この記事はマイクロソフトが進めるARM版Windowsを迷ってる人のための診断記事です。
結論|一般的な使い方ならSnapdragon搭載PCは十分おすすめ

Snapdragon搭載ノートPCは、Armネイティブ対応アプリを使用する場合、同価格帯のIntel・AMD搭載モデルに匹敵する、または上回る処理性能を発揮することがあります。
加えて、長時間のバッテリー駆動、スリープからの素早い復帰、バッテリー駆動中でも性能が落ちにくい点が大きな強みです。使用感としては、AppleのMacBookに近い、電源やバッテリーをあまり意識せず使えるノートPCといえます。
一方で、すべてのWindowsアプリや周辺機器が完全に対応しているわけではありません。普段使用するアプリや周辺機器との互換性に問題がなければ、Snapdragon搭載PCは使い勝手がよく、コストパフォーマンスにも優れた選択肢です。
Snapdragon搭載モデルの課題
プリンタードライバー問題

筆者はSnapdragon搭載ノートPCを購入してから、約2年間使用しています。
動画視聴やWeb閲覧は非常に快適で、バッテリー残量をほとんど気にせず使えるため、現在もリビング用のサブPCとして重宝しています。
一方で、業務で使用しているキヤノン製レーザープリンターのドライバーがARM版Windowsに対応しておらず、Snapdragon搭載PCから印刷できない点は大きな課題です。
プリンター側に対応ドライバーが用意されていない以上、ユーザー側で解決するのは難しいため、印刷や業務用途にはIntelまたはAMDプロセッサを搭載したWindows PCを使用しています。
このように、Web閲覧や動画視聴などの一般的な用途では非常に快適ですが、プリンターをはじめとした周辺機器との互換性については、購入前に必ず確認しておく必要があります。
クリエイティブソフトは一部機能の対応状況に注意

Snapdragonに内蔵されているAdreno GPUは、薄型ノートPC向けの内蔵GPUとして高い性能を備えています。動画視聴や高解像度映像の出力に加え、対応しているゲームやアプリではGPU性能を活用できます。
一方で、クリエイティブソフトについては、アプリが起動するかどうかだけでなく、GPUアクセラレーションやハードウェアエンコードまで対応しているかを確認する必要があります。
2026年6月時点では、Adobe Premiere、After Effects、Audition、Media EncoderがSnapdragon Xシリーズを搭載したARM版Windowsにネイティブ対応しています。PremiereではAdreno GPUが正式な動作要件に含まれており、HEVC動画のハードウェアデコードにも対応しています。
ただし、Media Encoderのハードウェアアクセラレーションを利用した書き出しや、After Effectsの一部形式のハードウェア書き出しには、現在も制限があります。また、Intel版Windows向けに作られた一部のプラグインやRAW形式には対応していません。
そのため、簡単な画像編集や動画編集であればSnapdragon搭載PCも選択肢になりますが、書き出し速度やプラグインの互換性を重視する本格的なクリエイティブ用途では注意が必要です。
Adobeソフトや動画編集ソフトを仕事で安定して使いたい場合は、現時点ではNVIDIA製GPU、またはIntel・AMDの内蔵GPUを搭載した一般的なWindows PCのほうが、対応ソフトや機能を選びやすいでしょう。
今後はWindows on Armの対応拡大に期待
今後は、NVIDIAの「RTX Spark」を搭載したWindows on Arm製品が登場する予定です。
RTX Sparkは、ArmアーキテクチャのCPUとNVIDIA Blackwell世代のRTX GPUを組み合わせたプラットフォームです。NVIDIAとMicrosoftは、Windows、Prismエミュレーション、クリエイティブソフト、ゲームなどをRTX Spark向けに最適化しています。AdobeもPremiere ProやPhotoshopをRTX Spark向けに再設計すると発表しており、Windows on Armに対応するクリエイティブソフトは今後さらに増えていくと考えられます。
また、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft、MSIなどの主要メーカーからRTX Spark搭載PCが発売される予定で、Windows on Arm製品の普及が進めば、アプリや周辺機器メーカーが対応を進める可能性もあります。
ただし、プリンタードライバーや特殊な周辺機器の対応は、各メーカーの判断に委ねられます。RTX Spark搭載PCが登場したからといって、現在使用できないプリンターが自動的に使えるようになるわけではありません。
現時点では将来的な対応拡大に期待しつつ、購入前に使用するソフトや周辺機器がWindows on Armに対応しているかを確認する必要があります。
Snapdragon最大の強みは廉価グレードから性能が高いこと

