ビジネスシーンに最適化されたノートPCは何かと聞かれたら、HP Elite Dragonfly G2が個人的には最有力だと思っている。
5G通信に対応した通信モジュール、HPのエレガントかつ実用性のあるデザインの最高クラスのビジネス向けノートPC。
今回メーカーより検証機を借りられたので、使い勝手や検証結果をレビューしていく。
スペック
HP Elite Dragonfly G2 | |
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モニター |
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CPU |
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iGPU |
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メモリ |
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SSD |
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サイズ(幅×奥行×厚さ) | 幅約304.3mm×奥行き約197.5mm×高さ約16.1mm |
バッテリー持続時間 | – |
充電タイプ | 65WUSB-C |
重量 | 約1.15kg |
保証 | 標準保証・1年間の引き取り修理・パーツ保証・電話サポート |
HP Elite Dragonfly G2は日本HPの法人向けモデルとして発売されているため、通常のコンシューマー向け製品と違い、パーツ保証や電話サポートまで付帯。
特徴
4GLTE/5G通信対応の次世代ビジネスモバイルノートPC
HP Elite Dragonfly G2は4G LTE/5G モデルもしくはWi-Fiモデルが選べる。
5Gモデルは「Qualcomm Snapdragon X55 5G」を搭載。SIM eSIM両方のデータ通信に対応する。eSIMは端末内部のチップに契約者の情報を書込みをし、移動しながらインターネット通信が行える。
現在eSIMでデータ通信のみを利用できるのはMVNOのIIJmioのみではあるが、20GB1650円で利用可能で、5Gにも対応。
携帯キャリアも電話機能を廃止したデータeSIMの利用を開始してくれればノートPCの可能性がさらに広がる。
カフェやシェアオフィスなどのWi-Fiを利用せずに済むため、よりセキュリティの高い状態でどこでもインターネット通信ができるようになる。
なお、4G LTEモデルは従来の「Intel XMM 7360 LTE Advanced」を搭載。どちらもGPS付。
ドラゴンフライブルーのエレガントなデザインが魅力的
前モデルから引き継いだドラゴンフライブルーに染まったボディはとても美しく、ビジネスシーンに映えるカラーリング。
日本HPの人気シリーズ「HP Spectre」よりも控えめな装飾でありながら、そのカラーリングで見る者を魅了するほどの存在感。
中央に刻印されたHPのプレミアムロゴが存在感を引き立て特別を演出。PCが好きじゃなくてもHP Elite Dragonfly G2がいかに美しいデザインかはわかるつくり。
性能やインターフェースを語るまでもないくらいにきれいにまとまったノートPCということがよくわかる。
のぞき見防止機能・HP SureView Reflect(内蔵プライバシースクリーン機能)
HP Elite Dragonfly G2はプライバシースクリーン機能として紹介される、HP SureView Reflectに対応。内部の特殊フィルムがあるため視野角は通常時もやや狭い。
HP SureView Reflextはキーボードf2キーに割り当てられボタンを押すとすぐに動作。
HP SureView Reflect機能をオンにすると液晶パネルとバックライトの間に設置された特殊なフィルムを使い、バックライトの光の向きをコントロール。
正面中央から見ているユーザーに合わせて光をコントロールするため周囲から見えなくなるHP独自の技術。
これにより人の多い場所でノートPCを広げなければいけない場合f2キーを押せばすぐにのぞき見を防止できる。
日本HPの法人向け製品が4%オフになるクーポンを当サイト限定で発行してもらっているので法人モデル検討の方は是非ご利用ください。
HP Elite Dragonfly G2
販売ページでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。
外観やデザインについて
