2025年は、Intel Core Ultraシリーズを搭載したノートPCが各社から登場し、
AI処理にも対応した高性能モデルが一気に増えました。
なかでも注目は、携帯性とパフォーマンスを両立した14型クラスのクリエイターノートPC。
今回はその中でも人気の高い
Lenovo Yoga Pro 7i Gen 10 と Dell 14 Premium の2機種を比較します。
結論から言うと、**総合的な完成度が最も高かったのは「Yoga Pro 7i Gen 10」**でした。
ベンチマークスコア・ディスプレイ品質・価格バランスのすべてが優秀で、
幅広いユーザーにおすすめできる万能モデルです。
結論:クリエイティブ性能・コスパで選ぶなら「Yoga Pro 7i Gen 10」

Yoga Pro 7i Gen 10は、Lenovoの上位モバイルノートとして位置づけられるモデルで、
14.5型の**3K OLEDディスプレイ(3000×1872)**を採用しています。
リフレッシュレートは最大120Hzに対応しており、
Webブラウジングや映像編集などのスクロール動作も非常に滑らか。
OLEDならではの高コントラストとDCI-P3 100%対応の広色域で、
写真編集や動画制作などクリエイティブワークにも最適な表示品質を実現しています。
また、上位CPUであるCore Ultra 9 285Hを搭載し、
32GBメモリ・1TB SSD構成でも約21万円台と価格設定も良心的。
500万画素のIRカメラやデュアルマイクも備え、
ビジネス用途からクリエイティブ作業まで幅広く対応できる万能ノートPCです。
スペック比較表
| 項目 | Yoga Pro 7i Gen 10 | Dell 14 Premium |
|---|---|---|
| CPU | Intel Core Ultra 9 285H(最大5.4GHz) | Intel Core Ultra 7 255H(最大4.8GHz) |
| GPU | Intel Arc Graphics(内蔵GPU) | Intel Arc Graphics(内蔵GPU) |
| メモリ | 32GB LPDDR5X(8533MHz) | 32GB LPDDR5X(6400MHz) |
| ストレージ | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0) | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0) |
| ディスプレイ | 14.5型 3K OLED(3000×1872)120Hz / DCI-P3 100% / HDR1000 | 14.5型 3.2K OLED(3200×2000)OLED / DCI-P3 100% /120Hz |
| カメラ・マイク | 500万画素IRカメラ / デュアルマイク | FHDカメラ / デュアルマイク |
| 重量 | 約1.54kg | 約1.72kg |
| バッテリー駆動時間 | 約11時間 | 約12時間 |
| 価格(目安) | 約21万円前後 | 約33万円前後 |
| レビュー記事 | レビュー | レビュー |
スペックを比較すると、Yoga Pro 7i Gen 10とDell 14 Premiumの価格差はおよそ12万円あります。
Yogaは上位CPU(Core Ultra 9 285H)と高品質な3K OLEDディスプレイを搭載しているため、
ハードウェア構成だけを見ても上位グレードの製品といえます。
Dell 14 Premiumは、上質なデザインと高品質なスピーカーを備えたモデルで、
所有欲を満たす仕上がりが魅力の1台です。
筐体はアルミ素材をベースにしたシンプルで洗練されたデザインで、
キー配列やタッチパッドの質感も上位機種に近い完成度。
さらに、内蔵スピーカーの音質も高く、中低音の厚みやステレオ感がしっかりしているため、
動画視聴や音楽再生を楽しむ用途にも向いています。
ここからは、実際のベンチマーク結果や動画エンコードテストをもとに、
この価格差が性能面でどの程度の違いを生むのかを解説していきます。
ベンチマーク比較
CPU性能比較:Cinebench R23ではYoga Pro 7i Gen 10が勝利

Cinebench R23の結果では、Core Ultra 9 285Hを搭載したYoga Pro 7i Gen 10が高いスコアを記録しました。
マルチコアスコアは17,796ptで、Core Ultra 7 255Hを搭載した**Dell 14 Premium(16,741pt)**を上回る結果です。
| モデル | CPU | マルチコア | シングルコア |
|---|---|---|---|
| Yoga Pro 7i Gen 10 | Core Ultra 9 285H | 17,796 | 1,942 |
| Dell 14 Premium | Core Ultra 7 255H | 16,741 | 2,000 |
シングルコア性能ではDellがわずかに上回っていますが、
動画エンコードやRAW現像などマルチスレッドを多用する作業ではYogaが有利です。
GPU性能でもYoga Pro 7i Gen 10が優勢

動画編集や3D処理を行う際の**GPU性能(内蔵Intel Arcグラフィックス)**でも、
Yoga Pro 7i Gen 10が明確に上回る結果となりました。
上のグラフは、YouTubeプリセット(H.264コーデック)で実施したエンコードテストの結果です。
Yoga Pro 7iは178秒で完了したのに対し、Dell 14 Premiumは230秒と約30%遅い結果となりました。
この差は、CPUの上位モデル(Core Ultra 9 285H)によるGPU動作クロックの高さや、
本体設計上の電力制御(TDP設定)の余裕によるものと考えられます。
つまり、動画編集やAI画像生成などGPU負荷の高い作業でも、Yoga Pro 7iは安定して高パフォーマンスを発揮できるということです。
「GPU非搭載ノートでもクリエイティブに使いたい」ユーザーには、Yoga Pro 7iが最適な選択肢です。
Cinebench実行時の電力制限について

