3か月前に僕のパソコンはRyzen 7 2700Xと生まれ変わったわけですが、気になっていた点を検証せずにRyzen はいいぞ!といえるはずもないので検証します。
今回パソコン工房からレンタルしたパソコンはRyzen 5 2600にGTX1060(6GB)のグラフィックボードを搭載した『STYLE-R0X4-R52-RNV』です。
パソコン工房のデスクトップパソコンにはBIOSに独自のものを利用していないDSP版Windowsを採用したモデルがあり、BTOメーカーでデスクトップを購入したいユーザーにとってはありがたいと思いますし、自作PCとの比較を行いたい僕にとっても”おあつらえ向き”のメーカーなのであります。
ということでRyzen 5 2600を搭載したデスクトップPC『STYLE-R0X4-R52-RNV』をレビューしていきます。
STYLE-R0X4-R52-RNVの特徴
ASUSのX470-PRO PRIMEマザーボードを採用
パソコン工房といえば、マザーボードにASUS製(もしくはMSI)を採用することが多く、自作PCユーザーにとっても購入しやすい構成であることが売りです。
前回、僕が自作PCでRyzen 7 2700Xマシンを構成する際に、ROG STRIX X470-F GAMINGと迷ったのがこのPRIMEで、M.2SSDのヒートシンクが標準搭載でありながら、ASUSのAuraSYNC(オーラシンク=マザーボードがピカピカ光る)に対応しているため、ASUSのROGブランドにこだわりがなければ、このPRIME X470-PROを購入していたと思います。
そのほか、Ryzenの急所となるDDR4メモリーが3600Mhzまで対応している点も強い。(Ryzen CPUはメモリークロックが低いと本領発揮できないという少年漫画の主人公のような弱点があります。僕は割り切って2400Mhzで使ってますが)
あとは、BIOSの日本語設定がわかりやすいのが個人的にはお気に入りポイントで、他メーカーのもので自作したことがないASUSマンなので、まぁASUS推しになっちゃいます。
MSI社のGeForce GTX1060(6GB)ショートボードモデルを搭載
RTXシリーズがリリースされるも、ゲームをプレイするうえでコスパが悪く今だにGTX10xx番台が人気です。
なかでも電源容量が500W以下で安定動作し、費用対効果の高いGTX1060(6GB)を搭載していました。ショートボードタイプなので、全体的にすっきりした印象です。
パフォーマンスが低いということもなく、2連ファン、3連ファンタイプと同等の性能を持ちます。
Windows 10 DSP版インストールメディア付属モデル
マウスコンピューターのように配線ガッチガチに固めているという感じではないのですが、拡張ベイが搭載済みのほかに4つあるため、ストレージ容量が不足した際にも簡単に増設できそうな点はBTOメーカーを敬遠しがちな方にも良いと思いました。(でも線はしっかり黒で統一されていてよい)
ちなみにDVDスーパーマルチドライブ標準搭載されています。それは『STYLE-R0X4-R52-RNV』がWindows 10のDSP版(Delivery Service Partner version)で構成されているからです。(DSP=PC本体ではなくPC”パーツ”にWindowsのライセンスが付与されること。)
自作PCに挑戦したいけれど、最初は不安だからという方はDSP版のパソコンが販売されているモデルをパソコン工房でデスクトップを購入することをオススメします。(OEM版もあるので注意してください
STYLE-R0X4-R52-RNVのスペック
OS | Windows 10 Home 64ビット [DSP版] |
マザーボード | ASUS PRIME X470-PRO |
CPU | Ryzen 5 2600 |
メモリー | 16GB(8GB×2)『DDR4-2666 DIMM (PC4-21300) 』 |
ストレージ | NVMe SSD:240GB+HDD2TB |
グラフィックス | GeForce GTX 1060 6GB GDDR5 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
通信機能 | 1000Base-T対応有線LAN |
