マウスコンピューターが発売する『m-Book N520』シリーズは、専用グラフィックスMX250を搭載するスタンダードノートPCです。
家庭用のムービー作成からYouTube用の簡単な動画編集まで対応できる汎用性の高さがおすすめのポイント。
メーカーからお借りした実機の検証結果も含め感想を記載いたします。
m-Book N520の特徴
動画で確認する
動画で解説しているモデルは、N510ですが、基本的な点は変更がないため参考になると思います。チャンネル登録もお待ちしております。
専用GPU搭載でクリエイティブな作業にも対応
m-Book N520シリーズの強みは、一般家庭でよく使われるスタンダードノートPCとして利用できるよう、SDカードスロットやDVDスーパーマルチドライブを搭載しながら、専用グラフィックス、Nvidia GeForce MX250を搭載している点です。
MX250は、GTXシリーズやRTXシリーズと比較するとそこまでパフォーマンスはでないのですが、省電力と低価格を実現しており、クリエイティブな作業でもそのパフォーマンスを発揮できるよう設計されているGPUです。
具体例を一つ上げるとプロ用ソフトでそこそこの書出し時間で作業を終えることが可能。
Adobe Premire Proによる動画の書出し作業
普段僕はYouTuberとしても活動を行っています。実際にYouTubeにアップロードした動画を5分に区切って書き出しを行いました。
- H264 YouTubeプリセット
- 尺は5分
- テロップ、BGM、アニメーションあり
以上のような条件です。一般的なYouTuberといわれる人がアップロードしているデータにかなり近いと思われます。
m-Book N520SD-M2SH2の動画の書き出し時間 | |
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ソフトウェア | 7分35秒 |
CUDA | 5分11秒 |
ソフトウェアというのはCPUの単体処理のことで、GPUを搭載していないモデルはソフトウェア処理によるレンダリング時間となり、CUDAはGPUのCUDAコアも使った処理のこと。
CUDAコアを用いたレンダリングであれば、上位グレードのCPU Core i7 9750Hの単体のスピードと同じくらいの処理速度が出せます。
低価格ながら上位モデルと同等クラスの書出しスピードなので、簡単な動画編集に使うことが可能です。
DVDスーパーマルチドライブを搭載
最近出番の少なくなったDVDドライブですが、長年使っているソフトウェアや古いデータを呼び出す際には利用される機会があります。
こうしたDVDドライブを搭載したノートPCというのは、年々減少傾向ですのでレアな構成。
そのほか、m-Book N520シリーズはVGA出力やLAN端子など拡張ポートも豊富。どんなPCを買えばいいかわからないという方は、外部出力が満遍なくそろっている、m-Book N520シリーズを検討してみてはいかがでしょうか。
価格は10万円程度から購入可能でリーズナブル
上記画像はセール時の価格ですが、通常時の直販サイトの価格が税抜き99,800円と、Core i7+MX250搭載モデルとしては非常にリーズナブルな価格で大手外資系メーカーのノートPCと比較しても安いといえます。
m-Book N520のラインナップとおすすめ | ||
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m-Book N520BD-M2S2 | m-Book N520SD-M2SH2 | m-Book N520XB-M2SH2 |
Core i7 8550U | Core i7 8550U | Core i7 8550U |
8GB | 8GB | 16GB |
256GB | 256GB | 256GB |
– | 1TB | 1TB |
〇 | 〇 | ◎ |
99,800円 | 109,800円 | 124,800円 |
価格や仕様は記事執筆時のものであり、セール時に特化となる可能性もあります。必ず公式ページでご確認をお願いします。
m-Book N520のスペック
m-Book N520SD-M2SH2のスペック | |
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モニター | 15.6型 |
CPU | Core i7 8550U |
メモリ | 8GB |
GPU | MX250 |
SSD | 256GB |
HDD | 1TB |
サイズ | 377×257×25.4mm |
重量 | 約2.2kg |
保証 | 1年間無償保証・24時間365日電話サポート |
CPUはCore i7 8550Uでして、2019年8月現在ではCore i7 8565Uが最新なのですが、パフォーマンスは大きく変わらないため、一般的な使い方をするのであれば価格が安い分お得だと思います。
