InstagramやTwitterなどに投稿する写真でさえ、RAW現像を活用するとインプレッション数が増えるなんて言うデータもあって、パソコンを使って本格的なRAW現像を行ってみたいという方のために、Adobe lightroom Classic CCに必要なスペックとおすすめのノートパソコンをご紹介します。
ちなみに、僕もパソコンのレビュー記事用の写真でAdobe lightroom Classic CCを使うようになりましたが、使う前と比較しても写真はきれいに残せるようになったかなと感じます。
結論から書くと、RAW現像用におすすめなノートパソコンはCPUがCore i7 8565U以上でメモリが16GBあればオーケーですが、それだけだと「え?」ってなると思うので、僕が実機でテストした検証データも交えてご紹介します。
RAW現像とは
RAWデータとJPEGの違い
デジタル一眼レフを含む、『デジカメ』で撮影するとJPG(JPEG)とRAWデータをSDカード内に保存できます。
JEPGとRAWのイメージ図はこんな感じに、極端に色と解像度を下げた加工を施した写真(右)と元の写真(左)を比較させた方が説明がしやすいのでこうしています。
『JPEGデータは圧縮ファイル』なのですが、そもそも写真はどうやって圧縮(JPEG)しているかというと、JPEGは似たような色のデータは同じものだと思って色付けしています。(再現度の高さはカメラの持つ映像エンジンによる)上の画像でいうと木の色は緑色ですが、濃淡がなくなり、だいたいおんなじ色になってしまうし、雲の色と山の雪の色の差もなくなる。
反対にRAWデータは似たような色だろうが一つ一つのピクセル(画素)の色情報を残しているためデータ量は増え、一つの写真データが多くなります。
あくまで極端な例ではありますが、もう少し細かい点でいうとJPEG撮影だと(黒っぽい写真は全部くろにしちゃうため)ノイズが出るのに、RAWファイルだと(強制的に色を保持するから)ノイズが出ないなんてことも全然あります。
- JPEGデータ→似たような色は同じ色データとして保存→ちょっと適当な色
- RAWデータ→似てても一つ一つ違う色データとして保存→全てが正確な色
RAW現像は、RAWデータの持つ写真の”正確な色”に対して補正をかけて撮影者独自の世界観を反映できる画像加工のことです。
実際に一つの写真を作り上げていく工程は、マウスコンピューターが公開している上記動画が参考になります。
実機検証結果からRAW現像におすすめなスペックを解説
さて、RAW現像で最も使われるソフトウェアといえばAdobe lightroom Classic CCでたくさんのRAWデータを一括で処理し、膨大な撮影データのなかから「コレだ!」と思ったものをピックアップするわけですが、その際に用いられるパソコンのパーツは以下のもの。
- CPU
- メモリ
- グラフィックボード
- 液晶ディスプレイ
ノートPCの実際の書き出し時間
Adobe lightroom Classic CCにて、α7ⅡのRAWデータ(6000×4000,1枚あたり24M)を100枚書き出し。
設定は、
- 画質60
- 解像度240pixcel
- カラースペースsRGB
と、Adobe lightroom Classicプリセットのままです。
最新モデル11台を表にまとめるとおすすめの性能が見えてきます。
型番 | CPU | メモリ | GPU | 書き出し時間 |
---|---|---|---|---|
DGZ530 | Core i7 9700K | 32GB | RTX2070 | 1分24秒 |
NG7630 | Core i7 9700K | 32GB | GTX1080 | 1分26秒 |
i7920 | Core i7 8750H | 16GB | GTX1060(6GB) | 1分47秒 |
Pavilion Gaming 15 | Core i7 8750H | 16GB | GTX1050 | 2分1秒 |
R500 | Core i7 8565U | 16GB | MX150 | 2分37秒 |
Spectre 13 x360 | Core i7 8565U | 16GB | intel UHD Graphics | 2分41秒 |
B508H | Core i7 8565U | 8GB | intel UHD Graphics620 | 4分22秒 |
B400H | Core i7 8550U | 8GB | intel UHD Graphics620 | 4分17秒 |
B401H | Core i5 8265U | 8GB | intel UHD Graphics620 | 4分58秒 |
Pavilion cs | Core i5 8250U | 8GB | intel UHD Graphics620 | 4分52秒 |
B507E | Celeron N4100 | 4GB | intel UHD Graphics600 | 12分49秒 |
上記表が、実際の計測結果です。型番は各PCのレビュー記事にリンクされています。
CPU性能について
CPUの末尾解説
- 『K』→デスクトップ用上位モデル
- 『H』→ノート用上位モデル
- 『U』→ノート用低電圧モデル
- Celeron→廉価モデル
今回、必要な性能を導き出すために最高性能のデスクトップPCのデータを張っていますが、『NG7630』はマウスから発売されているクリエイター向けプロ用のノートパソコンで少し特殊です。
ノートPCでRAW現像するならCore i7 8565U搭載モデルがおすすめ
上記表から変化が現れるのは、Core i7 8750H搭載モデルの書き出し時間です。Core i7 8565U搭載モデルと比較すると、30秒から1分ほどですが、パフォーマンスが挙がります。
一般用途で使うのであれば、Core i7 8550Uからでも個人的には十分かなと思いますし、最高性能のモデルを購入するよりはモニターとカメラ機材にお金を払った方がコスパは良さそう。
ただし、「企業に納品用で最高画質じゃないと…」という場合は上位モデルの検討も必要かもしれません。
メモリについて
メモリは一度に大量のデータを扱う際、作業を円滑に進めるために必要なパーツ。
