デル・テクノロジーズ株式会社が販売するS2722QCはセール時になると3万円後半から購入可能な4Kモニターだ。USB-CでノートPCに接続するとUSB-HUBとしても使えるため、市場では高コスパ4Kモニターとして非常に評価が高い。
今回、検証用に1台購入したのでPCレビュアーの筆者が使い勝手やモニターパフォーマンスを評価していく。
スペック
DELL S2722QC主要スペック表 | |
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モニターサイズ | 27型 |
解像度 | 3840×2160ドット |
アスペクト比 | 16:9 |
パネルタイプ | IPS |
輝度 | 350cd/㎡ |
本体寸法(幅×奥行き×高さ,cm) | 61.16×17.47×40.01 |
VESA | VESA 100対応 |
電源 | 内蔵型 |
そのほか、スイベル、ピボットなどモニター位置調整機能が付帯。詳細はメーカーページ、Amazon販売ページから確認可能。
特徴
65WのUSB-PDに対応したUSB-Cポートを搭載
昨今のWindowsノートPCはCPUが省電力ハイパワー化して少ない電力で十分にパフォーマンスが発揮可能になった。DELL S2722QCはUSB-CポートをノートPCと接続すると接続デバイスに対し最大65W出力で給電可能。
つまり、モニター側からノートPCの電源をとれる。
結果、USB-Cケーブル一本をモニターに接続すれば表示と充電が可能ということ。
4K解像度、IPS、エルゴノミクス機能満載で4万円以下
ビジネス向けのモニターは高価格なモデルほど多機能になるが、エルゴノミクス機能が搭載された4Kモニターが4万円以下は破格。筆者が購入したときの金額は3.8万円ほどだったが即売り切れとなった。
最低地上高は3cmほどで上位モデルさながらと可動域を持っている。
また首振りも標準搭載でビジネスシーンで活躍する。このほかピボット(首振り機能)を搭載しているため縦表示にも対応する。
メーカークーポン適用価格でも十分にお買い得なので5万円以下で4Kモニターを検討している人は検討してもよいと思う。
デザイン・付属物について
箱・付属物について
DELL S2722QCは27型なので男性であれば設置場所に段ボールごと移動できるサイズ。
- 組立説明書
- 安全に関する情報
- USB-Cケーブル
- 電源ケーブル
DELLのモニターは上位モデルになると色域検査表が同梱され、キャリブレーション済みであることが証明されるが、S2722QCには付属してこなかった。メーカーとしても低価格に抑えるためなのかもしれない。
台座、アーム部は清潔感のあるシルバーカラー。メーカーではプラチナシルバーという名称で呼んでいる。DELL製のノートPCにもシルバーのモデルが人気なので合わせやすいカラーなのだろう。
モニター背面は湾曲しており、電源が内蔵されているので中央が厚くなっている。とはいえ、年々モニター内部の構造がすっきりしているのか数年前の上位モデルよりもずっとスリムだ。
VESA100に対応しているためモニターアームと組み合わせて利用することも可能だ。
組立
DELL S2722QCは工具なしで組立て可能なタイプ。
台座裏のネジは手回し可能なのでアーム部と組み合わせて回すだけ。
余談ではあるが、金属汚れが付着していたため、もし直に触れることがあるようであればあらかじめ清掃用のシートなどを用意しておいたほうがいい。正直ここがちょっと残念な個所で、下位モデルにありがちな切削した際の汚れの処理がされていない。
アーム部をモニター裏にガチャっとはめ込むだけで組立ては完了。
インターフェースについて
- 電源
- HDMI
- HDMI
- USB-C(65W/DP/USB 3.2 Gen1)
- オーディオジャック
- USB-A
DELL S2722QCモニターの目玉機能のUSB-CはUSB 3.1 Gen1(5Gbps)に対応。PCのHUB機能としても使えるが、最大転送速度が5Gbpsなので接続可能なUSB-Aのポート2つに抑えているといった感じだ。
- USB-A
- メニューボタン
パネルの性能について
キャリブレーションツールi1 display Proにて輝度の確認およびトーンカーブ・色域を検証。
モニター輝度について
カラープロファイルはモニターに標準搭載されている「標準」で計測を行う。
120cd/㎡で計測するといったものだが明るさ合わせの際に中央の輝度と端の輝度にムラがあることがわかった
中央で35nitに合わせた時に端では32nitで表示されていた。このあたりが色域検査表を同梱しなかった理由なのかもしれない。
また、最大輝度は390nitでメーカー公称値よりも明るい。
色域・トーンカーブについて
トーンカーブはフラットで明るい箇所では青がやや弱めに調整されている感じ。
sRGBカバー率
sRGBカバー率は100%
DCI-P3カバー率
DCI-P3カバー率82.3%
Adobe RGB
Adobe RGB カバー率77.7%
色域に関しては並みの4Kモニターといった感じで大絶賛というほどではない。キャリブレーションツールを利用すればウェブコンテンツ制作用にもまぁ使えるかなといった具合で、おそらく専門のクリエイター職の人がメインのモニターとして選ぶには、いささかパネルクオリティが低い(特に輝度ムラ)。
とはいえ、ビジネス向けの4Kモニターとしては必要にして十分な色域・明るさなので、仕事用で使う、プライベート用で使うといった用途であれば全く問題ないだろう。
出力深度は8bitまで
リフレッシュレートは最大60Hz、色深度は8bitカラーまで対応。
PBP/PIPについて
今回このモニターを購入したのは検証用で、つまりPCやその他デバイスを比較表示させるために購入した。
特にピクチャーバイピクチャーは利便性が高く2つの映像ソースから1枚のパネルに2つ出力ができるといったもの。
写真ではMacとWindowsを表示させているが、双方の作業用モニターとしても使えるし、プレゼンテーション用にMac+iPadといった組み合わせも悪くないだろう。
メニューからPIP/PBPはオンオフ可能で、HDMI 1/HDMI 2/USB-Cの順番で出力されていく。位置は入替可能で27型というサイズ感のため出力は片方が1920×2160ドットが最大。
DELL S2722QCの評価とまとめ
良い点
- セール時に3.8万円は安い
- sRGBカバー率100%程度でビジネス向け、映像視聴用には文句なし
- 65W出力のUSB-PDに対応してるのでノートPC1台への電源供給、映像出力ができる
- PBP対応で複数デバイスからの映像表示に対応
- ピボット・昇降・チルト対応
気になる点
- 輝度ムラ
- 細かい作りにあら目立つ(上位モデルほど気を付けて作られてない出荷時のチェックが甘い!?)
- アームの角度調整が甘く、平行がずれる(上位モデルはもっと硬い)
ビジネス向け・個人向けなら高コスパ
DELL S2722QCはビジネスユースや個人用で家で使うモニターとしてはコスパ最高かもしれないモニターで、不満点がほとんどでないだろう。一方「クリエイター用」としては色域・出力・輝度ムラで不満がでるだろう。
また、固定しているアーム部分の首振りが柔らかめなので、角度調整した際に平行に戻すのに少しコツがいる。上位気は硬いので安定度が高いため、できればモニターアームとの併用をおすすめしたい。
とはいえ、清潔感のあるデザインやエルゴノミクス機能を搭載しつつ、USB-C HUBの役割を担ってくれる利便性の高い4Kモニターは市場を見渡してもそうはないため、コストパフォーマンス重視の人にはおすすめできる。