CPUが多コア化するながれは今後続くとされています。AMD RYZENシリーズは長らく(というかずっと)インテルチップセットにパフォーマンスも人気も歯が立たない状況でした。
もちろん一部のAMD好きには垂涎の構成でインテルの牙城に勝負を仕掛けるも一般ユーザーまで浸透することはなく、半導体素子メーカーの長のインテルにAMDが果敢に勝負を挑み続けることは我々消費者にとっても大切なことです。
そんなAMDが発売したCPUが『RYZEN 7 2700X』です。
お得意のAPU(オンボードグラフィックチップがのったCPU)ではなく、純粋なCPUとして割り切った8コア16スレッドを有するモンスターCPUを今回は自作パソコンに組み入れたのでレビューしていきたいと思います。
なお、このレビュー記事はCPUにフォーカスをあてつつも、メモリ、CPUクーラー、マザーボード、SSDについても触れていきたいと思います。
また、Ryzen 5 2600を搭載したデスクトップPCのレビューもしましたので是非参考にしてください。
RYZEN 7 2700Xの特徴をさらっと紹介
RYZEN 7 2700Xは第2世代AMD Ryzenプロセッサーとして発表されました。コードネームは「Pinnacle Ridge(ピナクルリッジ)」
ちなみに、Pinnacle=頂点という意味。その名に恥じぬ頂点を目指したCPUであると2018年7月執筆時の僕は思います。
AMD Ryzen7 2700X | IntelCore i7 8700K | |
プロセスルール | 12nm | 14nm++ |
希望小売価格 | 329ドル(安い) | 359ドル(高い) |
付属CPUクーラー | 光る | そもそも付属していない |
オンボードグラフィック | なし | Intel UHD graphics 630 |
最新技術で安くて光る。のがAMD Ryzen7 2700Xの特徴ですね。
結論だけ記載しておくとゲーミングマシン特化であればインテル Core i7 8700Kをチョイスするのがスコア的によろしいです。普段僕が読んでいる物凄く詳しい人もそう書いてあったので間違いないです(おぃ)
僕が皆さんにお伝えできるところとしては、『比較的安く』『それとなく良さげ』なパソコン構成を目指したらこんな感じになりましたということを伝えたいのであります。
RYZEN 7 2700Xはグラフィックスカードが必須
AMDの公式ページの仕様詳細を見ればわかるのですが、Ryzen 7 2700Xにはオンボードのグラフィック(iGPU)搭載されておらず、ディスプレイに出力する際はグラフィックボードが必ず必要になります。
僕は以前利用していたASUS ROG STRIX GTX1060(6GB)を流用した形となります。ここは注意が必要です。
Ryzen7 2700Xのパフォーマンスを確認
CINEBENCH R15
CPUのパフォーマンスを測定するCINEBENCH R15では上記のような結果に。
このグラフは僕が普段からマウスコンピューターのパソコンをレビューしている際の計測データ、参考指標として利用していますが、Core i7 7820X(モデル:DAIV-DGX750)を凌駕するパフォーマンス。
とはいえ、シングルコア性能では以前インテルCPUが有利で、特にCore i7 8700K及び8700との差が顕著に出ています。(当ブログ計測データ)
PASS Mark CPUMARK
同じくCPUのパフォーマンスをテストするPass Mark CPUMARKでは、以上のような結果になりました。
ゲーミングマシンに向いていないというのは、CINEBENCH R15に見られるようなシングルCPUもあたりのパフォーマンスが欠けているからであり、無理にRyzen 7 2700Xを選ぶ必要もないのです。ピークパフォーマンスを要求される動画のエンコード時、動画の配信時に力を発揮します。
FF15ベンチマークテスト
先ほども記載した通り、ゲーミング性能でいえばIntel Core i7 8700(Kなし)モデルにもスコアは及ばず、フレームレートを計測したところRyzen搭載マシンはi7 8700よりも20fpsほど低かったです。
詳細に関しては下記記事に記載してあります。
- 【レビュー】NEXTGEAR-MICRO im600PA1|B360チップセットを搭載のお手頃ハイパワーデスクトップパソコン
- 【レビュー】NEXTGEAR-MICRO-am540PA2|Ryzen7 2700X新型CPUの実力を各種ベンチマークで検証
Ryzen 7 2700X+GTX1060(6GB)ゲーミングパフォーマンス
上記は、マウスコンピューターからレンタルしたPCのパフォーマンスですが、自作マシンを利用したモデルでどの程度の性能が出るか記載します。
