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2025年にSnapdragon Xシリーズ搭載ノートPCがバカ売れする理由を解説

この記事はSnapdragon X Elite搭載PCが来年には売れるだろうという筆者の妄想を解説する記事です。

最新のPC市場の動向

動画でも解説しました

ARMが「2030年までにはWindowsで支配的なシェアを獲得する」と予測した記事がつい先日書かれました。これは、WindowsのARMアーキテクチャの改善と、IntelやAMDが開発するx86アーキテクチャの課題が影響していると考えられます。

2024年最新のノートPC市場のニーズについて

これらのデータは、筆者が運営するYouTubeチャンネルで実施した「インテルのノートPC向け最新プロセッサ、Core Ultraシリーズ購入者に向けた口コミ調査」の結果です。

回答してくれたユーザーは全て男性で学生、ビジネスパーソン、経営者の方です。

2024年現在、ノートPCのニーズは複数の用途にまたがるグラデーションとなっており、特に大きなニーズが映像コンテンツの視聴です。次いで、学習、仕事の順に需要があります。

数年前までは、ビジネスパーソンにとってMicrosoft Officeなどのビジネスソフトウェアが使えれば十分という印象でしたが、状況は大きく変わりました。

また、これらはAMDのプロセッサを搭載したPCを購入したユーザーに対して行っても、同様の結果が得られます。

現在の市場には下記のようなニーズがあることがわかります。

  • 映像コンテンツの視聴: 映像視聴/音楽視聴が複数回答でよく見られ、これは現代のノートPCが単なる作業ツールを超えてエンターテインメントデバイスとしても重要視されていることを示しています。
  • 学習と仕事: 学生層では学習目的、社会人層では仕事目的が重要なニーズとして挙げられています。特に、学習や仕事で使用する際の「高性能な処理能力」が強く求められていることが分かります。
  • クリエイティブ用途: 写真や動画編集などのクリエイティブな作業も多くのユーザーが行っており、この分野では高い処理能力とグラフィック性能が重要視されています。

PC購入の決め手は性能/バッテリー/重量

2024年現在、ノートPCのニーズは多様化していますが、購入の際に特に重視されるポイントとして、性能、バッテリー寿命、そして重量が挙げられます。

1. 性能 多くのユーザーが「高性能な処理能力」を購入の決め手として挙げています。マルチタスクや高負荷作業を快適にこなせることが、PC選びの重要なポイントとなっています。特に、クリエイティブ作業やゲームを楽しむユーザーにとっては、処理能力がPCの価値を決定づける要素です。

2. バッテリー寿命 バッテリー寿命の長さも重要視されており、持ち運びや外出先での長時間利用を念頭に置いた選択がなされています。これは、ノートPCのモバイル性が依然として重視されていることを反映しています。

3. 重量 軽量で持ち運びやすいデザインも、ユーザーがPCを選ぶ際の重要な基準となっています。薄型デザインと重量のバランスがとれたモデルが求められており、これにより、ユーザーは場所を問わず快適にPCを使用できるようになります。

4. 信頼性 インテルの信頼性も確かに重要視されていますが、ユーザーにとっては、性能とバッテリー寿命がより高い優先順位にあります。PC選びでは、信頼性と合わせて、実際の使用感やパフォーマンスが重視されています。

これまでの積み重ねがインテルの優位性ですが、競合他社が圧倒的な性能や革新的なテクノロジーがあればひっくり返すこともできると思います。

2024年現在のSnapdragon X シリーズの評価

Snapdragon X Elite搭載ノートPCの率直な感想とMicrosoftの狙い」では、やや残念な製品である、と記載しました。

ARMアーキテクチャを採用したノートPCは、Copilot+PCのプロトタイプに近い位置づけにあります。そのため、価格が高い点が問題であると同時に、使えるソフトウェアが少ないという課題もあり、これが全体的な評価に影響を与えています。

ネイティブ動作さえすれば最強

しかし、ネイティブ動作するアプリケーションでは、非常に良好な結果が得られます。

CPUの性能を計測する「Cinebench 2024」ではマルチコア性能やシングルコア性能は、14型のノートPCでも16型のインテルプロセッサ搭載ノートPCと同等以上の性能を発揮します。

この結果が、「ソフトウェア対応待ち」の正体です。ここさえクリアできれば性能はインテルに勝てます。

また、性能に次いで重視されるバッテリーの持続時間ですが、3K解像度のモニターを搭載している14.5型のノートPCとしては、非常に長時間の連続動作が可能だと思います。

解像度を下げれば、バッテリー持続時間においてもインテルCPUより有利な結果が得られる可能性があります。

クリエイティブ系ソフトウェアに非対応で評価が低い

2024年8月現在、プロ用の動画編集ソフト「Premiere Pro」および「Davinci Resolve Studio 19」は、Snapdragon X EliteのAdreno GPUを利用したハードウェアエンコードに非対応です。

