ROG Flow X16レビュー Ryzen 7 6800HS搭載16型の2-in-1コンバーチブルノートPC

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16型のROG Flow X16をメーカーよりレンタルしたので使い勝手や検証結果を紹介。

スペック

ROG Flow X16
モニター
  • 16型(2560×1600ドット)165Hz
CPU
  • AMD Ryzen 7 6800HS
dGPU
  • NVIDIA GeForce RTX3070 Ti(125W)
メモリ
  • 32GB
SSD
  • 1TB
サイズ(幅×奥行×厚さ)幅約355m×奥行き約243.5mm×高さ約22.9mm
バッテリー約7.9時間
無線通信規格Wi-Fi6/Bluetooth V5.2対応
充電タイプDCジャック/240W
重量約2.15kg
保証1年間引き取り修理サービス・パーツ保証

 

特徴

動画で見る

16型の2-in-1コンバーチブルノートPC

ROG Flow X16は16型のゲーミングノートPCでありながら、タブレットPCとしても使えるコンバーチブル2-in-1だ。タッチペンは標準で付属はしていないが、映像視聴やプレゼンにも利用可能。

また、このモニターはROG Nebula(ASUSが提唱するハイクオリティパネル)に対応しており、Mini LED技術を搭載している。

そのため、ピーク輝度は1100NitでPC用のモニターとしては途方もないほどの明るさまで表現可能だ。その上で165Hzで動作するリフレッシュレートのゲーミングモニターとしても利用可能なので、超万能な2-in-1PCと言える。

バッテリーの連続動作時間は6時間

バッテリーの連続動作時間をテストする、PCMark10 ModernOfficeではMicrosoft Officeの互換ソフトウェアを動作させ何時間連続で動作できるのかを計測可能。

ROG Flow X16に搭載されているソフトウェアで、電源非接続時に専用GPUをオフにする「エコモード」と必要なシーンでは専用GPUを利用する「スタンダードモード」にて計測。

ROG Flow X16バッテリーテスト
PCMark10 ModernOffice(スタンダード)3時間1分
PCMark10 ModernOffice(エコモード)6時間34分

メーカー公称値では約7.9時間ほどとのことだったが、ベンチマーク上ではエコモードで最長で6時間34分ほどだった。

このように専用GPUをオフにすれば、スタンダードノートPCのように長い時間動作してくれるため、家では専用GPUをフルパワーで利用し、出先ではRyzenプロセッサ内蔵のGPUを使うことで使い方の幅が広がる。

125WのRTX3070Tiで高解像度でゲームのプレイを楽しめる

ROG Flow X16に搭載されている専用GPU NVIDIA GeForce RTX3070Tiは最大グラフィックスパワーが125Wに設定されている。RTX3070Tiとしては最高出力ではない。

とはいえ16型で持ち運びも想定したノートPCなのでこのくらいの出力の方が利便性は高いのかもしれない。

ゲーム性能を計測する低版ベンチマークソフト3DMark Time SpyはPC用ゲームの重量級タイトルを想定したベンチマークソフト。

CPUスコアGPUスコア共に非常にスコアが高く、デスクトップPCのミドル〜ミドルハイに匹敵するパフォーマンスが出せる。また、CPUクロックのグラフを見ても非常に安定しており、パフォーマンス低下も起きていないのが非常に心強い。

価格は高めだが、全てを高い次元で兼ね備えた2-in-1PC

価格はメーカー直販サイトで36.9万円と家庭用で展開されるノートPCと比較すると高めに設定されている。円安やインフレの影響もあるだろうが、ハイエンドデスクトップPC並みの価格は消費者には一見すると手が伸ばしづらいと感じるだろう。

とは言え、前述の通り1100Nitのピーク輝度をもつ高精細モニターは単体で購入しても10万円以上はするはずでクリエイターにとっては専用モニターを購入する手間が省けるので選択肢として全くのなしということもないはず。

