ROG Flow Z13レビュー 全てを手に入れた究極のノートPC

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ASUSが販売するROG Flow Z13は13.4型の2-in-1ノートPC。最新のインテル第12世代プロセッサとASUS独自のテクノロジーを余すことなく搭載した。

今回、メーカーより実機を発売前にレンタルできたので最強の2-in-1ノートPCを紹介する。

スペック

今回レンタルしたのではIntel Core i9 12900Hプロセッサを搭載したモデル。ラインアップにはCore i7 12700HやCore i5 12500Hを搭載したモデルもある。

ROG Flow Z13 GZ301ZE
モニター
  • 13.4型(1920×1200ドット)(120Hz)
CPU
  • Intel Core i9 12900H
iGPU
  • Intel Xe Graphics
dGPU
  • NVIDIA GeForce RTX3050Ti
メモリ
  • 16GB
SSD
  • 1TB(NVMe)
サイズ(幅×奥行×厚さ)幅約302mm×奥行き約204mm×高さ約14.5mm
バッテリー持続時間約6.6時間
充電タイプ100W ACアダプター
重量約1.18kg
保証本体:購入日より12ヵ月間のインターナショナル保証+購入日より12ヵ月間のASUSのあんしん保証(日本国内保証・要登録)※13
バッテリーおよびACアダプター:購入日より12ヵ月間の日本国内保証

使用・詳細はASUS公式直販サイトASUS Storeの販売ページから確認してください。

特徴

動画で見る

わずか1.18kgの重量のゲーミングノートPC

ROG Flow Z13は昨年発売されたコンバーチブル2-in-1ノートPC「ROG Flow X13」の対となるノートPCで、ROG Flow X13はAMD、そして、今回のROG Z13はインテル第12世代のプロセッサを搭載し、デタッチャブル型を採用している。

デタッチャブル型は日本マイクロソフトが販売するSurface Proシリーズをはじめとしてビジネスワーク向けに販売されているモデルだが、ASUSは、ビジネスワーク向けとしてだけではなく、そこにゲームのプレイを快適に行える性能とクリエティブワークに適したモニターを搭載した。

ROG Flow Z13の重量はわずか1.18kgで専用GPUであるNVIDIA GeForce RTX3050Tiを搭載可能だ。RTX3050Tiは軽量〜中級クラスのゲームタイトルを快適にプレイできる性能がある。また、動画編集も可能にしてくれるGPUで、ゲーマー、クリエイターがノートPCを選ぶ際の必須パーツと言っても過言ではない。

専用GPUを搭載したデタッチャブル型のノートPCは排熱の影響で製品のクオリティ保つのがかなり難しく、MicrosoftのSurface Bookシリーズも、インテル社のゲーミングノートPC向けに開発されているGPUを搭載できずにいた。だが、ASUSは独自のテクノロジーを駆使してそれを可能にした。

 

パフォーマンスの詳細は後述するが、性能差は言うまでもなく圧倒的にROG Flow Z13が有利。この製品の登場によって日本マイクロソフトのSurface Pro 8のポジションが揺らぐだろう。

搭載されているGPUの最大グラフィックスパワーは40W出力。

 別売りの専用外付けGPU ROG XG Mobileを接続しデスクトップ級のパフォーマンスを実現

ROG Flow X13から実装されていたROG Flowシリーズ専用のeGPU Box ROG XG Mobileを利用し、デスクトップ級のパフォーマンスを発揮可能だ。

ROG XG MobileはノートPC用に開発されているGPUをASUSが専用のボックスに収納したという代物で、特殊なインターフェースを用いて、ノートPCとの接続が可能。

人気のシューター系ゲーム「Apex Lgends」ではNVIDIA GeForce RTX3070を搭載したROG XG MobileとROG Flow Z13を接続した結果、フレームレートが平均で230以上まで上昇した。これは低画質の結果だが、高画質時でも165fps程度で描画が可能だ。

もちろん、ゲームのプレイだけでなく動画編集時のエンコードやレンダリングも高速になりスムースにクリエティブワークを実行できる。

この専用のボックスは、PC本体と分離し、独自の冷却システムを搭載しているため、一般的なゲーミングノートPCに格納されているGPUよりもパフォーマンスが伸びやすい。

