電子部品卸売りの米フュージョン・ワールドワイドのトビー・ゴナーマン社長はロイターに、サムスンの32ギガバイト(GB)DDR5メモリチップモジュールの11月の契約価格が239ドルと、9月の149ドルから60%高くなったと述べた。16GBと128GBは約50%引き上げ、それぞれ135ドルと1194ドルとした。64GBと96GBの価格も30%以上上がったという。ロイター
という衝撃的なニュースが。
2025年の底値でメモリを買えた人からすると、
同じ容量を2026年に買おうとしたら“3倍近い値段になっている”
そんな未来が現実味を帯びてきました。
2025年から2026年にかけて、ゲーミングPCを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。
メモリやSSDの価格高騰、GPUの世代交代、Windows 10サポート終了に伴う買い替え需要など、ユーザーの「今買うべきか、待つべきか」という判断を迷わせる要素が一気に増えてきました。
この記事では、2025〜2026年にゲーミングPCがどう推移していきそうかを、PCレビュワーの視点から整理しながら予測していきます。
これからゲーミングPCを購入する人はもちろん、「今のマシンからそろそろ乗り換えたい」という人の判断材料になれば幸いです。
小売店の価格はすでに高騰
CORSAIR DDR5-4800MHz ノートPC用 メモリ VENGEANCE DDR5 32GB [16GB×2枚] SO-DIMM CMSX32GX5M2A4800C40 (P…
店頭やECのメモリ価格は、すでにかなり強烈に跳ね上がっています。
Amazonでは Corsair のノートPC向けメモリが 12,169円 → 34,704円 と、約2.8倍まで急騰しました。(現在売切れ)

ただし、これは
- 「メモリが値上がりする」というニュースが出たことで需要が一気に高まった
- 小売側もそれを見て、将来の仕入れ値上昇を先回りして価格に乗せている
という “ニュース起点のオーバーシュート” になっている可能性が高いです。
実際のところは、この異常値から少し落ち着いて、
「2025年の底値と比べておおよそ2倍前後」 の水準に収れんしていくと考えています。
とはいえ、「一時的に高いだけで、そのうち元の値段に戻るでしょ」
というイメージは危険で、
“行き過ぎた高値から少し下がるだけで、ベースの価格帯自体は2倍近くまで切り上がる”
くらいに見ておいたほうが、2026年のゲーミングPCの予算感としては現実的です。
DRAMを搭載しているSSDの価格も上昇中
Samsung 990 PRO 2TB PCIe Gen 4.0 x4 (最大転送速度 7,450MB/秒) NVMe M.2 (2280) 内蔵 SSD MZ-V9P2T0B-IT…

メモリほどのインパクトではないものの、DRAMを搭載したSSDも確実に値上がりしています。
例としてサムスンのハイエンドSSD 「Samsung 990 PRO 2TB」 を見ると、
Keepaの履歴では 2025年8〜9月ごろの実売価格は約2万2,000〜2万3,000円台がボトムでした。
それが11月下旬時点では 27,490円 まで上がっており、
底値ゾーンから見ると約2割程度の値上げになっています。
一時的にセールが終わっただけというより、
グラフ全体の“最安値ライン”そのものがじわじわ切り上がっていて、
「安いときは2万円ちょいで買えたSSDが、今は2万7千円前後が当たり前」
という水準に変わりつつあるのが分かります。
まだメモリのような“2倍コース”にはなっていませんが、
2TBクラスのSSDをシステム+ゲーム用に2本刺しするようなゲーミングPCでは、
この1本あたり数千円の上昇が、そのまま合計予算を押し上げる要因になってきます。
GPUメーカーもGPUを値上げミドルクラスで1~2万円ほどの価格上昇になるか
SAPPHIRE PULSE Radeon RX 9060 XT GAMING OC 8GB グラフィックスボード 11350-04-20G VD9222

GPUメーカー各社も、2025〜2026年にかけてはおおよそ1割前後の値上げに踏み切る可能性が高いとされています。
ウエハーコストやGDDRメモリ、冷却・電源周りの部材高騰に加え、円安が続けば、日本の店頭価格はそのまま素直に上乗せされます。
実売を見ると、RX 9060XT クラスのボードはセール時なら5万円前後で買えることもあります。
仮にここから販売価格が30%上がったとしても、5万円 → 約6万5,000円です。
もちろん痛い値上げではあるものの、
- もともとの価格が安い
- BTO側は他パーツとのセット価格で調整できる
といった要素もあり、“ハイエンドモデル(DRAM16GB以上)”ほどのインパクトにはなりにくいと考えられます。
2025年のセール期間中はメーカー製PCのほうが有利か
2025年11月25日時点では、自作向けメモリとは対照的に、BTOゲーミングPCのメモリ価格はまだ本格的な値上げが始まっていません。

たとえばマウスコンピューターの NEXTGEAR シリーズでは、店頭やECサイトのメモリ高騰を踏まえた価格改定は行われておらず、従来どおりのメモリ増設オプションが用意されています。