性能の検証
今回実施した検証は、動画の書出し、ゲームのプレイ、RAW現像(写真データの書出し)、各種ベンチマークテストです。
ゲームのプレイについて
GeForce M250はモバイル用のGPUということもあり、最新のゲームをサクサクプレイするのは難しいのですが、MMORPGや格闘ゲームなどの比較的軽いゲームであればプレイが可能です。
鉄拳7FR
バンダイナムコが販売する大人気格闘ゲーム『鉄拳7FR』では、高画質でプレイした際に60fpsを下回りカクツキが発生しましたが、中画質では常時安定しており、快適プレイが可能です。
美麗なグラフィックを求めないのであれば、画質を落として格闘ゲームをプレイすることは可能です。
FF14漆黒のヴィランズ
大人気MMORPGファイナルファンジー14漆黒のヴィランズでは、ノート用の標準品質まで落とせばとても快適に遊べる程度にはなります。
どっぷりMMORPGをプレイされるのであれば、ゲーミングノートPCなどに採用されるGTXシリーズやRTXシリーズのほうが限界値が高いため、そちらのノートPCを利用したモデルを選んだほうがいいと思います。
写真編集について
写真編集=RAW現像は、デジタル一眼やコンパクトデジカメで撮影した生データに直接編集をして補正および書出し作業ですが、CPUやメモリの容量が作業の快適性に直結します。
Adobe lightroom Classic による100枚のRAWファイルの書き出し
Adobe lightroomClassic CCにて、Adobe Lightroom Classicにて、α7Ⅱで撮影したRAWファイル(1枚あたり24Mb)を100枚JPEGに書き出しするスピードを計測したところ2分00秒でした。
- 画像形式JPEG
- カラースペースsRGB
- 画質60
- メタ情報『すべてのメタデータ』人物情報の削除、場所情報を削除
スペック | 書き出し時間 |
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Core i7 9750H メモリ16GB(W890) | 1分41秒 |
Core i7 8550U メモリ8GB (N520) | 4分38秒 |
CPUやメモリが同社の17.3型の『m-Book W890』と比較して少ないため、本格的な写真編集であるRAW現像では、書出しの時間にかなりの差がでます。
クリエイティブな作業を行うのであれば、16GBメモリを搭載したモデルを利用すれば動作が軽快になりますので、本格的に写真の編集を行われる方は上位のモデルの購入を検討しましょう。
また、下記記事にRAW現像用のノートPCの選び方をまとめていますので是非参考にしてください。
m-Book N520の性能は一般的な使い方をする人にお勧め
動画の編集や写真の編集など、仕事で使うとなるとやや厳しい印象ですが、一般家庭で週1回程度動画の編集を行うのであれば、許容できる性能です。
同価格帯でもう少し上の性能を求めるのであれば、m-Book K700シリーズも検討してみてはいかがでしょうか。
外観・デザイン詳細
15.6型かつDVDドライブが付属していることもあり、ノートPCとしてはオーソドックスなデザインをしています。
天面はグレーカラーにmouseロゴ、無難なデザインです。最近ではアルミ筐体のモデルが多かったりするのですが、樹脂素材を使いコスト削減をしているため、PC価格を下げられます。
だからマウスコンピューターのノートPCは国内メーカーのモデルだけど安いのです。
A4サイズのクリアファイルと比較しました。一般的な15.6型といった感じで、持運びはしづらいと思います。
自宅用の据え置きノートPCとして使うのにちょうどよいサイズだと思います。
底面はブラックです。スタンダードなノートPCではありますが、CPUやGPUを冷やすための銅製のヒートパイプとファンが部分に風が当たるように空気穴が開いています。
キーボードは黒に白印字です。右側のスペースキーや矢印キーがやや特殊です。
キーの沈み込みであるキーストロークは1.8mmとノートPCのなかでは比較的深めで打ちやすいです。
キーピッチは、メーカー公称値で18mmほどでフルサイズスケールのキーボードでした。キーが小さいやキーとキーの間など違和感を感じる点はありません。
実用上の問題点としては、テンキーを使う方なら『0』を押し間違えてしまう可能性がある点です。そのほかは特に問題ないように感じました。
電源ボタンは左上側に配置されています。押し間違えなどしないよう若干くぼんでいます。
本体及びACの重量です。
m-Book N520SD-M2SH2重量実測値 | |
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本体 | 2.06kg |
AC | 0.35kg |