インターフェース | PS/2コネクタ(キーボード/マウス兼用)×1 ,アナログ8chサウンド(ライン出力×1/ライン入力×1/マイク入力×1/センター・サブ出力×1/リア出力×1) ,S/PDIF出力(角型)×1 ,USB 3.1×2(背面×2) ,USB 3.0×5(背面×5) ,USB3.0-Type-C ×1(背面×1) ,USB 2.0×2(前面×2) ,マザーボード側ディスプレイ出力(HDMI×1/DisplayPort×1) |
セキュリティ | TPM2.0,ノートンセキュリティ(初回お試し版) |
電源 | 500W 80PLUS BRONZE |
サイズ/重量 | 幅190mm×奥行475mm×高さ422mm |
保証 | 1年間無償保証 |
ベンチマーク結果
CINEBENCH R15
CPUのパフォーマンスを測定するCINEBENCH R15では、1092cbとCore i5 8400と同程度の性能でした。
CINEBENCH R15のベンチマークスコア※ | |
Core i7 9700K | |
Core i7 8700K | |
Core i5 8400 | |
Ryzen 7 2700X | |
Ryen 5 2600 |
※CINEBENCH R15によるCPUの性能を測るテスト結果。当サイトの別PCによる測定結果です。あくまで参考指標です。
CINEBENCH R15ではRyzen CPUに有利なスコアが出がちですのでCPU MARKでも確認してみました。
CPU Mark
CINEBENCH R15のベンチマークスコア※ | |
Core i7 9700K | |
Core i7 8700K | |
Core i5 8400 | |
Ryzen 7 2700X | |
Ryen 5 2600 |
やはり、ややCore i5 8400よりも有利という結果になりました。
とはいえ、ベンチマークスコア上のことですので、まだはっきりと「Ryzen 5 2600いいぞぉ」とはいえないのです。
3D Mark Time Spy
DX12の最新のゲーミングに対応するベンチ―マークテスト3D Mark Time Spyでは、4359という結果に。
Time SpyFHDスコア比較 | |
Ryzen 7 2700X+GTX1060(6GB) | |
Ryzen 5 2600+GTX1060(6GB) |
3D MarkはCPUの性能差も加味されるとはいえ、スコア的に大差は開いていません。ならばと思い4Kで比較。
3D Mark Time Spy4K
Time SpyFHDスコア比較 | |
Ryzen 7 2700X+GTX1060(6GB) | |
Ryzen 5 2600+GTX1060(6GB) |
4K画質にしても Ryzen 7 2700XとRyzen 5 2600の差は出ていないように思います。確かに、スコア的に見ればRyzen 7 2700Xの方が有利ですが、”GTX1060(6GB)でゲームをする”のであれば、Ryzen 5 2600でも問題はなさそうです。
FF15 FHD 標準品質
こちらも同様、スコアだけみれば確かに差は確認できますが、プレイ中に”明らかに違う”差はないため、Ryzen 5 2600の方がコスパは高そうです。
SSD、HDD
M.2SSDですがSATA接続のため、速度はそこまででていませんが、ゲームのスコアを見ていただく通り、実際に使う上では困りません。
代わりにHDDに7200RPMの高速読込タイプが採用されています。ゲームデータの保存や写真、動画などのメディアファイルはこちらに格納するとはかどります。
実性能を検証
実際に僕がYouTubeに投稿したテロップ、アニメーション有の5分程度の動画のレンダリングテストを実施し実性能を計測します。
CPU単体
NVENC
レンダリングタイム比較 | CPU単体 | NVENC(CPU+GPU) |
Ryzen 7 2700X+GTX1060(6GB) | 11分40秒 | 8分44秒 |
Ryzen 5 2600+GTX1060(6GB) | 11分46秒 | 7分27秒 |
レンダリングに関しては、誤差もありえますが、Ryzen 7 2700XとRyzen 5 2600ではほとんど差がないどころか、Ryzen 5 2600の方がNVENCを利用した方が早いという結果に。
もしかしたら、『STYLE-R0X4-R52-RNV』に搭載されているメモリが2666Mhzのクロックで動くものが採用されているかもしれません。
