デルが販売するVostro 5310は法人向けの13.3型ノートPC。筐体はInspironシリーズと似ているが細かい箇所でスペックアップがあり、ビジネスシーンに適した構成で販売されている。
今回、メーカーから実機を借りられたので使い勝手やベンチマーク結果を紹介する。
スペック
今回の検証機はCore i5 11300H/8GB/256GBの構成。
Vostro 5310プレミアム | |
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モニター |
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CPU |
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iGPU |
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メモリ |
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SSD |
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サイズ(幅×奥行×厚さ) | 幅約296.78mm×奥行き約210mm×高さ約13.9mm-15.9 |
バッテリー持続時間 | – |
充電タイプ | 65W USB-C対応ACアダプター |
重量 | 約1.26kg |
保証 | 1年間ベーシックオンサイトサービス |
詳細スペックはデル公式ページから確認可能。
特徴
動画でみる
UBS-C Thunderbolt 4を2つ搭載したビジネスモバイルノートPC
Vostroシリーズは法人向けシリーズで、コンパクトかつ実用性を重視した設計が特徴だ。
左側のインターフェースに、映像出力のHDMIをはじめ、PC本体の電源も兼ねたUSB-C(Thunderbolt 4)を2つ搭載している。
デルはPC用のモニターにソリューション製品が多い。画像のように、PC側からモニターに出力、そのモニターからマウスやキーボードを利用可能にするといった使い方が可能で、省スペースでデスクトップPCのような使い方ができるため、少ないケーブル配線で得られる作業効率の高さが魅力。
スモールオフィス向けのモニターとセットで利用すると良いだろう。写真のモニターは下記記事参照。
デュアルファン搭載、ビジネス向けモバイルノートPCとしてはかなり高性能
Vostro 5310はCPUが発した熱を排熱するためのファンを2基搭載するデュアルファン設計。同社のPCは度々熱問題に悩まされていたのだが、Vostroに関してはその心配はないようで、ビジネス向けのモバイルノートPCでは高いパフォーマンスを発揮、維持できるようになっている。
画像は、メジャーなベンチマークソフトのPC Mark10のスコア。総合スコアが4000点以上あり、Microsoft Officeの互換ソフト、画像編集ソフト、ビジネス会議ソフトが非常に快適な水準。動画編集はなんとかこなせるといった程度だが、10万円前後の法人向けノートPCではパフォーマンスが高め。
Vostro 5310
公式サイトでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。
デザインや使い勝手について
Vostro 5310が採用するタイタングレーはビジネスシーンに最適なフォーマルな印象を与えるカラーで、落ち着きつつも高級感の仕上がりが魅力だ。ボディの材質はアルミニウム合金で剛性感と所有欲を満たす質感。
正面から見た際、背面のロゴも目立たずシンプルにまとまっている。
キーボード側は挟額縁フレームが印象的で、キーボード側のキートップも黒でまとまっており、統一感があるため、モニター側への没入感が高い点が好印象。
キーボード・タッチパッドについて
Vostro 5310はフルサイズスケールを13.3型に突っ込んでいるため、筐体ギリギリまでキーが配置されている。配列はUS配列をJIS配列に直したものだが、エンターキーが大きめに取られていたり、キーそのものがフルサイズであるため打ちづらさは感じない。
ただし、打鍵感は柔らかく、ぐにゃっとした感触が指に残り気持ちよく打鍵できなかったのが辛いところ。また、キーボードのたわみも感じられた。この辺りが上位機との違いだろう。
タッチパッドも同様で個人向けのInspiron同様の使い勝手で、特別良いわけでもないがまずまずの操作性。
モニターについて
モニターは13.3型のフルHD+(1920×1200ドット)を採用しているため、一般的な縦横比を採用した16:9のモデルよりもウェブのブラウジングや、表計算ソフトを利用した際のセルを多く表示でき、広い作業領域を手に入れられる。
明るさは300nitで標準的。
色域・トーンカーブ
キャリブレーションツールによるトーンカーブの測定結果。赤がちょっと強い漢字はあるが基本的にはフラットで自然な発色。