N520は従来の15.6型ノートPCと同等の重量でした。
インターフェースについて
右側面
- ヘッドフォンジャック
- マイクジャック
- USB 2.0×2
- DVDスーパーマルチドライブ
- ケンジントンロック
左側面
- DCジャック
- VGA
- LAN端子
- HDMI
- USB 3.0
- USB-C
底面
- SDカードスロット
m-Book N520シリーズは、豊富な拡張ポートを備えておりまして、SDカードから写真の読み取りはもちろん、前述したDVDからのデータの読み出しが可能。
ディスプレイ出力もHDMI+D-sub15pinに対応しているためノートPC本体も含めて最大3画面のマルチモニター環境の構築も可能です。
液晶モニターの品質・見え方
広い視野角を持つパネルで極端な色つぶれや変化はないと思います。
液晶パネルはノングレアタイプのモニターを採用していますが、最近流行のフチが狭いナローベゼルデザインではありません。
色域・トーンカーブ
カラーマネジメントツールでトーンカーブを測定しました。青、赤がやや強いとでていますが、一般的な作業を行う上で気になるレベルではないと思います。
利用されているパネルは、LGのパネルでした。※搭載パネルは変更となる恐れがあります。
m-Book N520の色域 | |
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sRGB比 | 60.5% |
sRGBカバー率 | 60.5% |
表現できる色域はそこまで広くなく、ウェブコンテンツ制作の基準となるsRGBは60%ほどしかカバーできていませんでした。
クリエイティブな作業を行うために、より正確な色合いを確認したい方は別売りのモニターを用意する必要があります。
ベンチマーク結果
実際にCore i7 8550Uを搭載したN520シリーズがどの程度の性能かベンチマークソフトでテストした結果と所感を記載します。
Cinebench R20
CPUの性能を図るCinebench R20の結果です。
Cinebench R20 | |
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DAIV NG4300 | |
m-Book X400HS | |
m-Book N520SD-M2SH2 |
※当ブログの過去の計測結果です。実際の性能とは異なる可能性があります。
マウスコンピューターが販売しているCore i7 8565Uを搭載したモデルとの比較です。Core i7 8565Uはブーストクロックのが最大4.5Ghzで駆動するため、ピークパワーはCore i7 8550Uを上回りますが、この性能差が実際の作業に活きてくるのは動画の書出しやRAW現像の写真の書き出し時などマルチコアを最大限発揮する際です。
体感速度にはあまり差がないため、低コストで購入できるノートPCを検討されている方はこの点を判断材料にするとよいでしょう。
バッテリーの連続駆動時間
バッテリーの連続駆動時間を計測するPCMark8の『Work』にて連続駆動時間を測定しました。PCMark8では、連続的に高負荷な作業をPCにかけ続けるため、実際の利用ではもう少し伸びます。
3-4時間を目安となるでしょう。
Crystal Disk Mark
検証機に搭載されていSSDはウェスタンデジタル(SanDisk)のものでした。ファイルの読み込み速度は従来のSATA接続よりも高速です。また、書込み速度も早く申し分ないスピード。
HDDは5400rpmのデータ保存用に適したものが使われていました。
読み書きのスピードはSSDに及びませんが、写真データや動画の保存場所として使うのであれば不便を感じないと思います。
作業時の温度
ファイナルファンタジー14を1時間駆動している最中サーモグラフィカメラにてPCの表面温度を測定しました。
最高温度はキーボードの中心付近で38℃から40℃程度。作業に支障は出ない程度の温度でした。
CPUの温度とクロック周波数
ゲームプレイ中のCPU温度を測定した結果最高温度は86℃で、非常に安定していました。CPUの熱で壊れる可能性は低くく耐久性も高いといえます。
m-Book N520SD-M2SH2の評価とまとめ
控えめなパフォーマンスだけど汎用性が高い
Core i7 8550Uの最高性能はCore i7 8565Uに及ばないのですが、価格とパフォーマンスのバランスが良く、10万円前後で専用GPUのMX250を搭載している点も加味すると高コストパフォーマンスノートPCといえます。
実際の性能に関しても、宅内で一般的な作業で利用する分には十分だと思いますし、欠点といえる欠点はなく、ものすごく推せる強みもとくにはない。
汎用性の高さとコストパフォーマンスが魅力のノートPCだと思います。
なお、価格や仕様は変更となる恐れがあります。必ず公式ページでご確認ください。