別売りで高価ではあるものの、ROG Flow Z13をマルチな環境で利用したいと考えるユーザーには是非検討してほしいアイテムだ。

ノイズキャンセリングマイク、Windows Hello対応カメラを搭載でビジネスワークにも最適

ROG Flow Z13はパフォーマンスだけでなく、ビジネスワークに利用可能なカメラとマイクを標準で装備している。

上記ライブ配信は筆者がゲーム配信をROG Flow Z13と外部モニターを接続して行なったものだが、前半部のカメラとマイクはROG Flow Z13で収録したもの。映像は、配信用に一部をクロップして筆者の顔だけうつしている状態だが、配信用のカメラとして十分に機能する性能だ。

カメラは顔認証でのログインにも対応しており、自分の顔を登録するとWindowsへのログインも可能となる。

一方、マイクについては配信で使うには少し課題がありそうだ。動画ではアケコンの音がノイズとして処理されているため、配信者の声もノイズとして人気されている可能性は否めない。とはいえ、ビデオ会議のみの利用であれば有効的に使えるだろう。

価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。

デザインについて

ROG Flow Z13はデタッチャブル型の2-in-1ノートPCで、キーボードを着脱可能。

タブレットのように利用可能で、専用ペンを使うとメモやスケッチを行うことができる。

MPP 2.0に対応した別売りのASUS SA201は写真の通り文字は書きやすい。ただし、マイクロソフトのスリムペン2と比べると傾き検知がやや甘め。絵を描くのであれば専用のタブレットデバイスを選んだほうがいいかもしれない。

とはいえ、手帳として使う、日記帳として使う、スケジュール帳として使うといったタブレットPCとしての利用は可能であるため利便性は高いと思う。

 

背面はアルミニウム合金で形成されており高級感のあるデザインを再現。

背面スタンドは170°まで開閉可能で、前述したメモやスケッチを行いやすいポジションを簡単に取ることができる。

写真の右下に黒い箇所があるが内部にSSDが搭載されている。これはSurface Pro 8と同様の手順を踏めばSSDを換装できるということだ。

背面の基盤が透ける凸状のウィンドウには内部にRGBが埋め込まれており七色に光ることで存在感を演出。また格好だけではなく、このウィンドウによって大きな基盤を採用できたからこそパフォーマンスを発揮できるとのこと。

モニターについて

ROG Flow Z13は13.4型のパネルを搭載している。Core i9 搭載機は120Hzのリフレッシュレートを選択できるモデルがあるためゲーミングモニターを別途と用意する必要がない。

リフレッシュレートは画面の書き換え更新回数を表しており、高ければ高いほど応答速度も速くなるという関係性もあるため、昨今のゲーミングPC市場では最低でも120Hz以上はほしい。と、騒がれている。

冒頭で紹介した通り、RTX3050Tiで動作させた際、人気のシューター系ゲームタイトルApex Legendsでも平均120fps以上での描画が可能であるため、これ1台でどこでも快適なゲームをプレイ可能ということである。

色域

ROG Flow Z13 に搭載されているモニターはシャープ製で「LQ134N1」が採用されている。輝度は500nitとメーカー公称値通りで非常にクオリティの高いパネルが採用されている。

色域はウェブコンテンツの基準となるsRGBカバー率が98.3%。動画コンテンツが画像編集に最適なパネルだ。

キーボード・タッチパッドについて

ROG Flow Z13 に付属するキーボードは、ポゴピンで本体と接続する。

キーボードを閉じているときは、PC本体のカバーの役割を果たす。手触りが柔らかく、高級感がある。

 

キーボードはストロークが浅めではあるが、一般的なカバータイプなキーボードよりも厚めに作られているので安心感がありビジネスワークであれば十分に使えそうな感じだ。打ち心地はROGシリーズのゲーミングノートPCを打鍵しているような感覚に近い。

そして、ROG Flow Z13 はUSB-Aのポートも備えており、自分自身が持っているお気に入りのキーボードと一緒に使うことも想定して設計されている。

インターフェースについて

左側

  • USB-C (3.2 Gen 2)
  • PCIE
  • USB-C (Thunderbolt 4)

右側

  • 電源ボタン
  • 音量ボタン
  • USB-A
  • オーディオジャック

ROG Flow Z13 に搭載されているインターフェースは豪華で、ROG XG Mobile用のポートのUSB-Cも利用可能だ。また、USB-Cだけでなく、USB-Amで搭載しているため、Surface Pro 8シリーズよりも汎用性に優れており、おすすめしやすい。

付属する電源は100W出力のもの。社外製のもので100W出力のものも多く存在しているが、それらを利用することも可能だろう。

性能について

Cinebench R23

Cinebench R23はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り

 