個人的にはデスクトップPCや2-in-1PCを仕事で使うユーザーがこれ1台で全てを解決するために購入するというのがおすすめで、あれもこれもと考える必要がない点がこのノートPCの良い点だと考える。

価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。

性能について

ROG Flow X16をTurboモードに設定してベンチマークを計測。

Cinebench R23

Cinebench R23はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り

 

Cinebench R23の総合スコア

Core i7 12700H
16525pts
Core i7 12700H
16052pts
Core i9 12900H
14884pts
Ryzen 7 6800HS(レビュー機)
14496pts
Core i7 11800H
14111pts
Ryzen 9 5900HX
13894pts
Ryzen 7 5800H
12651pts
Ryzen 9 5900HS
12058pts
Ryzen 7 5800H
11670pts
Ryzen 76800U
11306pts
Core i7 11800H
11250pts
Ryzen 7 5800H
11224pts
Core i7 1260P
10686pts
Ryzen 5 5600H
8815pts
Ryzen 7 5800U
7889pts
M1
7372pts
Core i7 11370H
7135pts 

最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では14496pts。

マルチコア性能については薄型筐体のためもしかしたらパフォーマンスをあえてコントロールしている可能性がある。

シングルコア性能は1507ptsなのでゲームのフレームレートを高く描画するためにはインテルCPUを搭載したモデルの方が良いかもしれない。

UL Procyon Photo Editing ベンチマーク

UL Solutionsが提供する「UL Procyon Photo Edting ベンチマーク」はいわゆる写真編集のベンチマーク。Adobeの「Photoshop」「Lightroom Classic CC」を使用し、実際の写真編集のワークフローに沿ったバッチファイルを実行。

処理にかかった時間をスコア化することで相対的に評価が可能だ。

 

Photo Editing ベンチマーク

Ryzen 7 6800HS/RTX3070Ti
8444pts
Ryzen 7 6800U
6923pts
Core i7 1260P
6713pts
Core i7 1165G7
6018pts

 

ROG Flow X16
Adobe Lightroom Classic CCのワークフロー
読み込み3.609秒
プレビュー0.587秒
プリセット適用0.471秒
エディットイメージ2.106秒
スマートプレビュー5.022秒
書き出し15.820秒
エンハンスディテール2.007秒
フェイスディテクト4.024秒
バッチプロセッシングスコア8444
Adobe Photoshop CCのワークフロー
画像読み込み0.396秒
フィルター適用1.038秒
画像結合0.794秒
データ保存57.060秒
画像書き出し3.267秒
GPUフィルター8.526秒
イメージレタッチスコア7660

 

写真編集のワークフローでは、一般的なスタンダードノートPCと比較して書き出し速度やGPUフィルターが高速化されており作業が瞬時に終わる。

一歩でデータの読み込み等にはそこまで速度差はなかった。

UL Procyon Video Editing ベンチマーク

同じくUL Solutionsが提供する「UL Procyon Video Edting ベンチマーク」はAdobe Premiere Proを利用し、H264/H265でそれぞれファイルを書き出しし、処理にかかった時間をスコア化するというもの。

素材データは用意されたものでプロジェクトファイルの全体の長さは1分程度のものだ。素材データは4Kで1080P/4Kにエンコードを行い処理時間からスコアを算出できる。相対的に評価しやすいベンチマークソフトだ。

video-editing-benchmark

 

ROG Flow x16Yoga 770
YouTube 1080P (1/2)652秒1046秒
YouTube 1080P(2/2)29秒144秒
4K UHD(1/2)3755秒4127秒
4K UHD(2/2)59秒243秒
Video Editing Score61082507

