久しぶりに、というか人生で初めてかもしれない、「手記」で自分が笑って、驚いて、うなずいて、納得したのは。
今回紹介する「野村證券 第2事業法人部」は元野村のトップセールスで、現在オリンパスの巨額粉飾決算に関わったとして金融商品取引法違反の疑いで逮捕、現在も上申中の横尾宣政氏の書いた「暴露本」である。バブル時代、為替変動相場制が導入された後のお話なのだけれど、当時の日本はデイトレーダーも当然存在していない時代、当たり前なのだけれど、「株券」というものが実際に会った時の話。
[amazonjs asin=”4062204622″ locale=”JP” title=”野村證券第2事業法人部”]当然というか、僕はこの方を知らなかったし、証券の営業マンの話はたくさん聞いたことがあるので興味はあまりなかったのだけれど、多数のメディアで取り上げられたこの本をみるに連れて・・・
また、当然なんだけど、背景にある人物にスポットライトが当たり、何度か目にして「この人すごい人だから読んで見たいなぁ」と普段新刊を買わない僕が、Kindleで気づいたら購入していたのであります。
僕がこの本を思わず買ってしまった理由
強烈な印象だったのは言うに及ばずだが、書評や本の紹介記事ををネットで眺めていると必ずと言っていいほど、引用される箇所が存在する。
この本にある「それ」は特に強烈すぎて、その部分だけで購入を決意してしまった程にすごいインパクトだったので勿論引用する(みんな買おう!そして読もう!)
例えば1億円しか持ってない人に2億円損させると、その客はもう自殺するしかない。かといってノルマの達成は必須だ。そうなると自分が客に示せる最大の誠意は、1億円や2億円損しても平気な人を選んで取り引きすることだった。
本文より引用
いやぁこれには参りました、「誠意」とついてるところがまた深い。無形商材を取り扱う営業マンは身につまされる思いになるんじゃないかなぁ。
野村の場合は証券会社なので当然無形商材です。つまり、目の前に商品は存在しないこと。
日本人は車や家には気持ちよくお金を払う民族ですが、金融商品は全て物理的に型を成しているわけではないため、営業するのがとても難しい商材と言われています。
そういった商材を取り扱う営業マン。しかもまごうことなき最強の営業マンのお言葉は、納得するとともに、僕は深夜に大声を出して笑ってしまった。
言わずもがな、感覚が常人とはかけ離れていることなのだけれど、これくらいの姿勢で臨まなければ、日本人に無形商材を売ることは難しいということがよくわかると同時に野村の人って本当に戦闘民族なんだなと深く納得したのである。
本当にドラゴンボールを思い出した。
孫悟空が魔人ブウに一斉に殺される人々を尻目に「大丈夫だ!ドラゴンボールで生き返ることができる!」と自信満々に言い放ったのは子供ながらに「いや、そうじゃねぇだろ」と思ったものだが、その感覚に非常に似ていた。
とにかくこの本には圧倒される。
営業マンは読んでおいて損はない
読んでいて楽しくなったのはそれだけではなく、普遍的な営業スタイルをこの目で見ることができたのも1つある。
「名刺を1日10枚もってこい」、「決定権者に会う」ために創意工夫したり。横尾氏は京大卒のスーパーエリートなので、当然僕と感じていることや考えていることは違うはずなんだけれど、「営業マン」であるという唯一の共通項があったので(それでも別次元の世界であることに変わりがない)特に本の導入部分は金融知識がなくてもサクサク読めるのがこの本の良いところであります。
なので「証券マン?カスだろ!\(^o^)/」と偏見を持たずにこの本を手にとって欲しいと思います。それくらい考えさせられる部分。
個人的にはもう一つ
この本の導入部分で語られる、ロクイチ国債について「売れない商品」だと。
これは僕の書いた記事にも書いたけれど、やはりそういった感覚が存在していることもひとつ嬉しかった点。(なぜトップセールスマンはたくさん存在するのか)
巨大企業の財テクは正に「暗黒」
暴露本といえば、やれ芸能人の誰々がーというのがワイドショーなんかで取り上げられるが、日本人が読むべきなのは、今話題の東芝の巨額粉飾やかのオリンパス事件である。
「Too big to fail(大きすぎて潰せない)」は僕はあまり好きではないし、この本にはその裏情報がたくさん乗っている。
「日本の大企業ってこうやって経営してるんだなぁ、へぇー」というのが何度も出てくる。特に巨大企業の財テク(ファイナンス)の部分は正に「暗黒」
それを証券会社や銀行が絡んでさらにブラックボックス化しているため、本当はどうなっているのかわからない。
そういった意味でこの本は僕たちが普段絶対に目にすることのないインサイダー情報を余すことなく紹介してくれる、しかも、京大卒のスーパーエリートであり、戦闘民族野村マンの視点で。
やはりあの事件のことに関していえば絡んでる人や金額が膨大すぎるので、本の情報量も盛りだくさんで一度読んでスッと処理するといった具合には僕にはできないので今も読み返しているのだけれど。
それほどにこの「野村證券 第2事業法人部」は面白い1冊。
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