Appleが決算を発表してから株価の低迷が続く。もともと高すぎたのもあるが、株主の期待が剥がれた状態だ
日本ではAppleがオワコンに
昨日発表されたApple Incの2023年度第3四半期の決算資料見ると、日本市場の売り上げ低下が著しい
全体的に前年同期比で落としているけれど、特にiPadとMacはガタガタ
日本市場はデバイス価格のテコ入れで対応してくる可能性もあるけれど、iPhone… pic.twitter.com/MehH1Yf6FG
— ウチヤマチカラ/うっしーならいふ (@usshi_na_life) August 5, 2023
オワコンて書くと反論はきそうではあるけれど、ブランド価値はあきらかに低下しているので、今日はその件についてザックリと紹介していこうと思う。
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なぜApple株は売られたの?
Appleは決算発表後から値を下げている。デバイスの売上低下から今後の成長鈍化を株主が嫌気した。というのが理由として挙げられている。
日本の業績不振がやばい
今回、全体(4月-6月期の対前年同期比)で1%ほどデバイスの売上を落としており、特に顕著だったのが我が国、日本、ジャパン、じゃぱーん。
円安で日本の売上不振
2023年4月-6月期と対前年(3か月比較)
日本や東南アジアではあきらかにApple離れが進んでいる。日本では11%、東南アジアで8%ショート。
本国アメリカも失速してはいるものの、増減率でみれば6%低下は「最新のiPhoneの買い控え」でごまかせる範囲だと思われる。
2022年10月-2023年6月期と対前年(9か月比較)
世界市場のことはよくわからないので、詳しい人の執筆物を読むなどしてほしいのだが、我が国日本は日銀が金融緩和を継続しているため、円安傾向にあることも起因してApple離れが加速していると考えられる。
また、クリスマスシーズンを含んだ9か月では、全体的に売上を落としており、新型iPhoneの初動が失敗するとさらなる株売り要因になりえるので2024年年始のAppleが発表するFY2024Q1決算は注目度がかなり高くなると思われる。
iPadとMacで売上を大きく落とした
2023年4月-6月期デバイス別売上と対前年(世界)
デバイス別ではiPadが20%減と大幅に売上を落としている。
日本国内の話で言えば、量販店に勤務していた筆者の所感として前年同期比で20%ショートした場合、担当者の降格や取扱店舗の減少(今もそのシステムが稼働しているかどうかは不明)レベルで、とにかく上層部の温度感が非常に高くなるレベルでやばい。
一方、ウェアラブル端末のコモディティ化が進むもApplewatchやAirPodsは堅調に推移しており、今回の決算でもAppleのブランド力は健在だと思わせてくれる1面もあった。
MacやiPadはコロナ特需で売上が大幅に伸びたということも起因しているとは思うが、それを差し引いても売上が下がっていると考えてよいだろう。
iPhone 15が売れない理由
ここからは期待の新製品iPhone 15が売れない理由について紹介していこうと思う。
私の思い過ごしであるのが一番だ。
買い替えサイクル
このグラフは過去6年間のiPhoneシリーズ発売直後3か月後の売上推移。
iPhone(青)は世界全体、そして日本全体のデバイス売上(オレンジ)の数字を抜き出したもの。
日本全体はMacやiPadなど全部の売上も含まれているため、このグラフから相関関係があるとはいいきれない、が、Appleは新製品発売のタイミングをそろえているため、初動をつかむという意味ではある程度は有効なデータだと考えてひっぱってきた
現在、日本のスマホ買い替えサイクルは長期化しており、平均4年程度というデータがあるとかないとか。
過去6年間のiPhoneの売上推移をみるとiPhone 12,iPhone 13の年がiPhone XやiPhone XRの買い替えサイクルにあたっていると予想しやすい。
iPhone 15が売れない理由の一つ目は買い替えサイクルから外れている可能性があるから。
ブランド力の低下
ブランド力が向上していれば、売上に相関するという通説がマーケティング業界にはある。
