ROG Strix GT15は2020年8月に発売予定のASUSが販売するメーカー製ゲーミングPCです。第10世代のインテルCore i7および、Nvidia GTX1660S~RTX2070Sまでの性能から選択可能なシリーズです。
大手PCパーツメーカならではの機構やパーツ選定がされており、自作PCはしたくないけれど、BTOメーカーではなく高性能なPCが欲しいという方にお勧めです。
今回ASUSよりRTX2070S搭載モデルをお借りしたので検証結果およびおすすめポイントを解説します。
ROG Strix GT15 の特徴
動画でも解説していますので是非参考にしてください。
ASUS ROG オリジナルケース採用
自作PC界隈で定評のあるROGシリーズはコアユーザーに好まれるハイエンドPCパーツ群です。性能も価格が高いがゆえにライトユーザーから敬遠されがちなロマンあるブランドです。
かくいう筆者の僕もROGシリーズで自作PCを構成することは一つのロマンとしてとらえておりまして、手っ取り早く手に入れられるのが ROG Strix GT15のよさでしょう。
実際にROG STRIX Helios(右側)と比較してみると一回りほどコンパクトなのがわかります。Heliosケースは実売で3.5万円とミドルクラス級のGPUが一つ購入可能な金額で販売されている、リッチなPCケースです。
ROG Strix GT15のケースの材質は樹脂とアルミ、サイドパネルはガラスケースで、「価格なり」といった印象ではありますが、ASUSオリジナルのROGケースといった点で非常にお買得だと思います。「ROGは好きだけれど全部そろえるのが面倒だ」という方はこうしたメーカー製PCからチョイスするのもありかもしれません。(ROGのパーツで1から自作すると中堅クラスのスペックでも30万円を余裕で超えます。経験者談w)
GPU/マザーボードはASUS製
ROG Strix GT15はROG STRIX B460 G-Gamingというゲーミングデスクトップオリジナルのマザーボードを採用しています。
GPUは外排気型の「TURBO-RTX2070S-8G-EVO」を搭載していました。(GPUは選ぶグレードによって変更されます)
マザーボードはPrimeシリーズとROG F Gamingの中間クラスの立ち位置といった感じで、メーカー製PCに搭載されているマザーとしては贅沢で自作erとしては物足りなさを感じるかもしれません。
一応CPUやメモリのOCに対応していそうですが、メーカー保証うけられなくなりますし、備え付けのパーツではいろいろな面で不安なので、注意しましょう。
また、サイドのパネルを開封するとメーカー保証対象外になりますので注意が必要です。
メーカー製PCとしてはリッチな価格
RTX2070S搭載ゲーミングPC価格比較(税込み) | ||
---|---|---|
ROG STRIX GT15 | 国内BTO | 大手外資系 |
279,800円 | 256,960円 | 227,880円 |
価格は税込み表記です。全体的にパーツにコストがかかっているのかASUS製のゲーミングデスクトップPCは他社よりも価格が高めです。
ASUS製にこだわるのであればRyzenを搭載した「ROG Strix G15」であればもう少し安くなりますので、そちらを検討するのもありかもしれません。
ASUS ROG Strix GT15
ASUS Storeでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。
スペック
ROG Strix GT15 (G15CK-I7R2070S) | |
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CPU |
|
dGPU | GeForce RTX2070SUPER |
メモリ |
|
SSD |
|
HDD |
|
ケースサイズ(幅×奥行×厚さ) | 185mm×421mm×498mm |
重量 | 約11kg |
保証 | メーカー保証1年・24時間.365日電話サポート |
ROG Strix GT15 はCore i7 10700+GTX1660Sの構成から選択が可能です。今回メーカーから借りたモデルは最上位モデルのCore i7 10700KF+RTX2070Sの構成です。インターフェース規格など仕様詳細はASUSの商品ページから確認できます。
ベンチマーク
各種ベンチマークテストのスコアを掲載していきます。スコアは当ブログで計測した代表的な値です。個体差や計測環境など、完全に統一しているわけではないため参考程度にとどめてください。