HP Elite Dragonfly G2はCNCで削られたマグネシウム合金からなる洗練されたデザインが非常に魅力的。ボディカラーはドラゴンフライブルーでどんなシーンにも最適。このカラーは高い技術力が要求される金属素材への塗装からなっており、ヒンジ部とHPのプレミアムロゴがアクセントとなるよう設計されている。HP Elite Dragonfly G2はボディも含めパーツパーツひとつひとつが精巧に作られている。
キーボード側のデザインも秀逸で、没入感の高いナローベゼルデザインを採用。モニター下部にもHPのプレミアムロゴが印字されている。
ボディ側面は、端にいくほど細くなるテーパー加工でスタイリッシュな印象。フルサイズのHDMIぎりぎりの切削がなされており、工業製品として非常に素晴らしい完成度だと感じた。これは手に取ると本当に驚くほどぴったりできていて、これ以上細くすると強度は保てないのだと思う。
底面はゴム足2つのシンプルな構成、内部パーツは肉眼ではぎりぎり見えない程度の吸気穴が設置。
T5トルクスドライバーで封印されている。開封は可能だと思われるが、メモリはオンボードタイプで、増設できない。高性能なモデルが欲しい人はあらかじめ16GBモデルを選ぼう。
重量
メーカー公称値 | 1.15kg |
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実測値 | 1.136kg |
昨年モデルは999gという軽量が話題になったが、国内メーカーでもみられるような「小容量バッテリーで軽量化」を避け、56Whの大容量バッテリー1ラインアップに変更。
スペックだけの軽さよりも使い勝手を重視している。
モニターの色域
トーンカーブは明るいところで調整されていた。
搭載されているモニターの色域はsRGBカバー率97%ほど。映像の視聴にも最適だが、パネル内部の特殊フィルムがあるため、視野角は通常モデルと違って見える。
インターフェース
左側
- USB-A
- 電源ボタン
- セキュリティロック
- nanoSIMスロット
左側には物理的なNano SIMスロットも搭載。
右側
- USB-C(Thunderbolt 4)
- USB-C(Thunderbolt 4)
- オーディオコンボジャック
- HDMI(2.0)
HP Elite Dragonfly G2は高速なデータ転送が可能なUSB-C Thunderbolt 4を2ポート搭載。画面出力やデータの移動も行える。追加でHDMIやUSB-Aも搭載し使いやすさが向上。
キーボード・タッチパッドについて
キーボードの両サイドにスピーカーを設置したレイアウトで矢印キーの下に指紋認証のセンサーが付属。
キーボードはストロークが浅めのタイプ。ボディ剛性がしっかりしているぶんキーをしっかり押し込める。たわみも少ないため使い勝手はとても良い。
しっかりとクリックが感じられるタッチパッドで操作性は高い。
HP Elite Dragonfly G2はクワッドスピーカー内蔵。4つのうち二つはキーボード側面に設置されており、一般的なノートPCよりも音の広がりをしっかりと感じられる構成。底面のスピーカーからも音は出ているため、迫力のある映像をタブレットモードで楽しむこともできる。
5Gモデルの通信について
デバイスマネージャーで確認したところ、WANに対応した通信モジュールはクアルコム製のQualcomm Snapdragon X55 5Gのみだった。
今回メーカーから借りた検証機は5Gモデルで、SIM,eSIMどちらにも対応。
SIMスロットは本体左側のセキュリティスロット隣にあり、ピンを使わないノック式のタイプだ。ノック式ボールペンでペンをかちっと押し出すようにして使えるためSIMを出しやすい。
これに楽天モバイルのSIMを差し込んで使用してみたところ通信が可能だった。楽天モバイルは月額2,980円で使い放題なので筆者のメイン回線として利用中。もちろん電話番号もついてくるが、サブ回線で利用している人はPCに突っ込んで利用してみるのもありかもしれない。
eSIMについて
HP Elite Dragonfly G2はeSIMにも対応。2021年執筆時点では手軽に契約できるデータプランはIIJmioのeSIM契約。
IIjmioのeSIMがLTEに接続された状態でGoogleスピードテストを実行すると187.2Mbpsのダウンロードスピード。
高速なデータ通信を安く行いたい場合有力な選択肢だ。
日本HPのサイトから対応可能通信会社を調べたところ、NTTドコモ、KDDI、SoftBank3社のモジュール相互試験済み。
性能について
Cinebench R20
