Google謹製スマートフォンPixel 4aが2020年8月20日に日本で発売開始されました。筆者の僕は、昨年発売された、前モデルPixel 3aを「2019年に最もおすすめできるスマートフォン」に選出した。
スマホにハイスペックを求めない僕は、半ば消去法的な要素も少なからずあったのですが、結果としてPixel 3aは非常によくできたスマートフォンだったため、次世代機のPixel 4aも予約開始後、即買いました。
1年間Pixel 3aをメインスマホとして利用してきた視点から、Google Pixel 4aがどの程度進化したのか記載していきたいと思います。
スペック
Pixel 4a 簡易スペック | |
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サイズ | 5.7型 |
SoC(CPU) | Snapdragon 730G |
メモリ | 6GB |
ストレージ | 128GB |
バッテリー | 3140mAh |
無線 | 11a/b/g/n/ac Bluetooth 5.0 |
重量 | 143g |
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SoC(CPU)は600番台から700番台へ
Pixel 4aはCPU(スマホではSoCと表記するのが一般的ですが、便宜上CPUとします)にグラフィック処理性能を強化した、Snapdragon730Gを採用しています。Pixel 3aはSnapdragon 670でしたので、ワンランクアップグレードされた形です。
実際、Pixelユーザーがゲーム専用機として廉価モデルのPixel 4aを買うか、と言われると怪しい部分もありますが、米国ですでにサービス提供済みのクラウドを用いたゲームプラットフォーム「Google Stadia」が快適に動作するようなスペックまで引き上げる必要があるからかもしれませんね。
6GBRAMと128GBROMの嬉しいアップグレード
ストレージが128GBとなり、ビデオ撮影の録画も意識した作りになっているのかと感じますが、ビデオ撮影機能は表面的にアップグレードされていません。
Googleは、クラウドコンピューティングの思想を持っており、Googleフォトやドライブをユーザーに使ってもらうことで、デバイスのスペックはもりもりにする必要がないと考えている企業なので、そのGoogleが128GBのROMを搭載するということは、もうすでに、128GBを標準と考えていいのかもしれない。(格安WindowsPCですら64GBのモデルがあるのに)
バッテリー容量は増え重量は減る
バッテリー容量は3140mAhで、Pixel 3aよりも140mAhほど増えいているのにもかかわらず重量は4gほど削られています。
高性能な小型精密機器のスマートフォンは1g削減するのに非常にコストのかかるデバイスだと思いますが、Pixel 4aは本体の厚さや指紋センサーのリングを削って実現しています。軽さを重視するユーザーのためのスマートフォンといえるでしょう。
Wi-Fi6には非対応
体感的な恩恵を感じづらい Wi-Fi6には非対応です。iPhone SE(2020)と比較する際、CPU性能や無線機能などが挙げられそうですが、個人的にはほとんど気にならない。というかつい先日Wi-Fi6を導入して検証もしましたが、少なくともマンションタイプの光回線の人にとってWi-Fi6はおまじない程度だと思います。
ベンチマークスコア
AntutuBench
スマホの総合的な処理能力をテストするAntutuBench(v8.4.4)では、前モデルPixel 3aを大幅に上回る結果に。
特に、GPUやメモリ周りの強化が目立ち、これまでどこか性能不足だと感じていた点を払拭。そのため、アプリの立ち上げやブラウジングがスムースになったと感じました。
ワットパフォーマンス向上
ベンチマーク中のCPU温度上昇はpixel 3aよりも4aのほうがゆるやかでした。
Snapdragon 730GのほうがCPUのベースクロック、ブーストクロックは上昇しているものの、消費電力はほぼ同等クラスなので、ワットパフォーマンスが向上してるといっていいでしょう。
PCMARK for Android
Work 2.0 battery life | |
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Pixel 4a | 7時間26分 |
Pixel 3a | 7時間25分 |
PCMark for Androidでは満充電から20%になるまで、高負荷のタスクをデバイスに与え続け、バッテリーの連続使用可能時間を調べるテストです。