RAW現像
Adobe Lightroom Classic CCにて100枚のRAWファイル(1枚あたり24MB程度)を書き出す時間を手動計測しました。
スペック | 書き出しにかかった時間 |
Core i7 9700K +GTX1080 メモリ32GB | 1分24秒 |
Ryzen 7 2700X+GTX1060 メモリ16GB | 1分46秒 |
Ryzen 5 2600+GTX1060 メモリ16GB | 1分43秒 |
こちらも同様に若干早い。
実性能でもベンチマークテスト同様、Ryzen 7 2700XとRyzen 5 2600ではほとんど性能差が内藤結果に。これは自作PCにRyzen 7 2700Xをチョイスした僕としてはショックだ。
検証時の熱
CPU使用率が最も高くなるレンダリング時の熱をソフトウェアで計測した結果61℃となりました。Ryzenのいいところなのか動画編集ソフトに最適化されていないからなのかは疑問ですが、とにかくCPU温度が安定しているため、耐久値は高いのではないでしょうか。
グラフィックボードの表面温度を計測
CPU付近の温度は、ファンがあったため最高でも40℃程度と安定挙動。
一方、GPUがショートボード=シングルファンの内排気モデルということもあり本体内部で一番熱を発していたのはグラフィックボードでした。
おそらくGPUコアのある場所が最も高音になったところで78.5℃となりました。が、まだ許容範囲内で収まっているため、熱に関してきちんと温度管理できていると思います。
STYLE-R0X4-R52-RNVの外観、デザインについて
正面
オーソドックスなミドルタワーデスクトップPCといった形で、メーカーロゴである『iiyama』も控えめです。電源は『STYLE』ロゴの下にある〇が電源ボタンとなっています。
正面側はUSBを2ポート。
上部にある、銀色のボタンがDVDスーパーマルチドライブの開閉スイッチとなっています。
サイド
サイドのエアフローはグラフィックボード部分とCPU部分が空気に触れるようなつくりとなっています。
背面
電源は上部に設置されています。
このPCケースはフロントとサイドから吸気して後ろに排気する仕組みですので、電源が上についていることによって熱を効率的に逃がせる設計となっているのでしょう。
MSI社のGTX1060(6GB)外部ディスプレイ出力ポート
MSI社のグラフィックボードは良心的な設計で、DVI,HDMI,DP×3となっています。安いGPUだとDVIが省かれがちなのですが、さすがMSI。
なお、Ryzen 5 2600はiGPU(オンボードグラフィック)を搭載していないため、dGPU(専用グラフィック)からじゃないと画面出力できません。
メモリ
16GBのDDR4メモリーにはKingStonのKVR26Nが搭載されていました。
おすすめとまとめ
GTX1060との組み合わせであればRyzen 7 2700XよりもRyzen 5 2600のほうがコスト的に見合っていると思いました。
この結果に個人的にはかなりショックを受けました。
というのも2018年の今年に自分の中では気合いを入れてRyzen 7 2700Xで自作PCを組みなおしたのですが、実際にRyzen 5 2600と比較してみてここまで性能差がないのれあれば、Ryzen 5 2600を購入していたからです。(とはいえ検証してみないとわからないですが。)
実際の検証については僕が普段行っている作業がベースとなっているため、パソコン初心者~中級者の方にとっては参考になるデータとなっているのではないでしょうか。
たしかに、細かいパフォーマンスでいえば、Ryzen 7 2700Xの方が有利な点もありますが、体感的な部分でいえばほとんどかわりません。
また、パソコン全体でいえば、バランスよくまとまった良いパソコンだと思います。
先述しましたがDSP版のWindowsということもあって、BTOメーカーの独自BIOSやOEM版のWindowsが嫌だという方にもおすすめできますし、自作PCにするかBTOメーカーにするかで迷っている人にもおすすめできます。(後から修理したり交換したりするのは、DSP版の方が楽だし、僕はASUSのBIOS画面が好きなので)
なお、価格や仕様は記事執筆時のものであり、変更となる恐れがあるため必ずメーカー公式ページでご確認ください。