各種ゲーム・ベンチマーク実行環境
CPU | AMD Ryzen 7 2700X |
GPU | ASUS STRIX ROG GTX1060 (6GBモデル) |
メモリ | 16GB(2400Mhz) |
SSD | SDSSDXPM2-500G-J25 |
FINALFANTASY15
ベンチマークスコアFHD(1920×1080ドット) | ||
軽量品質 | 快適 | |
標準品質 | 快適 | |
高品質 | やや快適 |
ファイナルファンタジー15のベンチマークはPCゲームにおいて重量級の重たいゲームとして評価されています。GTX1060(6GB)のパワーは、標準品質で”快適”とされています。
ASUS GPUのモニタリング&管理ユーティリティソフトウェア『GPU Tweak』にて、CPU温度を計測したところ、最高温度が68℃と非常に安定しています。
3DMark Time Spy
最も定番的なベンチマークソフトウェア3DMark『 Fire Strike』『Time Spy』の結果です。
FHDでは、平均以上のスコアがでていました。
ここからは実際のゲームの挙動を掲載していきます。
MHW(モンスターハンターワールド)
大人気ゲームモンスタハンターワールドをFHD(1920×1080)ドットの解像度で、『最高品質』『高』『中』プレイ時のフレームレートをMsi after burnerで計測し、平均フレームレートを算出しました。
モンスターハンターワールドFHD(1920×1080ドット)化での平均フレームレート(fps) | ||
中 | ||
高 | ||
最高品質 |
モンスタハンターワールドはフレームレート無制限がありますが、僕のモニターは60fpsまでしか対応していないため、Max60で上記のような結果に。最高品質画質では、最低35fpsまで落ち込むシーンがあり、”快適”にプレイするのであれば、高品質まででしょう。
また、モンスターハンターワールドをウルトラでプレイした際のGPU温度を測った結果、最高温度65℃、平均温度63.5℃とゲームプレイ時に発する”熱”をコントロールできていました。デュアルファンを備えるASUSのSTRIX-GTX1060-DC2O6Gならではといったところでしょうか。
PUBG
バトルロイヤルゲームで人気のPUBGはできれば100fps前後でのプレイが望ましいとされています。
PUBGFHD(1920×1080ドット)化での平均フレームレート(fps) | ||
中 | ||
高 | ||
ウルトラ |
PUBGのグラフィック設定は『低』『中』『高』『ウルトラ(最高画質)』があります。結果として、ウルトラでも平均60fps出ていますから、60hzの通常の液晶モニターを利用する場合GTX1060(6GB)でPUBGは快適にプレイすることができます。
Ryzen 7 2700Xはミドルクラスのグラフィックボードであればゲーミングのスコアはインテルにも負けないと思います。
動画編集ソフトのエンコードスピード
僕はマウスコンピューターのパソコンをレビューする際、自前で制作したYouTube動画のレンダリング(書き出し)処理の時間を計測しパフォーマンステストとしています。
動画制作ソフト『Vegas Pro15』を用いて5分程度のmp4+(テロップ、BGM付)動画をMAGIX AVC/AAC MP4フォーマットの『インターネットHD 1080P 59.94』に変換してます。(画像が誤りです)
Ryzen 7 2700XCPUエンコード
CPU単体のエンコードスピードは11分40秒という結果でした。
Ryzen 7 2700X+GTX1060(6GB)ハードウェアエンコード(NVENC)
Vegas Pro15はNvidiaのハードウェアエンコード『NVENC』に対応しています。CPUとGPUを使ったエンコード処理は単体処理よりも短い時間で作業を終わらせることが可能です。
CPU | CPU単体処理 | NVENC(GPUエンコード) |
Ryzen7 2700X+GTX1060 | 11分40秒(僕の自作) | 8分44秒 |
Ryzen7 2700X+GTX1080 | 10分3秒(マウスレビュー品) | 7分34秒 |
Core i7 7820X+GTX1060 | 10分24秒 | 8分00秒 |
Core i5 8400+GTX1080 | 15分9秒 | 7分41秒 |
Core i7 8700K+GTX1080 | 11分31秒 | 7分30秒 |
なんで僕のパソコン遅いんだ?という突込みは、高解像度の多画面出力してたからだということにしておいてください。(関係あるのか?)