Cinebench R23の総合スコア

Core i9 12900H(レビュー機)
14884pts
Core i7 11800H
14111pts
Ryzen 9 5900HX
13894pts
Ryzen 7 5800H
12651pts
Ryzen 9 5900HS
12058pts
Ryzen 7 5800H
11670pts
Core i7 11800H
11250pts
Ryzen 7 5800H
11224pts
Ryzen 5 5600H
8815pts
Ryzen 7 5800U
7889pts
M1
7372pts
Core i7 11370H
7135pts 
Ryzen 5 5500U
6727pts
Core i7 1165G7
6594pts 
Core i7 1165G7
5379pts
Ryzen 5 4500U
4463pts
Core i5 1135G7
4223pts

最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では14884pts。

最新の第12世代のプロセッサの素晴らしいポイントは小さな筐体でもパフォーマンスを十分に発揮できる点。またシングルコアの性能はぶっちぎりでクリエイティブワークにおいて圧倒的に有利である。

3DMark Time Spy

FutureMarkが提供する3D Mark Time Spyは、DX12に対応したゲーム系のベンチマークソフトでCPU、GPUや総合スコアを算出し相対的な性能がわかる。

グラフィックススコアは3749点。40W出力のRTX3050TiはGTX1650と同じくらいのパフォーマンスだ。

また、ROG Xg Mobileと接続した際のスコアはこちら、現行のミドルハイクラスのデスクトップPCと同等のスコアだ。

SSDの読み書き

搭載されていた1TBのSSDはマイクロン製のもの。PCIe Gen3のSSD。ベンチマークテストでシーケンシャルリード、シーケンシャルライトの落ち込みはなく、ランダムアクセスライトが低下。とはいえ、搭載されているSSDはM.2 2230規格で、市場で販売されているM.2 2230規格のものと比較すると非常に品質が高いといえる。

Apex Legends

人気のシューター系ゲームApex Legendsはテクスチャ関連の設定を低画質、VRAMメモリの使用量も最低に設定したところ、平均で132fpsほどだった。

中級クラスのゲームタイトルであればシューター系のゲームでも120Hzのモニターの性能は活かせそうだ。

SOT

重量級ゲームのシャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダーはフルHD解像度で低画質に設定した。

ゲームソフト内にあるベンチマーク機能を利用したところ平均で70fpsほど。重量級のゲームタイトルもなんとかプレイ可能といった感じだ。

サイバーパンク2077

超重量級ゲームタイトルサイバーパンク2077はフルHD解像度で低画質に設定したところ、ソフトウェア上では平均44fps。

Adobe Premiere Pro CC動画の書き出し速度検証

過去YouTubeにアップロード用に作成したプロジェクトの書き出し時間を測定しました。α7R4で撮影したフルHD動画をH264 YouTube1080Pプリセットで書き出し、その時間を検証するというもの。

Premiere ProCCはVer22で計測、ハードウェアエンコーディングで実施しました。

  • XAVC S FHD24P(50Mbps)
  • 動画の長さ15分11秒
  • テロップ/カット編集/画像挿入あり
  • シーケンス設定は24fps
機種24fpsの書出し時間
XPS 171分39秒
HP ENVY 15 20211分57秒
Inspiron 15Plus1分57秒
Inspiron 16 Plus2分11秒
HP Pavilion Gaming (AMD)2分12秒
ROG Strix SCAR 172分13秒
ASUS TUF DASH F152分22秒
HP ENVY 14-eb(電源接続時)2分53秒
HP ENVY 14-eb(バッテリー動作)2分56秒
ROG Flow Z13(RTX3050Ti)(レビュー機)3分1秒
ROG Flow X13(バッテリー動作時)3分10秒
MacBookAir (M1)(ハードウェア)4分24秒
mouse K55分5秒
XPS 13(9310)6分25秒
ASUS ZenBook 14 Ultralight UX4356分36秒
Yoga Slim 750iCarbon7分34秒
mouse X5-R710分29秒
MacBook Air (M1)(ソフトウェア)10分46秒
mouse X5-R511分22秒
Yoga 650(AMD)12分39秒
Inspiron 14 541527分03秒