Cinebench R20
Cinebench R20の総合スコア | |
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Ryzen 7 3700X | |
Core i7 10700KF | |
Ryzen 5 3600 | |
Core i7 9700 | |
Ryzen 5 3500 |
CPUのレンダリングスピードを計測するCinebench R20では、4717ptsでした。総合スコアではRyzen 7 3700Xにわずかにおとるものの同水準です。
3DMark FireStrike
3DMark FireStrikeのグラフィックススコア | |
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ROG-STRIX-RTX2070S-A8G-GAMING | |
TURBO-RTX2070S-8G-EVO |
3DMark FireStrikeにてRTX2070Sを搭載する自作PCとスコアを比較。外排気型GPUは内排気モデルよりもわずかにパフォーマンスが低かったです。とはいえ、体感では差がありません。
SSD・HDDの読みかき
SSDおよびHDDは中堅クラスのパーツが使われていました。メーカー製PCにありがちな構成ですが、比較的安価で高性能なので使い勝手はいいと思います。
SSD
HDD
フォートナイト
フォートナイトは、実際にソロでプレイを5分程度行い、その平均フレームレートを計測しました。(スカイダイブ時も計測しています。)プレイ内容を完全再現できないのであくまで参考程度の指標としてとらえてください。
画質はプリセットの「最高画質」「高画質」「中画質」を選択しました。
フォートナイトシーズン2の平均フレームレート | |
---|---|
フルHD(1920×1080ドット) | |
エピック(最高画質) | |
高画質 | |
中画質 |
人気ゲームタイトル『Fortnite』は最高画質で149fpsでした。最高画質でも十分にプレイ可能です。240hz以上のゲーミングモニターでプレイする場合中画質に落とせば常時200fpsオーバーでプレイ可能です。
PUBG
PUBGはトレーニングモードで建物周辺を5分程度集会した平均を算出。
おそらく、実際のゲームプレイでは、平均で10fps以上上下するものと思われます。テストモードでの集会はプレイヤーの数によってフレームレートがブレますのでこちらも参考程度に。
プリセットは、「ウルトラ(最高画質)」「高画質」「中画質」を選択
PUBGではウルトラで179fpsでした。PUBGのトレーニングモードに関しては、周囲のプレイヤーの人数や攻撃を受ける回数によって上下してしまいます。
中画質までおとすと214fpsまで向上。240hzのモニターを活かすには十分な描画性能だと思います。
ApexLegends
ApexLegendsのトレーニングモードで5分ほどマップを周回、フレームリミッターを解除し、垂直同期をオフにして、「アンチエイリアス」「テクスチャストリーミング」「テクスチャフィルタリング」、「アンビエントオクルージョン品質」を1段階ずつ引き下げ、最高画質、高画質、中画質として記載します。
ApexLgendsの平均フレームレート | |
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フルHD(1920×1080ドット) | |
最高画質 | |
高画質 | |
中画質 |
ApexLgegendsでは最高画質から200fps付近で安定して遊べます。
重量級ゲームタイトル/MHW/SOT
モンスターハンターワールドは、重量級ゲームタイトルの筆頭です。DX12オフ、垂直同期をオフにし、各プリセットにて1-1のマップを5分ほど周回しました。
選択画質は「最高画質」「高画質」「中画質」です。
最高画質でも94fps以上で駆動していました。
MHWはシューター系のゲームではないため、60fps以上でプレイできれば概ね快適とされています。最高画質でも十分にプレイ可能ですが、サクサクと軽快な動作でプレイしたい場合は高画質から安定します。
シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダー
シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダーのベンチマーク機能を使って、最高画質、高画質、中画質のプリセットを計測。