さて、結果だけなぞっていきますと、CPU単体処理ではCore i7 7820Xをしのぐパフォーマンスです。(何か設定間違えたか…多分間違えた気がする)
いずれにしてもCore i7 8700Kと互角以上のパフォーマンスを発揮します。
ピークパワー時のCPUの熱
オーバークロックはしていませんが、『熱』問題を避けられないのがパソコンというものですよね。
備え付けのCPUクーラーと自作で用いた簡易水冷で検証してみました。
FF15ベンチ後のAMD備え付けのCPUクーラー
上記画像はマウスレビュー品ですが、FF15ベンチ後のCPU温度は62℃でした。七色に光る大型ファンを搭載したAMDのCPUクーラーとマウス独自のエアフロー設計ケースによりコントロールできています。
RYZEN7 2700XのCPUクーラーが大当たり確定みたいな色してて吹いた pic.twitter.com/ZMQINnI0tJ
— うっしー@ 💻ブロガー (@usshi_na_life) 2018年5月10日
エンコード2連続後のCPU温度+簡易水冷CPUクーラー
エンコードを2つ連続で行った後のCPU温度です。68℃でした。
備え付けのCPUクーラーでも十分な冷却性能を発揮してくれますし、純正で七色に光るのは見ていて気持ちがいいものです。下記は簡易水冷のCPUクーラーをつけた写真です。
簡易水冷はこんな感じ。
動画でAURASYNCを確認
ASUS ROG STRIX-X470F-GamingとRyzen 7 2700X付属リテールクーラー(Wraith Prism)を光らせてみました。(光らせるだけです。)
Ryzen 7 2700Xの価格とintel Core i7 8700Kの価格で比較
僕はお金持ちではないので、できるだけ安くハイパワーを出したい(ゲームはそんなにプレイしません)
そんな時選択肢に上がるのがRyzen 7 2700Xだと思うのでCPU単体価格をEC(ショッピングサイト)で比較してみたいと思います。(記事執筆時2018年10月6日時点の価格)
ショッピングサイト | AMD Ryzen7 2700X | IntelCore i7 8700K |
Amazon | 38,229円 | 46,437円 |
パソコン工房 | 38,229円 | 47,498円 |
ドスパラ | 38,230円 | 47,480円 |
平均価格 | 38,229円 | 47,138円 |
Core i7 8700Kはおおむねどのサイトでも40,000円を超えてきており、平均で9000円ほどCore i 8700Kの方が高い。
オンボードにグラフィックチップが搭載されていないことは先ほど記載しましたが、このクラスのCPUを考えている人は当然ながら頭の中に専用のdGPU(グラフィックボード)が当初から予算の中に組み込まれていると思います。
それであれば、ゲーミング性能の10%程度のビハインドは購入金額で納得できるかもしれません。
ここからはRyzen7 2700Xを自作を考える際に思い付いたポイントを列挙して記載していきたいと思います。
頂点の名をもつRyzen 7 2700XはCPUに極限の負荷をかけた状態でこそ、その真価を発揮するのかもしれません。
Ryzen 7 2700Xを自作時のマザーボード選び方
Ryzen 7 2700X以外にもAMDのAM4ソケット対応CPU(APU)は多数存在し、世代を超えても利用できるソケットであることが個人的には「いいね!」ポイントでした。
X470シリーズのASUSを購入したのは単純にグラフィックボードがASUSだからで、PRIMEでもROGでもぶっちゃけどちらでもよかったのですが、今回は光らせたかったのでROG X470-Fをチョイスしました。
X470FシリーズはM.2SSDのアルミのヒートシンクを標準装備しており、熱をコントロールしてくれます。
PCIe接続を行う際気を付けなくてはならないのは、爆速のSSDをチョイスした際の熱です。
