m-Book Jシリーズの上位モデルのJ371シリーズは、4K液晶を搭載した13.3インチのモバイルノートPCです。
今回LTE付きの実機モデルをマウスコンピューターからお借りしたのでレビューしていきます。
m-Book J371XN-M2SH2の特徴
m-Book-J350シリーズの動画
大きさやキーボードの打ちやすさはJ350シリーズと同じため僕が作成した下記動画を参考にしていただければと思います。8分程度です。
YouTubeでチャンネル登録4K液晶が高色域
従来のm-Book Jシリーズはノングレア液晶のHD(1366×768ドット)およびフルHD(1920×1080ドット)でしたが、4K液晶を装備することでより色域の高いディスプレイを実現しています。※HDモデルは終売でラインナップにありません。
13.3インチですので等倍表示では非常に小さくとても見づらいのですが、初期で300%に設定されていますので、普段使いはHD画質と同じ大きさでWindowsアイコンや文字を確認することができます。
僕が驚いたのは、色域の高さでした。キャリブレーションツールといわれる液晶ディスプレイの色域の広さを計測できるモノを利用してJ371の液晶ディスプレイの色域を計測したところsRGB程度をカバーしていることがわかりました。
Macに搭載されるカラーシンクユーティリティでsRGB(白枠)とm-Book J371(色付き)を比較してみたところほとんどsRGBと変わらない色域を持っています。
クリエイター向けのDAIVブランドのようにカバー率を確約してくれるわけではないのですが、マウスコンピューターのデメリットで上げられる”液晶がショボい”はJ371には当てはまらないため、液晶ディスプレイで購入を決めかねている人には朗報ですね。
色域が高いということは写真の編集を行ったり動画の編集を行ったりするのに有利です。
写真編集を始めてみたいけれど専用のノートPCやデスクトップPCを購入する資金がないという方は最廉価モデルから始めてみるといいかもしれません。
光学ドライブ(ODD)以外全部入りモバイルノートPC
ODD=(Optical Disk Drive)。つまりDVDドライブやブルーレイドライブを指しますが、m-Book J371はドライブ以外全部入りモバイルノートPCなのでとりあえず何のノートPCを購入すればいいかわからないという方におすすめできます。
他社製のものよりも本体は厚めですが、HDMI出力はもちろんD-Sub15pinまで対応しているため汎用性の高いノートPCに仕上がっています。
LTEモジュールをBTOで追加すれば超高コスパノートPCに
m-Book J371シリーズはLTEモジュールをBTOで追加可能です。
LTEモジュールはTelit LN930を搭載。NTTdocomo系のSIMカードをサポートする通信モジュールです。
ウェブ検索にかけてみたところ、150Mbpsまで対応するモデルでau系は対象外です。
大きさとしては通常のSIMカードサイズでしたのでmicroやNanoSIMではありません。
富士通のNifty系のMVNO”Nifmo”のSIMを用いてグーグルスピードテストを行ったところおおむね20Mbps程度の速度でした。(朝7時半、静岡県静岡市の自宅にて計測)
スマホ並みの速度でした。
月額1000円程度でモバイルネットワークにアクセスできる格安のSIMカードを手に入れられるので外で作業をする際にすごく便利だと思います。
NVMeがねらい目か?
m-Book J371シリーズは下記のようなラインナップとなっております。
型番 | 構成 |
J371SN-M2S2 | メモリ8GB SSD256GB(SATA) |
J371SN-M2SH2←売れ筋 | メモリ8GB SSD256(SATA) HDD1TB |
J371XN-M2SH2←売れ筋 | メモリ16GB SSD256GB(SATA) HDD 1TB |
J371XN-M2S5←お買い得 | メモリ16GB SSD512(NVMe) |
マウスコンピューターではSSD+HDDを内蔵したデュアルストレージモデルが売れ筋です。
なお、通常のSSD(SATA接続)より4倍以上高速なSSD(NVMe)モデルとの価格差が一番安いモデルと比較して2万円程度しかないため、m-Book J371XN-M2S5がお買い得となっています。
とはいえ、データ保存できる場所は1TB以上あった方が良いと思いますから、鉄板はJ371SN-M2SH2(メモリ8GB SSD256(SATA) HDD1TB)ですかね。
m-Book J371XN-M2SH2のスペック
OS | Windows 10 Home 64ビット |
モニター | 13.3インチ(3840×2160)ドット:タッチ非対応 |
CPU | Core i7 8550U |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 256GB(SATA)/1TB HDD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
光学ドライブ | なし |
通信機能 | 無線:IEEE 802.11 ac/a/b/g/n Bluetooth® V4.2 / 有線:1000BASE-T LANポート |
インターフェース | ヘッドフォン / スピーカー出力×1 ,マイク入力×1 ,USB 3.0×3 ,\ディスプレイ出力(HDMI×1/D-sub15×1)SD(HC/XC)/MMC対応カードリーダー |