言い換えれば売上の低下はブランド力の低下といってしまってもよいのである。
また、Appleは「iPhoneが売れるからMacが売れる、iPhoneが売れるからApplewatchが売れる、iPhoneが売れるからAirPodが売れる」といったエコシステムが最大の強みでiPhoneの価値が低下すると、ほかのデバイスも売れなくなる。
Appleはもともとの期待が高く株は売られてはいるが、現状そこまで大きな問題ではない。
しかし、足元では確実にApple離れが進んでいることは事実。
筆者のフィールドワークを例に挙げてみよう。
ちなみに、地方のキャバクラで最新のiPhone 14 Pro使ってる人は10人に1人くらいでした!!!#飲み屋で学ぶ経済
— ウチヤマチカラ/うっしーならいふ (@usshi_na_life) August 6, 2023
筆者はたまにキャバクラに遊びにいったりする。
そこでついたキャバ嬢には必ず「そのiPhoneはいくつ?」と聞いているが、上位モデルのiPhone 14Proシリーズ以上を利用している人が10人に1人くらいだったのだ。
最新のハイスペックモデルを買わない理由を聞いてみると、「写真はiPhone 12くらいからどれも綺麗に撮影できるし、価格が高いから」が最も多い回答。
「画面を割ったらApple Careを使ってローテーションさせたほうがお得」といったリテラシーが高くなったが故の買い控えも多くみられた。
キャバ嬢はインスタグラムも集客ツールとして利用しているため、その辺にいるオジサンよりもよっぽどクリエイティブ志向が強くカメラの性能には敏感なはずであるが、スペックはもう十分ということなのかもしれない。
もちろん、これは地方の話で、都内のキャバクラに行けば14Proシリーズ以上を利用している人も多くいるだろう。が、年々彼女たちキャバ嬢がiPhoneの性能を重要視ししなくなっているのを感じている。
これはAppleは付加価値をユーザーに提供できていない、iPhoneがつまらない製品に成り下がってしまったことを意味する。
ブランド力がある場合、価格が高騰してもユーザーは受け入れられるはずだからだ。
日本は引き続き円安で製品価格が高くなる
現在のiPhoneは1ドル136円程度で計算されているようだ。輸入品の値上げ理由は「対ドルで円が安い」からだ。
iPhone 15販売時には価格改定で日本円価格をさらに値上げしてくる可能性もあり、高くなることはあっても安くなることはなさそうだ。
価格が高いと感じるのはユーザー側の問題で、前述のとおりブランド力があるのならば引き続き売れるだろうが、ブランド力が低下し始めている現状では単に割高なだけである。
USB-Cのいまさら感
インターフェースがライトニング端子からUSB-Cに切り替わって喜ぶのは一部のリテラシーが高い層であって、ライトユーザーは充電ケーブルの買い替えを余儀なくされるため、「買い替えサイクルを外してまでiPhone 15買う」という決断につながるインパクトはないだろう。
また、USB-Cのメリットとしてデータ転送速度の向上があるが、リーク情報によると(だから確定ではない)USB 2.0相当の転送速度に収まるとされている。
iPhoneはクリエイター需要が大きいのだが、転送速度が既存の製品と同じでは、MacとiPhoneを揃えて購入するメリットが感じられない。
iPhone Pro シリーズを購入してデータ転送で不便な思いをするくらいなら、小型なミラーレスカメラを購入したほうがクリエイターの作業環境は良いのだ。あるいは画質を捨ててアクションカムをかったほうが利便性が高い。
Apple WatchとiPadは買い時か
さきほどのグラフを再掲するが、リモートワークを行う企業が少なくなったことで、iPadの売上が大幅に鈍化している。
Appleとしては売り上げの大切な柱なので、急ピッチでテコ入れしてくるだろう。
また、Apple Watchについても中華メーカーの台頭が目立つため、大きなディスカウントを迫られている。
2023年のAmazonセールではiPadやApple Watchのセールが目立っている。
筆者は年後半、特に冬のボーナス商戦時に大幅な値下げをしてくると予想しており、タブレットPCやスマートウォッチを狙っている人は今年が買い時かもしれないと考えている。