Cinebench R23実行中の電力制御(PL設定)を確認したところ、
Dell 14 PremiumとYoga Pro 7i Gen 10では明確に異なるチューニングが行われていました。
グラフを見ると、Dell 14 Premiumは初期60W付近から徐々に電力を抑え、最終的には約33Wで安定。
一方、Yoga Pro 7i Gen 10は約50W前後を長時間維持しており、
高負荷時の電力供給に余裕を持たせた設定になっています。
ファンの駆動音、熱と動作周波数について
Yoga Pro 7i Gen 10


Dell 14 Premium


Cinebench R23を10分間連続で実行し、CPUクロックと温度の推移を計測しました。
結果を見ると、Dell 14 Premiumではテスト開始直後に一時的に高クロックへ上昇した後、
温度の上昇(約90℃付近)に合わせてクロックが徐々に低下していることが分かります。
この挙動は、明確にサーマルスロットリング(熱による出力制限)が発生している、
もしくはメーカー側で温度を一定範囲に収めるよう制御していると考えられます。
結果として、Dellは発熱と騒音を抑える代わりに長時間のクロック維持性能がやや低い設計です。
一方で、Yoga Pro 7i Gen 10は温度が80℃前後で安定しながらも、
クロックは約2.8〜3.0GHz前後を長時間維持しており、冷却性能と電力制御のバランスが非常に良好。
そのため、連続した高負荷作業(レンダリング・エンコード)でもパフォーマンスを維持しやすい結果となりました。
ストレージの性能
Yoga Pro 7i Gen 10


Dell 14 Premium


SSD単体の性能差は確かにあるものの、体感上はほぼ同等レベル。
「OS起動が速い」「アプリがすぐ開く」といった操作感はどちらも快適です。
モニター
Yoga Pro 7i Gen 10 14.5型 3K(3000×1872ドット) OLED


Yoga Pro 7i Gen 10のディスプレイは、14.5型・3K OLED(3000×1872)を採用しています。
リフレッシュレートは最大120Hzに対応しており、スクロールや動画再生も非常に滑らか。
さらに、DCI-P3 100%対応の広色域パネルで、映像の発色やコントラストも豊かです。
動画視聴や写真編集、コンテンツ制作など、ビジュアル品質を重視する用途に最適なモニターといえます。
ただし、解像度はDell 14 Premium(3.2K OLED)よりもわずかに低く、
細かい文字や高解像度素材の確認ではDellにやや分があります。
それでも全体的なバランスは非常に良く、
映像の美しさと応答性を両立した高品質なディスプレイに仕上がっています。
Dell 14 Premium 14.5型3.2K(3200×2000ドット)


Dell 14 Premiumは、**14型・3.2K OLED(3200×2000)**ディスプレイを搭載しています。
解像度はYoga Pro 7i Gen 10の3Kパネルよりもわずかに高く、
細部の描写や文字の滑らかさに優れています。
さらにこのパネルは、出荷時にキャリブレーション(色補正)済みで、
実測でもDCI-P3色域にほぼ重なる高い色再現性を示しました。
そのため、映像編集や写真補正など、色の正確さを求める用途にも安心して使える品質です。
OLEDならではの高コントラスト・深い黒も相まって、
映画鑑賞やWeb制作など、幅広い用途で高い視覚体験を得られるディスプレイとなっています。
バッテリーの持続時間
Yoga Pro 7i Gen 10

Dell 14 Premium

バッテリーテストの結果では、Yoga Pro 7i Gen 10とDell 14 Premiumの駆動時間に大きな差はありませんでした。
動画再生を行う実使用テストで計測したところ、両機種の差はわずか1分程度。ほぼ同等の持続時間といえます。
デザイン:洗練された印象はDellが上
デザイン面では、Dell 14 Premiumのほうがより洗練された印象です。
筐体全体が薄く均整の取れたデザインで、曲線とエッジのバランスが美しい仕上がりになっています。
ヒンジやキーボードまわりの加工精度も高く、見た目だけでなく触れたときの質感にも上品さを感じます。
一方、Yoga Pro 7i Gen 10は機能性を優先した設計で、
剛性感や放熱性は非常に優れていますが、ビジネス寄りの堅実なデザインという印象です。
結論:性能と価格で選ぶならYoga Pro、デザインと選択肢の多さならDell 14 Premium
最終的にまとめると、
**性能と価格のバランスを重視するなら「Yoga Pro 7i Gen 10」**がおすすめです。
Core Ultra 9搭載による圧倒的な処理性能、3K OLEDの美しいディスプレイ、
そして21万円前後という価格設定は非常に優秀で、コスパ重視のクリエイターや学生にも最適です。
一方で、デザインの完成度や拡張性を重視するなら「Dell 14 Premium」。
筐体の美しさや質感の高さに加え、上位構成では専用GPU(RTX搭載モデル)へのアップグレードも可能。
将来的に3D制作やゲームなど、より重い作業に挑戦したいユーザーにも向いています。

Yoga Pro 7iGen 10 (14型Intel)
公式サイトでみる