現状では、バッテリー持続時間が長く、ネイティブ動作であれば期待できる性能を発揮しますが、製品価格が高いため、そのメリットを強く感じられません。

少しの差しかないのであれば、ユーザーは既存の製品を選ぶ傾向が強いため、2024年現在では市場を支配するような状況にはなりません。

2025年にSnapdragon搭載機がバカ売れする理由

しかしながら、来年以降は加速度的に市場を獲得する可能性があります。

アプリ対応で適切な評価に

冒頭のツイートはDavinci Resolveを提供するBlackmagic Design社のサポートフォーラムの質問をスクリーンショットしたものです。

フォーラムで引用されていた動画では、ゲームメーカーの担当者にインタビューをする動画でした。

どうやら、Snapdragon Xシリーズの開発キットの提供が製品発売後になってしまったため、ソフトウェアが十分に対応しないまま販売されてしまったようです。(インフルエンサーがテスト機でDavinciが動作している映像はありましたが…)

Appleは自社チップを採用しているため、製品のリリース時期を完璧にコントロールできますが、今回のケースでは、クアルコム側とMicrosoft側の足並みがそろっていなかったことが原因と考えられます。これを踏まえると、AppleのM1シリーズと同様に、今後1年ほどかけてソフトウェアが徐々に対応していくと予想されます。

これはゲームタイトルのベンチマーク結果ですが、GPU性能においても、すでにAMDプロセッサと同等の性能を発揮していることがわかります。

クリエイティブソフトがネイティブ対応すれば、Apple Siliconのような使用感になると思います。

価格破壊と圧倒的なプロモーションを実施する可能性

クアルコムはスマートフォン市場でマーケットシェアの2割を獲得する巨大企業です。AppleもAシリーズで同じく約2割を獲得しています。

クアルコムはスマートフォンのチップをPC用に転用したり、逆にPC用に開発したチップをスマホに転用したりできるビジネスモデルを持っているため、収益率を上げながらパフォーマンスを向上させることが可能です。

AppleがApple SiliconをMacからiPad、そしてiPhoneへと展開しているように、クアルコムも同様のビジネスモデルを構築しつつあると言えます。

この戦略が実行されれば、インテルやAMDは厳しい価格競争に直面することになるでしょう。

現状では、AMDもRyzen AIチップを市場に投入していますが、Snapdragonシリーズよりも価格が高く、製造コストの上昇が顕著です。

また、クアルコムはスマホ市場で一定のシェアを持ち、利益率の高いビジネス構造を有しているため、すぐにPC市場へのプロモーション費用を投下することが可能です。

テック系企業のマーケティングは、たびたび物議を醸すことがありますが、Appleユーザーのインフルエンサーに対して、競合他社がPR費用を使って宣伝する手法が一般的になりつつあります。おそらく、クアルコムも同様の戦略を取るでしょう。

以上の理由から2025年からSnapdragon搭載ノートPCは加速度的にシェアを伸ばすことが予想されます。

課題と解決策

法人部隊に営業をかけまくる

クアルコムのチップを搭載したノートPCが抱える課題として法人市場の取り込みが遅れる可能性があるということです。

いまだに古いOSを採用している企業が多くあり、「インテルCPUでなければ採用しない」といったルールが残っているケースも少なくありません。法人需要を覆すためには、インサイドセールスやフィールドセールスなどの営業活動を強化し、まずはウェブやMicrosoft Officeのツールで解決できる部署から浸透させていく必要があります。

ちなみに、大手外資系メーカー「デル」では、法人市場に入り込むために、まずPCの周辺機器を企業に導入してもらい、そこからきっかけを作ってPCを購入してもらうケースが多いようです。この戦略によって、近年では法人市場でのシェアを大きく伸ばしました。

5Gチップ搭載PCの拡販

クアルコム製品の強みは、携帯電話市場で培ってきた通信チップの開発にあります。

PC用チップではインテルも有名ですが、省電力で高速通信を可能にする点では、クアルコムが優位に立つでしょう。もしSnapdragonに5G通信機能を統合したチップを開発し、安価に提供できれば、ビジネス市場において大きなアドバンテージを獲得することができるでしょう。

マーケットシェアを伸ばすことは可能

AMDのプロセッサも、この7年で大きくシェアを伸ばしました。その理由は、価格が安く、性能が高いからです。

テック系企業の繁栄と衰退は非常に高速で、王者が弱った瞬間に勝者が入れ替わります。今はまさに、そのときが訪れているのかもしれません。

うっしー
うっしーhttps://usshi-na-life.com
静岡県出身。2014年にブログ「うっしーならいふ」を開設。 元家電量販店スタッの経験を活かし、PCのわかりやすい製品紹介記事を多数執筆。 2017年に「ウチヤマチカラ/うっしーならいふ」チャンネルとしてYouTubeでの活動も開始し、2022年11月現在でチャンネル登録者数は2万人を越える。
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