弊ブログで毎度おなじみのYouTube動画の書出しでは、処理時間が3分1秒でパフォーマンスはHP ENVY 14と同じ水準。

パフォーマンスだけで見れば上位クリエイターノートPCと遜色ない。

Lightroom Classic CCにてRAW現像時間を検証

Adobe Lightroom Classic CCにてα7Ⅱで撮影した24MPのRAWファイル100枚を一斉に書出し、その速度を検証しました。

LightroomClassic CC初期プリセットで画質を100に設定し、デスクトップへ書出し。結果は下記のとおり。

機種書出し時間
ROG Flow Z13(RTX3050Ti)(レビュー機)55秒
XPS 171分07秒
HP ENVY 15 20211分07秒
ROG Strix SCAR 171分26秒
HP Paivlion Gaming 15(AMD)1分27秒
Inspiron 15Plus1分27秒
ROG Flow X131分32秒
Inspiron 16 Plus1分35秒
ASUS TUF DASH F151分41秒
XPS 13(9310)1分37秒
HP ENVY 14-eb(電源接続時)1分44秒
mouse K51分53秒
mouse X5-R71分57秒
ASUS ZenBook 14 Ultralight UX4351分58秒
MacBook Air(M1)1分58秒
Yoga 6502分57秒
Yoga Slim 750i Carbon2分57秒
mouse X4-R53分8秒
Inspiron 14 545155分53秒

RAW現像においては過去最。CPUとメモリの速度が体感できる結果。

PCの内部の温度、ファンの動作音

PCの使用率を100%にできる負荷テストOCCTを使いROG Flow Z13の挙動を確認。

最高温度は76°ほど。圧倒的な性能ではあるものの控えめな温度で全く問題がない水準。

この時のPCの表面温度は36℃程度で非常に低い温度だった。これまでのゲーミングノートPCの水準からしても非常に低い温度、かつ、タブレットノートPCとしても非常に低い温度に抑えられている。

ファンの動作音について

Turboモード時

Turboモード時は47.6dbで一般的なゲーミングノートPCと同水準。この程度のファンの動作音で最高クラスのベンチマークスコアを叩き出せるので、このサイズでも必要にして十分だといえる。

パフォーマンス時

パフォーマンス時では41.9dbほど。ファンの動作音は聞こえるが不快だとは感じない。

パフォーマンス時のベンチマークスコアはマルチコアが下がるが、シングルコアにはほとんど影響がなかった。特別フレームレートを稼ぎたい状況でなければターボモードを利用する必要はないだろう。

サイレントモード時

ファンの動作をほとんど停止した状態のサイレントモード時では部屋の音の大きさが勝ってしまい測定不可能。

サイレントモード時のパフォーマンスはマルチコアやシングルコアともに大幅に制限された。おそらくバッテリーの連続動作時間を優先させるようにプロセッサが動作するコアを少なくしているだと思う。おそらくこれでも現在販売されているスタンダードノートPCと同じくらいの快適性を感じることはできるはずなので、ROG Flow Z13は据え置いてよし、持ち運んでよしのマルチな使い方に最適だ。

ROG Flow Z13の評価とまとめ

良い点

  • 13.4型のデタッチャブル型の2-in-1で最高性能を発揮
  • 小さい筐体なのにパフォーマンスは業界最高クラス
  • ビジネスワーク、クリエティブワーク、ゲーム、全てに対応可能
  • モニターパネルがシャープ製で非常にクオリティが高い
  • パフォーマンスを長時間維持できる安定した製品設計

気になる点

  • 32GBメモリがない?

真・これさえあれば何もいらないPC

一見するとSurface Pro 8のような感じではあるが、パフォーマンスにおいての差は圧倒的にROG Flow Z13の方が有利で人気のベンチマークスコアはほとんどがダブルスコアをつけている。

これはインテル第12世代CPUとASUSの技術力のおかげではあるのだが、兎にも角にも軽量、コンパクト、で、これだけのパフォーマンスが捻り出せるのであれば間違いなく買いの製品だろう。

実際、Surfaceシリーズのスリムペン2による傾きの検知能力は素晴らしいのでその点はまだSurfaceの方が有利だと思うが、それ以外を完封してしまっている気がするのだ。

実際のところゲームのプレイをしたければ別売りのROG XG Mobileは必須なのだがトータルの完成度を考えれば、多少、価格がリッチすぎるとしても許容できる。むしろ個人的に残念なのは32GBモデルを販売当初から市場に投入しないことである。担当者に確認したところ、32GBモデルの市場投入の予定では記事執筆の2月14日時点ではないということだ。残念!

価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。

2 コメント

  1. 何点か質問があります。
    1.ゲームをする時(APEX,ELDEN RINGなど)ps4のコントローラは使用できますか?
    2.キーボードは付属のモノじゃなくても使えますか?(例:K295GPなど)
    3.モニターとps4は接続可能ですか?接続可能なら映像は映りますか?

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