セキュリティ | TPM2.0 |
サイズ/重量 | 324mm×234mm×22.5mm/約1.5kg |
バッテリー駆動時間 | 約6.1時間 |
オフィス | 別売り |
カメラ | フロント200万画素(Windows Hello対応) |
保証 | 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート |
本体外観・デザインについて
A4サイズキャンパスノートと比較
m-Book Jのホワイトカラーは女性に人気ということでマウスコンピューター公式サイトでも紹介されています。樹脂ボディにヘアライン加工が施された本体は清潔感がありつつ指紋が目立たない設計となっているため、汚れが気になる人にもおすすめできます。
豊富な拡張ポートを搭載しているため、他メーカーが発売する13.3インチのモデルよりもやや厚みがありますが、個人的には許せるレベル。
キーボード、タッチパッドについて
キーの配列において、エンターキーとバックスペースキー付近に違和感を覚えます。具体的には横に長いキーとなっているため、慣れるのに時間ががかるかもしれません。
キーピッチやキーストロークは標準的で打ちやすいサイズ感だと思います。
かなり強めに押し込んでも本体がたわまないため打鍵感は良いと思います。
タッチパッドは沈まないタイプで僕は好きではありませんが操作性は良いと思いますが、左クリックと右クリック両ボタンともとても浅いのでホールドしながら使うときに誤動作を誘発させます。僕は苦手。
液晶ディスプレイについて
それとともにグレア(テカテカ)液晶であるため、反射がすごい。くっきりと映りこんでしまいます。
ノングレア液晶とグレア液晶の質感を写真で確認
サイズ・重量感
一般的に持ち運びに向くノートPCの重量は1.5kg程度とされています。これはMacbookAirが1.5弱だからそういわれているのですが、現在では1kg以下のノートPCも多数販売されているため、”最軽量クラス”というわけではありませんが軽いです。
ベンチマーク結果
CINEBENCH R15
CPUパフォーマンスを計測するCINEBENCH R15では489cbという結果に。
このスコアのノートパソコンであれば、RAW現像や動画編集などの作業もこなすことはできるため持ち運びで考えている方におすすめです。
バッテリーもち
PC Mark8というベンチマークソフトで連続駆動させつづけてどれくらいバッテリーが持つのか確認したところ、2時間5分ということでした。
バッテリーをフルで使っているわけではないためあくまで参考程度ですが、4K液晶はバッテリーもち悪いです。
SSDとHDDの読込速度
SSDもHDDも特別早いわけではないですが普通に使うのに十分な速度です。
動画の編集・写真のRAW現像で実際の性能を確認
プロ用動画編集ソフト『Vegas Pro15』を用いて実際にYouTubeにアップロードした元データを使ってレンダリング=書き出しを行い、その速度を検証します。
動画に用いられたデータは5分程度のFHDファイルと、テロップ、アニメーション有り、『Vegas Pro インターネットHD1080p59fps』フォーマットに変換
CPU単体処理
QSV処理(CPU+iGPU)
といった結果になりました。省電力CPU最上位モデルではありますが、動画のレンダリング(書き出し)は5分モノで30分かかりますから、専用にするには厳しいところ。
QSV(CPU+IntelGraphics)であれば、なんとか許容範囲といった感じで、出先でちょろっと動かすことはできそう。
RAW現像
Adobe Lightroom Classicにて、α7Ⅱで撮影したRAWファイル(1枚あたり24Mb)を100枚JPEGに書き出しするスピードを計測したところ3分6秒でした。
スペック | 書き出しにかかった時間 |
Core i7 9700K メモリ32GB | 1分24秒 |
Core i7 9700K メモリ16GB | 1分26秒 |
Core i7 8550U メモリ16GB | 3分06秒 |
最新のデスクトップマシンと比較すると倍の時間がかかります。
CPU温度、本体温度
動画書き出し時のCPU温度を計測しました。Core i7 8550Uはとても安定していて使い勝手の良いCPUです。
サーモグラフィで計測。CPU高負荷時に最も熱くなった箇所がCPUが内蔵されている付近で40℃程度、キーボード付近は30℃前後でしたので、作業中にPCに触れるほど熱くなってしまうということは考えにくいです。
m-Book JシリーズのLTE速度検証
今回検証に用いたのは、富士通系列のMVNO、Nifmoが提供する格安SIMです。
お昼時(12時半)
午前(7時半)
といった結果になりました。一般的なスマートフォン並みの速度はでますのでドコモ系のSIM会社で強いIIJmio等を選ぶとよいかもしれません。
おすすめポイント
器用貧乏感はあるものの致命的な弱点が見当たらない優等生ノートPC
4K液晶を搭載したモデルで税抜き12万円台から購入できるノートPCとして考えればコスパ高すぎです。とはいえ、ひとつひとつのパーツクオリティは他メーカーのハイエンドモバイルノートPCと比較すると見劣りする可能性もあります。(価格が倍くらい違うからとうぜんですが。
10万円前後のノートPCを探している人で初めてノートパソコンを購入するという方におすすめできます。なにしろほぼ致命的な弱点が存在しませんからね。
なお、価格や仕様は本記事執筆時のもので変更となる恐れがありますので公式ページで必ず確認をお願いします。