ヒートシンクなしでFF15のベンチマーク
X470Fの備え付けヒートシンク付きでベンチマーク
読込速度はとてもはやいのに温度を低く保ててるとヒートシンクの偉大さが伺えます。
お世辞にも僕のデスクトップパソコンのエアフローはBTOメーカーのマウスコンピューターほど考えられていないので、単純にヒートシンクが有無が温度差になります。
SanDisk 内蔵SSD M.2-2280 / 500GB / SSD Extreme Pro / PCIe Gen3 NVMe / 5年保証 /SDSSDXPM2-500G-J25
X470とZ370マザーボードの価格比較
ASUS ROGシリーズを参考にAMDとIntelチップセット搭載マザーボードを比較
ショッピングサイト | ROG STRIX X470-F | ROG STRIX Z370-F |
Amazon | 24,565円 | 29,128円 |
パソコン工房 | 24,565円 | – |
ドスパラ | 24,602円 | 25,180円 |
平均価格 | 24,577円 | 27,154円 |
同じクラスのマザーボートで比較しようかと思いましたが、Z370シリーズは枯渇しているか、新商品に置き換わっているようです。
マザーボードでいえば、AMDチップセットを搭載したモデルは平均で3000円Z370シリーズよりほど安い。(ただし、同クラスのCPU,マザーボードで比較しているため、インテルの方はランクを落とせばもう少し価格は抑えられるかもしれません。
先ほどのCPUの価格比較も含めRyzen 7 2700Xを選ぶとCore i7 8700Kを選ぶより11500円ほど安く購入することができる。
まとめミドルクラスのクリエイティブ系、配信用で組みたいならRyzen 7 2700Xを選択しましょう
価格も見ていただいた通り、Ryzen 7 2700Xの方がトータルで安く組むことができるので、それ以外のところを気にするのであれば、ゲーミングに特化するのかどうか。
ミドルクラスのグラフィックボードならほとんど差がないはずなので、”動画編集を行いたいけどゲームはそれほどガチでプレイしない“といった用途にピンポイントでマッチするでしょう。
一方、CPUやGPUをハイエンド構成で最高スコアを出したい場合で最大で10%ほどのベンチマークスコアに差がでてしまうことを考えると、本気でゲームだけやるのであればインテルを選択することになりそうです。
しかし、2018年10月現在で、インテルCPUの製品化できるCPUが少ない=歩留まりが悪い状態とされ、直近1年はインテルCPUのコストパフォーマンスが著しく悪くなります。
低価格でハイパフォーマンスを求めるならRyzen 7 2700Xを選択肢に加えるのはありでしょうね。
Ryzen 7 2700X搭載オススメBTOパソコン
G-TUNE
ドスパラ
レイトック AT
- CPU:Ryzen 7 2700X
- GPU:GeForce GTX 1060 (6GB)
- メモリ:16GB(8GB×2)
- SSD:500GB
- HDD:2TB
- 価格:159,980 円
パソコン工房
LEVEL-C0B3-R72X-TXR [C4LAN]
- CPU:Ryzen 7 2700X
- GPU:GeForce GTX 1070 Ti 8GB
- メモリ:16GB(8GB×2)
- SSD:240GB
- HDD:1TB
- 価格:178,980円
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8700Kは普通に5GHz以上で動作するし、
定格でもQSV有効にすれば動画変換早いし、
価格も初期のご祝儀価格の頃とは違い逆転しているし、
5GHz代でOC状態で全コア最大負荷かけても65℃前後。
2700Xは熱量的に余裕が無く定格で青色吐息状態、
Steamでまともに動作しないゲームレビュー多数、
あまり人に勧められるモノではないと客観的に思う。