色域はウェブコンテンツの制作基準となるsRGBカバー率が100%程度。ウェブ制作や画像編集に適した色域で、モバイルノートPCに搭載されているパネルとしてはクオリティが高い。
インターフェースについて
- HDMI
- USB-C(Thunderbolt 4)
- USB-C(Thunderbolt 4)
- USB-A
- オーディオジャック
Vostro 5310はUSB-Cの給電でPC本体を充電する。付属のACアダプターは65Wに対応。
性能について
Cinebench R23
Cinebench R23はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り
Cinebench R23の総合スコア | |
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Core i7 11800H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 9 5900HS | |
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 7 5800U | |
M1 | |
Core i7 11370H | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7 1165G7 | |
Core i5 11300H(レビュー機) | |
Ryzen 5 4500U | |
Core i5 1135G7 |
最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では5250pts。
シングルコアはそこまで伸びなかったものの、マルチコア性能はCore i7 1165G7プロセッサと比較して同等以上のパフォーマンスが発揮できているため、予算を抑えてビジネスPCを検討している人にはCore i5 11300H搭載のVostro 5310はありかもしれない。
PCMark 10
FutureMarkが提供するPCMARK 10は、MicrosoftOfficeのWord、Excelに類する互換ソフトウェアや、ビデオ通話会議ソフト、画像編集ソフトのバッジファイルを実際に動作させ、どの程度の快適性があるかをスコア化。提供元はおおむね4000点以上あれば快適としている。
結果は総合スコアが4716でMicrosoftOffice互換ソフトやビデオ会議ソフトは快適水準。動画編集はややスコアを落としているものの全体的には高いスコアとなった。
SSDの読み書き
搭載されていた256GBのSSDのクリスタルディスクマーク結果。シーケンシャルライトやランダムアクセスライトの速度は標準的なノートPCよりもやや控えめな結果となった。ビジネスワークであれば遅さは感じることはないはず。
PCの内部の温度、ファンの動作音
PC内部の温度について
CPU使用率を100%にできるソフトウェアを使い、後負荷時の挙動を確認。CPUの最大値は94℃まで上昇した。とはいえ前述のベンチマーク結果通りで、パフォーマンスの低下はそこまで見られず安定していた。
PCの表面温度
なお、PCの表面温度は30.5℃ほどで人体には全く影響のない温度を保っていた。最も熱い箇所でも34.2℃程度なので利用中に低温やけどする恐れはないだろう。この辺りはデュアルファンがしっかりと聞いてくれているため、サーマルコントロールがよくできている。
ファンの動作音
ただし、ピーク時ファンの動作音はややうるさい水準で45.8dbとなった。頻繁に負荷の高い作業を行わないのであれば文句はないと思うが、上位の日ジネスモバイルノートPCよりもここが残念なポイント
Vostro 5310プレミアムの評価とまとめ
良い点
- デザインに優れ所有欲を満たせる
- キーボード配列が良い
- 低価格PCとしてはパフォーマンスも含めて高い完成度
- 最新のインターフェース搭載で使いやすい
- 16:10のモニターで作業領域が広いため小ささを感じにくい
気になった点
- キーボードのペチペチ感
- ファンの動作音
高コスパビジネスモバイルノートPC
細かい箇所で上位グレードのビジネスノートPCに不利な感じはあったが、所有欲を満たせるデザインや現行モデルの中でも高い性能を発揮できる点を考慮するとコストパフォーマンスは高いだろう。
気になる点はキーボードのふにゃふにゃ感と、CPUに高負荷をかけた際のファンの動作音。
10万円前後でビジネス用のPCを検討している人におすすめの1台だ。
会議ソフトが非常に快適な水準。動画編集はなんとかこなせるといった程度だが、10万円前後の法人向けノートPCではパフォーマンスが高め。
Vostro 5310
公式サイトでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。