Snapdragon Xシリーズは、最大3.0GHzで動作する高性能な8コアCPU「Qualcomm Oryon」を搭載しています。
Office作業やWeb閲覧、動画視聴といった一般用途だけでなく、複数のアプリやブラウザータブを同時に開くマルチタスクでも、快適な動作が期待できます。
また、内蔵するAdreno GPUは高解像度ディスプレイへの出力にも対応しています。仕様上は、最大3台の外部ディスプレイへ4K・60Hzで出力できるほか、2台構成では最大5K・60Hzまたは4K・120Hzの出力にも対応します。
そのため、ノートPC単体で使用するだけでなく、自宅やオフィスでは複数のモニターを接続した作業環境も構築できます。
最廉価グレードSnapdragon Xチップの主な特徴
- 最大3.0GHz動作の8コアOryon CPU
- 30MBの合計キャッシュ
- 最大1.7TFLOPSのAdreno GPU
- 最大3台の4K・60Hz外部ディスプレイ出力
- 2台構成では最大5K・60Hzまたは4K・120Hzに対応
- 45TOPSのNPUを搭載
ただし、実際に接続できるディスプレイの台数や解像度は、搭載されているUSB Type-C端子やPCメーカー側の設計によって異なります。購入前に各製品の仕様を確認してください。
Snapdragon搭載PCで動作するアプリケーションを調べる方法
Works On WoA

Snapdragon搭載PCを購入する前に、普段使用しているアプリがWindows on Armに対応しているか確認しておきましょう。
アプリの対応状況は、互換性情報サイト「Works on WoA」で調べられます。アプリ名を検索すると、Windows on Armで動作するかに加えて、「ネイティブ」「エミュレーション」といった動作方式も確認できます。
Works on WoAは第三者が運営するオープンソースの互換性データベースで、Microsoftも互換性情報を提供しています。掲載内容は随時更新されるため、購入直前に再確認するのがおすすめです。