Cinebench R20はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り
Cinebench R20の総合スコア | |
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Ryzen 9 5900HX | |
Core i9 10980HK | |
Ryzen 9 4900HS | |
Core i7 10875H | |
Ryzen 7 4800H | |
Ryzen 5 4600H(TUF Gaming) | |
Ryzen 5 4600H | |
Core i7 10750H | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7 11370H | |
Core i7 1165G7 | |
Core i7 1165G7 |
マルチスレッド性能は1388pts。Core i7 1165G7プロセッサにしてはかなり控えめなスコア、パフォーマンスをあえて制限しているのかもしれない。
PCMARK 10
FutureMarkが提供するPCMARK 10は、MicrosoftOfficeのWord、Excelに類する互換ソフトウェアや、ビデオ通話会議ソフト、画像編集ソフトのバッジファイルを実際に動作させ、どの程度の快適性があるかをスコア化。提供元はおおむね4000点以上あれば快適としている。
結果は総合スコアが4582でMicrosoftOffice互換ソフトやビデオ会議ソフトは快適水準だった。CPUのベンチマークソフト結果ほど他モデルと差は開いていないため実使用では問題ないと思われる。
SSDの読み書きについて
搭載されているSSDはSamsung製のモバイルノートPC用のSSD。
大容量データを読み書きさせた際データ書き込み速度が大幅に低下。
一般的な作業では問題ないかもしれないが、連続的にデータ移動を伴うクリエイターには不向きなSSD。
ベンチマークのPCの表面温度について
PCMark 10実行時のPCの表面温度は34.3℃ほどで非常に低い温度に抑えられていた。
Core i7 1165G7プロセッサは高パフォーマンスで動作するPCだと45℃付近まで上昇するモデルも多く、HP Elite Drafonfly G2は意図的にパフォーマンスをおさえユーザーが快適に使える水準にコントロールしているのだろう。ファンの回転音も静かで気にならなかった。
HP Elite Dragonfly G2の評価とまとめ
良い点
- 美しいデザインと堅牢性の高いボディ
- 指紋認証・顔認証どちらにも対応しているためロック解除が素早く行える
- HP SureViewReflectでのぞき見防止でき、どんな場所でも安心してPCを広げられる
- 5GモデルはSIM,eSIMどちらも対応でどこでも高速通信が可能
- スピーカーの音、ディスプレイがきれいなのでプレゼンにもて最適
気になる点
- 本体価格が高い
- プロセッサのパフォーマンスが低い
ビジネスパーソンに向けた超全部入りノートPC
デザインや使い勝手はもちろん通信面においても最高クラスのパーツが搭載されており、いつでもどこでもPCを広げられる、そのうえプライバシースクリーン機能でのぞき見も防止できるため、ビジネスパーソンに必要な機能が全部入ったビジネスノートPC。
宣伝時にインパクトを持たせるようなスペックで販売するのではなく、ビジネスで使うときに必要な機能を全部詰め込んだPCで、バッテリーの連続動作時間にも配慮し、軽量性を少し犠牲にした点が評価できる。
気になる点は、最新のプロセッサを搭載しているにもかかわらず1世代前のマルチスレッド性能まで抑え込まれている点。これは実際に使ってみればわかるけれど、そこまで致命的というわけではないし、あえてパフォーマンスに制御をかけてユーザー体験を阻害しないようになっている。
がそれでも昨今のモバイルノートPC群のなかではやや控えめ。
また、今回は紹介を省いたが、Tlleにも対応。PC内部にトラッカー機能が搭載されているため、通信モジュール内蔵の4GLTE/5GモデルならPC紛失時もすぐに探すことができる。
これにより、価格が通常のノートPCより大幅に高くなってしまっているため、ノートPCを肌身離さず利用するビジネスパーソンにおすすめしたいノートPC。一般受けはしないだろう。
日本HPの法人向け製品が4%オフになるクーポンを当サイト限定で発行してもらっているので法人モデル検討の方は是非ご利用ください。
HP Elite Dragonfly G2
販売ページでみる価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。