IntelCPUとRadeon Vega Mを搭載するチップセットを”Hades Canyon”(ハーデスキャニオン)というらしいです。
ハーデスは冥界の王として有名ですが、その名前がNUCのコードネームに作ってどういうこと?(NUC=Next Unit of Computing の略で、インテルの推進する据置型の約 10cm x 10cm の超小型パソコンの規格)と思いましたが、Kaby-Lake世代CPU+AMD Vega=Kabe Lake-Gの組み合わせは確かに強力でした。
この記事では、パソコン工房より販売されているLEVEL-IN7N-i7-VHX(Hades Canyon PC)をお借りし実機テストの結果をもとに批評する記事です。
Intel NUC “Hades Canyon”の特徴
とにかくコンパクト!iPhone SE4台分の幅
奥行きがiPhone SE程度、幅もSEを4台並べた程度と、非常にコンパクトに作られており、置き場に困ることはまずないでしょう。
一般的な15.6インチノートパソコンよりもコンパクトかつ拡張性を確保するべくポート類も豊富です。
ゲーミング性能はGTX1050Ti程度でまずまず
低(最低画質) | 中 | 高 | |
平均FPS | 193.63fps | 94.532fps | 48.095fps |
MSi社の「after burner」を用いて、大人気ゲーム『Fornite(フォートナイト)』実際のフレームレートを計測。エクセルに書き出して平均フレームレートを出してみました。
実際の性能としては、GTX1060よりやや低め。GTX1050Ti程度といったところでしょうか。バトルロイヤルゲームを低~中画質でプレイすることは十分可能です。
しかし、高画質以上となるとかなりきびしめで、カクツキを確認できるレベルでフレームレートがおちてしまいました。
鉄拳7FR
鉄拳7FRにおいては、対戦中にフレームレートが57より下になることはありませんでした。
格ゲー専用機としてはかなり優秀だと思います。
高速M.2SSDを搭載
LEVEL-IN7N-i7-VHXでは、インテル製のM.2SSDが搭載されていました。2400MB/sというと最高速度ではないものの、体感速度的には3000MB/sとまったくかわらないです。
大容量のデータ読込を行う場合を除いてあまり効果はないものの、Kaby Lake-GシリーズのCPUパワーであれば、動画の編集作業やRAW現像も行うことができます。

LEVEL-IN7N-i7-VHXのスペック
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | Core i7-8705G |
メモリー | 32GB※仕様変更で32GBに増設済みモデルをレンタルしました。 |
ストレージ | NVMe SSD:250GB(最大1TB SSD) |
グラフィックス | Radeon RX Vega M GL graphics |
光学ドライブ | なし |
通信機能 | 無線LANIEEE802.11 ac/a/b/g/n,Bluetooth 4.2モジュール,1000Base-T対応有線LAN |
インターフェース | USB3.0×5USB3.1×1/USBTypeC×3/HDMI×2/miniDisplayPort×2/SDカードスロット/光オーディオ×1/ヘッドフォン・マイク兼用×1 |
セキュリティ | ケンジントンロック,TPM2.0,ノートンセキュリティ(初回お試し版) |
サイズ/重量 | 221mm×142mm×39mm |
保証 | 1年間無償保証 |
Hades Canyon(NUC)のデザインについて
デザインといってもNUC規格のパソコンは、ほぼ統一されていてパソコン工房のLEVEL-IN7N-i7-VHXはLEVELロゴが面白みを加えてくれているので、Amazonなどでキットを購入するよりも良いかなと個人的には思いました。
ただし、ドクロが光る仕様はオフになっているので、BIOSから変更する必要があります。僕は変更する必要はないと判断したので光らせません。(お
豊富な拡張ポートを装備
驚いたのは、このポート類の多さです。ノートパソコンよりも小さいのにこれだけの拡張ポートを装備しているパソコンはめったにないでしょう。
これでもかとモニター出力を装備している点は「Vega M使って」といっているようで気持ちがいいです。
HDMI×2、miniDisplayポート×2さらにUSBType-C×3と、どれだけモニター出力させたいのだろうか。
Kabe Lake-Gのベンチマーク結果
Cinebench R15
Kaby Lake-GはノートPC用チップセットということで、CPU単体パワーはCore i7 7700HQよりも10%ほどベンチマークスコアが伸びています。
上記は僕が実機テストしてきた結果をグラフにまとめたものですが、NUCは省電力・小型を軸として開発されているため、パフォーマンスは、Core i7 8750Hには及びません。
が、このスコア差を実性能(動画の書き出しやゲームのパフォーマンス)当てはめてみるとそこまで大きな変化はありません。
3D Mark Time Spy
DX12の3D Mark Time Spyでは2255という結果でした。
GPU別スコア | Vega M | GTX1050 |
スコア | 2255 | 1865 |
専用GPUのGTX1050よりもパフォーマンスが高いと出ました。Vega M GraphicsのパフォーマンスはGTX1050Ti程度の性能であると考えてよいと思います。
FF15
重量級のPCゲームFF15では、FHD(1920×1080ドット)で『普通』でした。
GPU別スコア | Vega M | GTX1050 |
スコア | 3141 | 3102 |
FF15においても、GTX1050よりもパフォーマンスが高いという結果に。なお、GTX1050検証機はマウスコンピューターのNEXTGEAR-NOTE i5330GA1です。
動画のレンダリング性能を検証