ネイティブ動作
ネイティブ対応アプリは、Armプロセッサ向けに作られたアプリです。
SnapdragonのCPUを直接利用できるため、性能を発揮しやすく、消費電力やバッテリー駆動時間の面でも有利です。
Microsoft 365、Excel、Word、PowerPointなど、日常的に使われる主要なMicrosoft製アプリはArmに対応しています。
エミュレーション動作
エミュレーション対応と表示されるアプリは、Intel・AMD搭載PC向けに作られたx86またはx64版のアプリです。
Windows 11 on Armでは、Microsoftの「Prism」がアプリの命令をArm64向けに変換することで、x86・x64アプリを動作させます。PrismはWindowsに組み込まれているため、ユーザーが別途インストールする必要はありません。
エミュレーションでも一般的なアプリは快適に利用できますが、ネイティブ動作と比べると性能や電力効率が低下する場合があります。
筆者のベンチマークテストでは、一部のアプリにおいて、エミュレーション動作時の処理性能がネイティブ動作時の約3分の2まで低下する結果となりました。
ただし、すべてのアプリが一律に3分の2の性能になるわけではありません。性能差はアプリの処理内容、Prismへの最適化、CPUやGPUの使用状況によって変わります。
Works on WoAで確認する項目
アプリを検索したら、次の項目を確認します。
- 互換性が「はい」になっているか
- ネイティブ動作かエミュレーション動作か
- Qualcommによる検証済みか
- 最終更新日が古すぎないか
なお、Works on WoAでアプリが動作すると表示されていても、外部プラグイン、特殊な機能、周辺機器用ドライバーまで対応しているとは限りません。
仕事で必須のアプリについては、Works on WoAだけでなく、ソフトウェアメーカーの公式サイトでもWindows on Armへの対応状況を確認してください。
Snapdragon搭載PCを買ってだいじょうぶか診断テスト
下記に簡易的な診断テストを用意したのでぜひご利用ください。
Snapdragon搭載PCを買っても大丈夫?
使うソフトや周辺機器の互換性と、バッテリー・薄さ・静音性などの希望を分けて診断します。
回答内容は保存・送信されません。
Snapdragon搭載でおすすめの機種
筆者がレビューした中からスタンダードノートPC・高コスパモバイルPC・本格運用モデルの3機種おすすめモデルを用意しました。
家用の大画面モデル|HP OmniBook 3 16
HP OmniBook 3 16は、Snapdragon X Plusを搭載した16型のスタンダードノートPCです。
大画面モデルでありながら、メーカー公称では最大45時間のバッテリー駆動に対応しています。筆者の検証でも、動画を20時間以上連続再生できる結果となっており、充電を気にせず長時間使える点が大きな魅力です。
処理性能は事務作業向けで、負荷の高い動画編集やPCゲームを快適にこなすような高性能モデルではありません。一方で、Web閲覧、Office作業、オンライン学習、動画視聴といった一般的な用途では十分な性能を備えています。
16型の見やすい画面で動画を楽しみたい人や、勉強・事務作業に長時間使える家用ノートPCを探している人におすすめです。
おすすめな人
- 自宅で大画面ノートPCを使いたい人
- 動画視聴やWeb閲覧が中心の人
- 勉強やOffice作業に使いたい人
- バッテリー残量を気にせず長時間使いたい人
大画面・長時間バッテリー・普段使いのしやすさを重視するなら、有力な候補です。
長時間駆動のモバイルノートPC|Lenovo IdeaPad Slim 5x Gen 11
Lenovo IdeaPad Slim 5x Gen 11は、約1.19kgの軽量ボディと長時間のバッテリー駆動を両立した、コストパフォーマンスの高いモバイルノートPCです。
13.3型のコンパクトな筐体で持ち運びやすく、USB Type-CやHDMIなどの端子も備えているため、薄型モデルとしては拡張性にも優れています。
特に大きな魅力は、IntelやAMDを搭載したプレミアムモバイルノートPCに匹敵するバッテリー駆動時間を実現しながら、20万円以下で購入できる点です。
Web閲覧、Office作業、動画視聴、オンライン会議などの日常用途を外出先で長時間利用したい人に適しています。高級モバイルノートPCほど予算をかけずに、軽さとバッテリー性能を重視したい人におすすめです。
おすすめな人
- 通勤や通学で頻繁にPCを持ち運ぶ人
- 1kg台前半の軽量ノートPCを探している人
- 充電器を持ち歩かずに長時間使いたい人
- 価格とモバイル性能のバランスを重視する人
軽さ・長時間駆動・価格のバランスを重視するなら、有力な選択肢です。
高品質モバイルノートPC|HP OmniBook Ultra 14-kg
HP OmniBook Ultra 14-kgは、高級感のあるアルミニウムシャーシを採用した、薄型・軽量設計のプレミアムモバイルノートPCです。
手に持ったときに上質さを感じられるデザインで、所有欲を満たしながら、モバイルPCとして高い性能を発揮できる点が魅力です。
搭載プロセッサはSnapdragon X2 Eliteで、特にマルチコア性能に優れています。Webブラウザーで多数のタブを開きながら、Office、オンライン会議、クラウド型AIサービスなどを同時に利用するマルチタスク用途に適しています。
価格の安さだけでなく、本体の質感、薄さ、携帯性、処理性能まで重視したい人におすすめです。
おすすめな人
- 高級感のあるモバイルノートPCが欲しい人
- 薄型設計と性能を両立したい人
- 多数のブラウザータブやアプリを同時に使う人
- オンラインAIサービスを頻繁に利用する人
- 価格よりも品質や所有感を重視する人
高品質な筐体と高いマルチタスク性能を求めるなら、有力な選択肢です。