エンコードタイムをAMD内蔵グラフィックスのみを搭載したYoga 770と比較してみた。

GPUフィルターを多くかけたフルHD解像度の動画はROG Flow X16が652秒で終了できた。

またGPUフィルターがかかってない動画では29秒と非常に高速だった。4K画質も同様で専用GPUを搭載しているモデルはエンコードスピードが非常に高速だ。

ゲーム性能

サイバーパンク2077

超重量級ゲームタイトルのサイバーパンク2077ではレイ・トレーシングテクノロジーを適用させてレイトレーシングウルトラおよびレイトレーシングをオフにした状態でNVIDIA DLSSを適用させた状態でフレームレートを計測。

サイバーパンク2077の平均フレームレート
WQXGA(2560×1600ドット)
レイトレーシングウルトラ
53fps
DLSS自動
90fps

レイトレーシングウルトラを効かせた状態では60fpsを下回ってしまった。

しかし、レイトレーシングをオフにしてDLSSをオンにすれば90fpsオーバーでプレイ可能なのでゲームのプレイは十分に快適と言っていい。

シャドウオブザトゥームレイダー

重量級のゲームタイトル「シャドウオブザトゥームレイダー」は最高画質と高画質に設定しNVIDIA RTX DLSSをクオリティに設定しベンチマークを実行した。

シャドウ・オブザ・トゥームレイダーの平均フレームレート
WQXGA(2560×1600ドット)NVIDIA RTX DLSSクオリティ
最高画質
106ps
高画質
113fps

WQXGAの高い解像度でも快適にプレイ可能で、まだまだ余裕がありそうな感じ。おそらく4K画質でもプレイ可能だろう。

Apex Legendsの平均フレームレート
フルHD(1920×1080ドット)射撃訓練場
最高画質
153fps
中画質
183fps
最低画質
228fps

人気のシューター系ゲームタイトル「Apex Legeds」では解像度をフルHDに設定し、画質を調整しながらmsiafterbunerで計測。

低画質〜中画質程度に画質調整を施せば、ROG Flow X16に搭載されている165Hzのモニターの性能は活かせる。

SSDの読み書き

クリスタルディスクマークの結果。PCIe Gen4を搭載しているため、シーケンシャルリード、ライトどちらも非常に高速でデータ移行の速度にも期待ができる、ランダムアクセスもていかしていないため、ソフトウェアの実行も非常に快適だ。

PCの温度とファンの動作音について

ピーク時のCPU温度について

Cinebench R23の10minuteテスト実行時の挙動をHWInfoで計測した。

サーマルスロットリングは一切なく、終始4Ghzオーバーで動作していた。

インテルはサーマルスロットリングが発生したり長時間高負荷をかけるとパフォーマンスが低下するため上位モデルとの差があまりないが、AMDに関してはまだまだパフォーマンスに余裕はありそうで、AMDのプロセッサは良い上位のモデルを購入しても良い感じだ。

PCの表面温度

Cinebench R2310minute時のPCの表面温度。Turboモード時。40.6℃と高い温度だった。

低温やけどの水準ではないが、状況によってはもう少し高くなる可能性もあるので注意が必要。

バランスモード時は38.3℃ほど。マルチコア性能は低下するものの、体感的な差はあまりないため、持ち運び時に温度が気になる場合はバランスモードを選択しておけば問題ない。

バランスモード時の性能は画像の通りで大幅に性能が低下することはなく、シングルコアもそのままの水準なので積極的に利用していきたい。

ファンの音の大きさについて

Turboモード時は49.5dbで非常に不快感のある音がする。

バランスモード時は39.8dbほどで環境音と同水準なのでストレスはほとんどない。

デザイン

ROG Flow X16はX13同様オフブラックカラーを採用。ASUSが「グラビティテクスチャーデザイン」と名付けたデザインは、綺麗にディスプレイされた机や持ち運び時にシンプルに使えるデザイン。