選択画質は「最高画質」「高画質」「中画質」です。
同じく重量級ゲームタイトルのシャドウオブザトゥームレイダーでは最高画質でも81ps以上で描画可能です。
ゲーム性能まとめ
ROG Strix GT15はRTX2070S搭載モデルなので、すべてのゲームを高画質以上で快適にプレイできる性能があります。
ベンチマークテスト時に記載した、内排気型(自作PCで選ばれるグラボ)と比較して若干の不利はありますが、体感上きにするほどのレベルではないと感じます。
クリエイティブ性能
クリエイティブ性能はPugetsystems社のベンチマークソフトPugetBenchを使ったテストを行い、相対的な性能を計測します。
Photoshop Bench
PhotoshopBenchでは基準であるCore i9 9900K+RTX2080+64GBメモリデスクトップPCに迫るスコアでした。ドライバが最適化されているのかフィルタースコアが大きく伸びています。
LightroomClassicBench
Lightroom Classicのベンチマークは、「アクティブ」タスクと「パッシブ」タスクを3つのカメラから撮影された素材画像でパフォーマンスを調べます。画像セットには、次のカメラからの500x画像が含まれています。
- Canon EOS 5D Mark III-22MP .CR2
- ソニーa7r III-42MP .ARW
- ニコンD850-45MP .NEF
次のタスクがテストされます。
アクティブなタスク:
- ライブラリモジュールルーペスクロール(右矢印キーを押してから画面に表示されている次の画像までにかかる時間)
- モジュールルーペスクロール(右矢印キーを押してから次の画像が画面に表示されるまでにかかる時間)
- スイッチを開発するライブラリ(Devlopeパネルボタンを押してからLightroomが実際にスイッチするまでの時間)
- モジュールの自動WBとトーン(自動トーンとホワイトバランスを適用してから画像が更新されるまでの時間)
パッシブタスク:
- 500枚をインポート(場所から追加、最小限のプレビュー、スマートプレビューを生成しない)
- 500枚をスマートプレビューを生成(デフォルト設定)
- 写真結合パノラマ(デフォルト設定を使用して6つの画像のパノラマを作成する時間[Ctrl-M])
- Photo Merge HDR(デフォルト設定を使用して6つの画像のHDRを作成する時間[Ctrl-H])
- 50x JPEGをエクスポート(50枚の画像をJPEG [60品質]にエクスポートする時間。最長辺は3840ピクセル。自動トーンとW / Bを適用)
- DNG 50x画像に変換(DNGに変換する時間[dng、Camera Raw 11.2以降、中サイズ、埋め込み高速読み込みデータ])
Lightroom Classicにおける性能評価もPhotoshopと変わらず高いスコアを出しています。おそらくメモリの差程度しかないと思われます。
PremierePro Bench
テストメディア(29.97および59.94 FPS) | |
---|---|
4K H.264 150mbps 10ビット(29.97FPS) | 4K H.264 150mbps 8ビット(59.94FPS) |
4K ProRes 422 | 4K ProRes 4444 |
4K RED | 4K CinemaRawライト |
8K RED |
PremierePro Benchはハリウッドで使われる超高級シネマカメラの10bitRAWで撮影された4Kや8K素材データの書出しやプレビューを測定し、かかったタイムをスコア化します。個人的なソースですが、50点くらいでYouTubeの動画編集は非常に快適だと感じられるはずです。
レンダリングスコアは4K動画のプレビューした際(シークバーを動かした際)のコマ落ちを計測しているため100点以上にはなりません。
クリエイティブ性能まとめ
Photoshopやlightroom Classicなど、画像処理系のタスクは非常に快適です。プロユースの4K動画編集もこなせる性能がありますが、保存できる容量がすくないので専用で使うことはおすすめしません。
YouTube用のフルHDの動画編集なら非常に快適だと思います。
ROG Strix GT15のケースレビュー
本体前面のデザイン
PCケースは不規則な角がたったデザインで存在感があります。
