒
Inspiron 14 541527分03秒

弊ブログで毎度おなじみのYouTube動画の書出しでは、処理時間が8分21秒でパフォーマンスはインテルCPUを搭載したモバイルノートPCよりも遅い。

これはGPUが最適化されていないためで、動画編集用としてZenbook 15 Pro OLEDはお勧めできない。

Lightroom Classic CCにてRAW現像時間を検証

Adobe Lightroom Classic CCにてα7Ⅱで撮影した24MPのRAWファイル100枚を一斉に書出し、その速度を検証。

LightroomClassic CC初期プリセットで画質を100に設定し、デスクトップへ書出し。結果は下記のとおり。

機種書出し時間
XPS 171分07秒
HP ENVY 15 20211分07秒
ROG Strix SCAR 171分26秒
HP Paivlion Gaming 15(AMD)1分27秒
Zenbook 15 Pro OLED(レビュー機)1分27秒
Inspiron 15Plus1分27秒
ROG Flow X131分32秒
Inspiron 16 Plus1分35秒
ASUS TUF DASH F151分41秒
XPS 13(9310)1分37秒
HP ENVY 14-eb(電源接続時)1分44秒
mouse K51分53秒
mouse X5-R71分57秒
ASUS ZenBook 14 Ultralight UX4351分58秒
MacBook Air(M1)1分58秒
Yoga 6502分57秒
Yoga Slim 750i Carbon2分57秒
mouse X4-R53分8秒
Inspiron 14 545155分53秒

RAW現像の速度は最新のゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCと同等クラス。

SSDの読み書き

搭載されていた1TBのSSDはウェスタンデジタル製のもの。大容量データの読み書きでも速度低下せず、一定以上の水準を維持していた。品質の高いSSDだ。

PCの内部の温度、ファンの動作音

PC内部の温度について

CPU使用率を100%にできるソフトウェアを使い、後負荷時の挙動を確認。CPUの最大値は92℃まで上昇した。

動作周波数を確認してみると、3.8Ghz程度で動作していたため、ASUS側で意図的にパフォーマンスをセーブしているのかもしれない。それによりファンの動作音や温度上昇を抑え、ユーザーの利便性を下げないようにしているのだと思われる。

PCの表面温度

なお、PCの表面温度は30.4℃ほど。ユーザーの利便性を損なわない温度に抑えられている。

ファンの動作音

ピーク時はでも41.5dbとビジネスモバイルノートPC程度の水準。ファンが回っているのは感じられる、しかしうるさいとは思わない。

ASUS Zenbook 15 Pro OLEDの評価とまとめ

良い点

  • スタンダードノートPCの中ではトップクラスの性能
  • OLEDパネルはプロユースに耐えられるほどの色域、コンテンツ視聴にも最適
  • ファンの動作音が静かで発熱温度も低い

気になった点

  • USB-PD非対応でPCへの充電がUSB-Cでできない
  • キーボードが少しだけ小さい
  • 専用GPU非搭載で動画編集用にはおすすめできない

ビジネス、クリエイティブの中間的な位置付けのハイスペックスタンダードノートPC

予算に妥協せず、とにかく高性能なビジネスノートPCが欲しいと検討しているユーザーにおすすめの製品で、静粛性とパフォーマンスが高い次元で両立されている。OLEDパネルも美しくフォトグラファーが使えるほどの色域を有している。

製品完成度やパーツ品質は高いものの、専用GPU非搭載で動画編集等に使うとインテルCPU搭載のモバイルノートPCに快適性で不利になってしまう点がネックだろう。また、持ち運びのしづらさも気になる。

例えば、今の市場で販売されるモバイルノートPCはUSB-CでPC本体を充電できる製品も多い。そうしたノートPCはACアダプターを社外性のものに変えフットワーク軽く利用できるが、それができないZenbook Pro 15 OLEDは取り回しがしづらい。

また、重量が1.8kgで据え置き利用がメインとなるはずで、そうなるとせっかくの高いパフォーマンスを活かせるポイントが限定されてしまう。

動画編集や3DCGレンダリング等を行わないのであれば、特に気にならないのではあるが、むしろその用途であれば別のノートPCでもっと予算を抑えるという選択肢もあり、人におすすめするにはZenbook Pro 15 OLEDじゃなければならない完璧なニーズが必要だ。

グラフィックデザインやフォトグラファーをはじめとしたプロユースや筆者のようなブロガーで写真にもこだわりたいといった、画像に対して向上心の高いユーザーでないと選択する意味は薄いと思う。

ビジネス、クリエイティブのどちらにも使えるハイスペックなスタンダードノートPCを求める人に検討してほしいモデルだ。

ASUS Zenbook Pro 15 OLED

公式サイトでみる

価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。

うっしー
うっしーhttps://usshi-na-life.com
静岡県出身。2014年にブログ「うっしーならいふ」を開設。 元家電量販店スタッの経験を活かし、PCのわかりやすい製品紹介記事を多数執筆。 2017年に「ウチヤマチカラ/うっしーならいふ」チャンネルとしてYouTubeでの活動も開始し、2022年11月現在でチャンネル登録者数は2万人を越える。
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