レノボのゲーミングPCシリーズについても、現時点では「高くなった」と言い切れるほどの上げ幅はありません。

一方で、フロンティアは構成を工夫しているように見えます。もともと 64GB(32GB×2)構成だったであろうモデルを、32GB×1構成に変更して販売しており、限られたメモリ在庫をやりくりしていると考えられます。ゲーミングPCユーザーは「デュアルチャネル動作かどうか」よりも、まず容量が何GBあるかを重視する傾向が強いため、シングルチャネル化よりも「とにかく32GB積めること」を優先した判断と言えるでしょう。
BTOメーカーは予算15万円価格帯をどう守るのか?
ゲーミングPCを買うユーザーは、おおよそ「10万円・15万円・20万円・それ以上」といった形で予算を決めてから機種を探します。
そのなかでも10〜15万円帯はボリュームゾーンで、各社とも主力シリーズをここに厚く並べています。


- マウスコンピューター:NEXTGEAR JGシリーズ
- Lenovo:Lenovo LOQ Tower
- 日本HP:OMEN 16L の下位構成 ……など
ところが、もしメモリの仕入れ価格がほぼ倍になってしまうと、
BTOメーカー側の原価も大きく膨らみます。
16GB→32GB構成のモデルでは、1〜2万円前後のコスト増になってもおかしくなく、
今のままのスペックで「15万円ピッタリ」を守るのはかなり厳しくなるでしょう。
その結果どうなるかというと、価格は据え置きでも、
同じ15万円で買えるスペックが1〜2万円分くらい“しぼむ”
という形の“実質値上げ”が起きると考えられます。
ダウングレードの候補として真っ先に削られやすいのはCPUです。
実際、いまだに Ryzen 5 4500 搭載モデルが主力ラインナップに残っていることを考えると、
「CPU世代を1〜2段落として価格を合わせに行く」動きは十分あり得ます。
一方で、DDR4メモリは生産終了フェーズに入りつつあり、
メーカーがどれだけ在庫を確保しているか、
あるいは安い価格で長期の発注を取れているかが今後の価格戦略を左右します。
それが難しくなれば、プラットフォームごと AM5+DDR5 へ移行せざるを得ず、
その分コストはさらに上がります。
GPUの値上げ分はRadeon変更で価格帯を死守か

実際の例として、マウスコンピューターでは
Ryzen 5 7500F+AM5マザーボード+DDR5メモリ構成のNEXTGEARが新商品としてラインアップに追加されました。
この方向に完全に切り替わると、原価高騰は避けられず、
今度はGPUをGeForceからRadeonへ切り替えたり、
上位GPUの搭載グレードを絞るなどして、
なんとか15万円帯を維持しようとするはずです。
いずれにしても、
「今と同じ15万円」で買えるスペックがいつまで続くかは怪しい状況です。
冬のボーナス需要で予算が投下される2025年末商戦は、
“今の水準の15万円ゲーミングPC”を狙える最後の買い時候補として
意識しておいてよさそうです。
旧世代パーツで“価格だけ”を合わせる動きも出てくる

レノボは廉価グレードのゲーミングノートとして Lenovo LOQ Essential Gen 10 の販売を開始しました。
このモデルは Ryzen 7 7735HS+RTX 3050 Laptop GPU を搭載しており、どちらも世代としては一歩古いパーツですが、ライトなFPSやMOBAなら十分遊べる性能です。
ポイントは、こうした旧世代パーツを組み合わせて価格を抑えるラインアップを、外資系メーカーも積極的に用意し始めていることです。
「最新世代は高いので、あえて2世代3世代前で安くする」という構成が、今後さらに増えていくと予想されます。
その結果として起きるのが、2〜4万円程度の“実質的な値上がり” です。
どういうことかというと──
- 価格高騰前:同じ12〜13万円台でも、もう少し新しいGPUや大きなSSDを積んだモデルが買えた
- 価格高騰後:表向きの価格はあまり変わらないが、
- CPU・GPUが旧世代になる
- SSD容量やメモリが削られる
- あるいはTGP(出力)をあげて新型に性能を合わせられるようにコストを合わせる
といった形で、同じ金額でも1〜2ランク下のスペックしか選べなくなる可能性が高い、という意味です。
「セールが終わったらいきなり5万円高くなる」というより、
“見かけの価格は似たまま、中身が2〜4万円ぶんショボくなる”
そんな形での値上がりをイメージしておくと、2025〜2026年のゲーミングノートの立ち位置が見えやすくなると思います。
まとめ:価格は2~4万円高騰、上位モデルはそれ以上も覚悟
ここまで見てきたとおり、メモリ・ストレージ・GPUという主要パーツが軒並み値上がり方向に動いているため、同じクラスのパーツを使ったPC全体の価格は、少なくとも2~4万円程度高くなる可能性が高いです。
この「+2~4万円」は、主に10万~20万円ゾーンのゲーミングノート/ゲーミングPCの話です。
20万円を超えるような上位モデルになると、もともと使われているパーツ自体が高額で供給量も絞られやすく、それ以上の値上がりになってもおかしくありません。
しかも、単純に値札が上がるだけでなく、
- 同じ価格帯でも搭載パーツが1~2ランク落ちる
- TGPやストレージ容量でさりげなくコストダウンされる
といった“実質値上げ”の形で効いてくる可能性もあります。
セールが終わったあとに、こうした値上がりインパクトが一気に表面化してくると予想できるので、
買い替えや新規購入を考えている人は、余裕があるうちに早めの購入を検討しておくのがおすすめです。

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