前面、上部、下部から吸気し、熱い空気を後方から排気するシステムで、オーソドックスなメーカー製PCといった感じ、外排気GPUやサイドフローのCPUクーラーを利用することでコンパクトケースの不利を感じさせないエアフローです。
フロント備え付けのヘッドセットスタンドの耐荷重は3kgで一般的なゲーミングヘッドセットをひっかっけておくことができます。
サイドパネル・ガラスパネル
ケース左側はガラスケースとなっており、内部パーツが見えます。電源はシュラウドによって隠されていますが、公式ページのスペック表によると500Wの電源が採用されているとのこと。おそらくHDDもシュラウド内に設置されていると思われます。
内部のCPUクーラーですが、サイドフロー型のものが採用されています。メーカー名は確認できませんが、「Cooler Master Hyper H412R」クラスかな、と。
右側はこんな感じです。
本体上側のデザイン
耐荷重20kgのハンドルがついています。
フロントインターフェース
- USB3.1(Type-C/Gen1) ×1
- USB3.0 ×1
- ヘッドホン出力 ×1
- マイク入力 ×1
本体背面のデザイン
ケースファンは80mmのタイプです。回転数が高いので音の大きさが気になるかもしれません。
背面インターフェース
- USB3.2(Type-C/Gen2x2) ×1
- USB3.0 ×6
- ライン入力 ×1、ライン出力 ×1
- マイク入力 ×1、リアスピーカー ×1、センター/サブウーファー ×1、
- Type-C ×1
重量
重量は実測値で10.24kgでした。デスクトップPCとしては普通の重量です。ハンドルがある分他のPCよりも設置しやすいと思います。
エアフロー・冷却性能・ファンの動作音について
ファイナルファンタジー15を動作させているときのPCケース全体の写真です。(ガラス越し)GPU本体と後方に熱が集中していることがわかります。
VRM周りの温度は35℃付近で安定していました。ヒートシンクのおかげでしょうか。
FF15を3時間連続動作させた際のCPU及びGPU温度です。80℃以下で安定しています。長時間高負荷をかけても問題ないと思います。
ファンの動作音
同じくFF15実行時、PCのすぐ近くに騒音計を設置したところ、47db-50db程度でした。
デスクトップPCとしてはやや大きめな音でですが、メーカー製のPCとしては普通だと思います。静音にこだわるなら自作するか、上位の水冷モデルを選択するのがよさそうです。
ケースのLEDライティングについて
ASUS AURA SYNCといえば、マザーやGPU、内部ファンが一般的ですが、ROG Strix GT15はケースそのものにLED(アドレッサブルヘッダー)が埋め込まれています。そのため発光がマイルドでガラスケース全体を照らすような優しい光になります。
設置個所は前面のライトバー
ガラスパネル側の上奥とROGロゴ側の縦一面です。
発行パターンは専用ソフトAMOURY CRATEからです。
AMOURY CRATEではROG製品とライティングの同期も可能です。
ROG Strix GT15の評価とまとめ
良い点
- ミドルクラス~ミドルハイクラス相当のマザーボード採用で安心感がある
- 配線が綺麗にまとめられており、電源も見えない
- LEDの主張しすぎない光り方が良い
- “ROG”としては安い
気になる点
- 競合他社の同スペックモデルと比較すると価格が高い
- 拡張の限界値は低め
- 前面、下側のメンテナンスが悪い
ROG入門用ゲーミングPCとしてはあり
ハイスペックなパーツブランド「ROG」にコストパフォーマンスを求めてはいけないのですが、メーカー製のPCとして、他社よりも高いのが気になります。(ROG Strix HeliosやROG Thorなど個別にROGブランドのパーツを購入するよりは絶対安い)
採用GPUはASUS製とはいえ外排気型GPUなのでパフォーマンスが他メーカーのものと大幅に変わることがないため、やや持ったいない気がしました。
また、前面や下側に埃がたまった際、気軽に取り外せるような機構があったらよかったなと思いました。
とはいえ、全体的には高品質、高性能でまとまっているゲーミングPCと評価できますし、所有欲を満たすギミックもあります。例えばROG PhoneからASUSのROGシリーズを知った人は このPCから真のROGユーザーを目指すのもありかもしれません。
ASUS ROG Strix GT15
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