ゲーミングPCとしてもクリエイターノートPCとしてもスタンダードノートPCとしても利用でき、万人におすすめできるノートPCだ。

底面も同様のカラー、模様が施されている。

指紋が黒く目立つのが玉に瑕だが統一感があってかっこいい。

底面には冷却用の吸気穴が開いており、4ヶ所から空気を取り込む方式を採用。

ACアダプターは240WでPC本体と合わせた重量は2.89kgほどだった。持ち運びするには重たい。

モニター

ROG Flow X16のモニターはAUO社のMini LED方式のパネルを採用している。

色域

ROG Flow X16(AUO8E9D)の色域
sRGBカバー率100%
DCI-P3カバー率99.8%
Adobe RGBカバー率89.4%

有機ELに匹敵する色域の広さを持ちながら液晶パネルなので焼き付きの不安がなく、シネマカラーのDCI-P3カバー率99.8%を実現している。

リフレッシュレート

リフレッシュレートは165Hz。

競技性の高いゲームにおいて優位性を発揮できる数値で、シューター系のゲームタイトルや格闘ゲームなどでも利用可能なゲーミングモニターとしても利用可能だ。

キーボード・タッチパッド

キーボードはテンキーレスが採用されており、USキーに日本語表記を加えた外資系メーカー特有の配列になっている。

キーのストロークは浅いが、しっかりと押し込んでクリック感もあるため打鍵感は良好。

キーボードのバックライトは単色を変化させることができる。

タッチパッドについてはクリック感のあるものが採用されていて操作性は高いと思う。

インターフェース

  • DCジャック
  • HDMI
  • USB-C
  • ROG XG mobile コネクトポート(USB-C+SATA)
  • オーディオジャック

  • USB-A
  • USB-A
  • micro SDカードスロット
  • 電源ボタン

カメラ

室内の蛍光灯

ROG Flow X16は92万画素のカメラではあるものの、室内の蛍光灯でも綺麗に色が出ている。

撮影用の照明

撮影用の照明では顔の右側が暗くなっているが、暗所ではノイズが目立つ。

ROG Flow X16のウェブカメラは室内用の蛍光灯でもテレワークで利用するのに問題ない画質だと思う。

ROG Flow X16の評価とまとめ

良い点

  • ゲーミング・クリエティブ・ビジネスどれでもいける性能
  • Ryzen 7 6800HSの安定感が抜群
  • Mini LEDパネルが超綺麗かつゲーミングモニターとしても利用可能
  • 豊富なインターフェース
  • カメラの性能が

気になる点

  • 持ち運びにはやや重たい
  • 価格が高い

全てを1台でこなしたい人の欲張りコンバーチブル2-in-1ノートPC

ROG Flow X16はASUSらしい冷却性能でRyzen 7 6800HSのパフォーマンスを十二分に発揮でき、搭載GPUをRTX3060およびRTX3070Tiから選択できるため、現行ではミドル〜ミドルハイクラスのゲーミングノートPCの立ち位置だろう。

しかし、このPCはゲーミングPCやクリエイターノートPCの枠を打ち破るようなギミックを装備しており、一見無茶に見えるスペックを安定性の高いRyzen 7 6800HSというCPUによって非常にバランス感覚に優れたノートPCとなっていると感じた。

バッテリー動作時に専用GPUをオフにして利用すれば、スタンダードノートPCとして6時間以上の駆動時間を稼げるので、普段使いでも利用しやすい。

また、宅内で利用する際は電源に接続してフルパワーで動作。フルパワー時ではミドルクラスのデスクトップPCに匹敵するパフォーマンスができるため、さまざまなシーンに応じてPCを使い分けることで、ROG Flow X16の1台で済ませることが可能だ。

気になる点として、重量が2kgオーバーであるということ。日本人は15.6型ですら持ち運びには適さないとしているので、如何に汎用性の高いPCだとしても重量が重ければ選択肢として外れがち、あるいは利用していてもサブノートPCが欲しくなるという本末転倒な感じもあり得る。

使うユーザーもパワフルな人でなければならない。

とはいえ、問題点をクリアできるのであれば全てを1台でこなせるオールマイティPCなので予算や重量を気にしない人であれば一つの選択肢として検討してほしい。

ない点がこのノートPCの良い点だと考える。

価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。

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