実際に僕がYouTubeに投稿したテロップ、アニメーション有の5分程度の動画のレンダリングテストを実施し実性能を計測します。
CPU単体
QSV(CPU+iGPU)
Kabe Lake-GはVega MGraphicsのほかに、インテル HD Graphics630も搭載しているため、QSVで変換することが可能です。
CPU | CPU単体処理 | CPU+GPUエンコード |
Core i7 8705G | 18分11秒 | 8分05秒 |
Core i7 8750H | 17分28秒 | 7分57秒 |
CPU単体の処理では、第8世代のノート用フラッグシップCPU Core i7 8750Hの方が40秒ほど早いという結果でしたが、QSVを利用すると差はほとんどなくなります。
残念なことにVegas ProにはRadeonを100%発揮できるハードウェアエンコードをするすべがないのですが、インテルCPUがやはり優秀なのでレンダリングに使えずともよいのかもしれません。
RAW現像
Adobe Lightroom Classic CCにて100枚のRAWファイルを書き出す時間を手動計測しました。
スペック | 書き出しにかかった時間 |
Core i7 9700K +GTX1080 メモリ32GB | 1分24秒 |
Ryzen 7 2700X+GTX1060 メモリ16GB | 1分46秒 |
Core i7 8705G+Vega M メモリ8GB | 1分57秒 |
という結果に。真ん中のRyzen PCは僕の自作パソコンでRyzen 7 2700XというAMD社のハイパフォーマンスモデルで構成。
一番上がマウスコンピューターのクリエイター向けノートPC『DAIV』のフラッグシップモデルでデスクトップCPUの最新版を搭載しています。
Vega M Graphicsの恩恵はRAW現像でしっかり受けられていると思います。
レンダリング時のCPU温度
動画をレンダリングした際のCPU温度をソフトウェアで計測。最高温度は89℃と高めではあるものの、アイドル時は安定しており耐久性は高いと思いました。
おすすめポイントとまとめ
上記結果をみてRAW現像など、Radeonが活かせるシーンがないと割高だと感じてしまいますが、パフォーマンスがGTX1050Ti程度ということや薄型化できる点をふまえると、Kabe Lake-Gを搭載したノートPCがあったら、NVIDIA社のwith MAX Qデザイン(簡単に言うと薄型省エネ版GPU)の専用GPU搭載ノートPCを購入するよりもコスパが高いと思います。
ちなみに、Kabe Lake-Gを搭載したノートパソコンはHP(ヒューレットパッカード)の”HP Spectre 15 x360″やAcerの”Aspire 7″があります。
僕が特に良いなと思ったポイントはピーク時の熱が許せる温度だったところ
専用GPUを搭載したマシンはレンダリングの速度やゲーミングのパフォーマンスが高い。しかし、Core i7 8750H搭載のゲーミングマシンはピーク時に100℃になることをソフトウェア上で確認しているため、常に全開パフォーマンスというわけにもいきません。
ところが、このIntel NUC “Hades Canyon”であれば、パフォーマンスと耐久性を両立できるというおいしいとこどりです。
しかし、ゲーミングマシンとして購入するにはコスパが悪いといった側面もあり、みんなにおすすめできるか?といわれれば首をかしげてしまいます。
とはいえ、省スペースで小型のゲーミングパソコンが欲しい方にはおすすめできます。グラフィック設定を調整すれば重量級ゲームも遊べないことはないですし。

Kabe Lake-Gを搭載したオススメノートパソコン

HP Spetre 15×360
- 画面サイズ:15.6インチ
- CPU: Core i 7 8705G
- メモリ:16GB
- SSD:512GB
- グラフィックボード:Vega Mグラフィックス(4GB)
- 価格:21万円台