特に、100枚以上の写真データにフィルターをかける際はメモリの量がものをいうのが表からも見て取れます。
8GBよりも16GB、16GBよりも32GBの方が高速で書き出しをすることができます。
ただ、RAW現像は一般的な使い方というよりは専門分野に当たるため、Core i7 8750H搭載モデルを32GBにカスタムして購入といったことになるでしょうから、個人的にはメモリは16GBモデルを購入し、不満を感じたら増設といった方法がコスパが高くリーズナブルだと思います。
グラフィックボード・GPU
そして意外とみんな知らないのがGPUに関してです。インテルのCPUにはとても優秀なインテルグラフィックスというオンボードグラフィックチップが搭載されています。。
“3D描画”を得意とするグラフィックボードですが、RAW現像は既に出来上がっているデータに補正をかける作業なので、グラフィックボードパワーはアシスト的に使われるだけで、良いグラフィックボードを搭載したから大幅に処理が早くなるというわけではありません。オンボードチップのアシストでも十分快適に操作が行えるということです。
「オンボード?グラフィックボード?チンプンカンプンなんだけど?…」という方は下記記事にパソコンに搭載されるグラフィック機能をまとめましたので参考にしてください。
事実として、GTX1060とGTX1080はゲーム用のベンチマークテストを行うとほぼ倍くらいGTX1080の方が性能が高いのですが、ことRAW現像においては、倍の差が開きません。
同様に、MX150を搭載する、m-Book R500とSpectre 13 x360では差がほとんどありません。
つまり、Adobe lightroom Classicの書き出しにおいてはグラフィックボードのパワーをあまり使わないから超高性能は不要。
ただし、PhotoshopやPremiereなどコンテンツ制作においては重要なパーツでもあるため、GTX1050~GTX1060をチョイスするのが堅実でしょう。
液晶ディスプレイ
RAW現像用の液晶ディスプレイに「どこまでの色域を求めるか」は「コンテンツ(写真)を誰に届けるか(見てほしいか)」を考えるのが手っ取り早い。
Adobe sRGBはカバーしているモニターが望ましい
例えば、SNSで多くのインプレッションを獲得したいのであれば、「スマートフォンが対応する色域を選ぶべきだ!」と言いたいところですが、最新のスマートフォンは有機ELでシネマ用の超広い色域(DCI-P3)に対応してたりするので、そこまでは流石に…(DCI-P3に対応できるモニターは外付けoriMac Pro)
現実的なのは、sRGBというデジタルコンテンツ用の標準的な規格をカバーするモノです。
Adobe RGB比98%の液晶ディスプレイと普通の液晶ディスプレイを比較
ただし、ノートパソコンに採用されるディスプレイは、色域が高くても青が強めにですぎてしまい、ちょっと不自然に…
なんてこともあるため、カラーキャリブレーションが可能なキャリブレーションツールを利用し調整をしましょう。
有名な『i1 Display Pro』を僕は利用しています。
[amazonjs asin=”B0055MBQOW” locale=”JP” title=”X-Rite 日本語対応版 X-rite i1 DISPLAY PRO 『並行輸入品』”]精度を挙げるなら4Kモニター検討
4Kは(3840×2160ドット)の高解像度のモニターです。高解像=写真を拡大した時の写真が破綻せず細かい点まで修正が可能になります。最近のノートPCは4Kディスプレイを搭載したモデルもありますし、比較的安価で購入することができるためおすすめです。
液晶ディスプレイの選び方の詳細は下記記事を参考にしてください。
- 初心者向けRAW現像・写真編集用液晶モニターの選び方とおすすめ
SSD
「流行のNVMe接続のSSDか従来のSATA接続のSSDか」は、あまり書き出し速度においては重要ではありませんが、RAWデータはとにかくファイル容量が大きくなるので、大容量のSSDを搭載していた方が処理が早く終わり利便性が高いです。
価格はNVMe接続のSSDの方が高いため、安さを優先するならSATA接続のSSDがおすすめ。
おすすめなノートパソコン
と、こんな感じでつらつらと性能ついて記載してきました。RAW現像は意外にも特殊な用途なので、とにかくメモリとSSDを大容量にした方がサクサク現像でき、選ぶなら特盛スペックにカスタマイズしても安いメーカーがおすすめです。
ということで、BTOメーカーのマウスコンピュータ―から発売されているDAIV NG5500がおすすめできます。他のメーカー製PCと違い、まずデスクトップ用のCPUを搭載しているためピークパワーにかなりの余裕があります。
そのうえ、カスタマイズしても安いのでメモリ特盛SSDガチ盛にしても価格が大幅に高くなるといったことがありません。1台で済ませたい人はこのモデルを選ぶと良いでしょう。
NG5500の新モデルです。
デスクトップCPUではなくなりましたが、薄型化しており、性能はMacbookPro級でありながら、価格は18万円台とリーズナブル、sRGB比104%ではあるものの、本格的にRAW現像を行うなら外付けモニターが必要。
デスクトップCPUを搭載したモデル。
専用のグラフィックボードは非搭載ですが、デスクトップCPUのパワーがあるためRAW現像は快適に行えます。ベース価格が安いため手に入れやすいのですが、液晶モニターの品質は高くないです。
安く上げたいならコレ+専用モニターを購入するのが鉄板
4K液晶搭載でsRGB程度をカバーしている持ち運びでRAW現像用におすすめなのがm-Book J371シリーズ。メモリ16GBにしてデュアルストレージのモデルでも13万円台からと他社と比較しても抜群に安いのが魅力
一般用途からすれば、異常な価格に見えるかもしれませんが、Adobe RGBカバー率99.9%(実機検証済み)の4Kモニターを搭載モデル。
RGBカバー率99%で4Kモニターは、個別購入した場合15万円程度なのでプロクリエイター向けノートPCとしては決して高くない。むしろ高性能モデルで1台で済むことを考えるとなにかとお得だと考える人もいるのでは?実機レビューをみてください。
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