結果として、100%から20%まではPixel 4aと3aで大きな差は見られませんでした。
元々Pixel 3aは廉価モデルのスマートフォンの中ではそこそこのバッテリーもちでした。CPUの性能がアップしている点を考慮しつつ、Pixel 4aのバッテリー容量を増やしたのかもしれません。
通信テスト
平日の午後16時頃に楽天モバイル(キャリア版)/楽天モバイル(MVNO)/FujiSIM(SoftbankMVNO)にて回線テストを行いました。(静岡県の宅内での計測)
今後の発展に期待される楽天モバイルですが、やはりキャリアです。通信速度やレイテンシが有利でした。Pixel 4aはeSIM採用で、正キャリアの楽天モバイル版で真価を発揮しそうです。
FujiSim最近遅くなってきてるな。
バッテリーの充電時間について
バッテリーMIXによる満充電までの時間を計測しました。Pixel 4aはUSB-PD 2.0 18W 9V/2Aの急速充電に対応しています。
残18%から100%まで、約1時間ほどで充電が完了しました。
Pixel 4aの性能評価
Pixel 4aは前モデルPixel 3aと比べて、メモリやストレージが強化されアプリケーションの読込が高速化した点がユーザーとして、最も体感できる部分でしょう。
グラフィックス性能は強化こそされていますが、体感上Pixel 3aとあまり変わらない気はします。
デザインについて
Pixel 4aは樹脂素材にマット加工を施した素材をボディ本体に採用しています。熱伝導率が低く、本体に熱を伝えづらい点が魅力で、長時間使用していても表面温度の上昇は限定的です。
ゲームを1時間動作させた際のスマートフォンの背面温度は最も熱い箇所で36.6℃でした。
これこそが樹脂素材を採用するメリットです。外観の安っぽさよりもユーザーの利便性+コスト削減を両立させることができるため、個人的にはとても素晴らしいと考えています。
画面は大きく、サイズはコンパクトに
また、筆者の僕は成人男性としては小柄で、手が大きくないのですが、Pixel 4aは前モデルPixel 3aよりも0.2インチほど画面サイズが大型化しているにもかかわらず、表面積が小さくなっているため非常に持ちやすいと感じました。
マット加工は指紋が目立ちづらく質感が良い
Pixel 3aは背面のみマット仕上げで、カメラ側やサイドは光沢感のあるデザインでした。Pixel 4aは全身マットブラックなので、指紋が目立ちづらい+高級モバイルノートPCのような特別な質感があります。
モバイルノートPC市場では、カーボン+つや消しマットが人気で、アルミやガラスのような重厚感とはまた違ったニーズがあるため、PCレビューアーの僕は少なくともチープだとは感じませんでした。
個人的に残念なのは指紋センサーのリングがなくなったことです。Pixel 3aは指で触るとはっきりとリングの質感がわかるようになっていたのですが、Pixel 4aはただのくぼみになっています。コストカットなのか、デザイン重視でこうなったのかは不明ですが、Pixel 3aの指紋センサーのほうが好きですね。
ディスプレイについて
パンチホールを採用し、ナローベゼル化しました。やや周回遅れ感のある、マイナーチェンジではありますが、非常にうれしいポイントです。
一見するとPixel 3aのほうが大きく見えますが、ベゼルを狭くできた分だけボディ小型化しているため、実際のモニターサイズはPixel 4aのほうが大きいのです。
有機ELの発色の綺麗さはそこまで変化はありませんでした。
Pixel 4aのリフレッシュレートは60hzまでです。
Pixel 4aの評価とまとめ
良い点
- メモリ・ストレージの強化で体感できるレベルで改善した
- 税込み42,900円と前モデルよりも低価格で128GBストレージに
- 本体小型化でインチ数アップ
- 長時間の使用でも不快にならない温度で使用可能
気になる点
- Wi-Fi6非対応
- qi充電非対応
- 指紋センサーのリングが安っぽくなった
廉価モデルとして成熟度があがった、高コスパモデル
いわゆるベンチマークのスコアでは、iPhone SE(2020)や上位のCPUを搭載したモデルにはかなわないものの、個人的に、安いスマートフォンは機能の取捨選択で最終的な製品クオリティが変わると思っています。
Pixel 4aは持ち前のカメラ性能や低価格で購入可能といった点を深堀することで、大量生産の中華スマホに対抗できている点は流石だなと。
128GBストレージがうれしい
また、これまでハードウェアに大容量ストレージは(おそらく)不要と考えてきたGoogleが廉価モデルに128GBを搭載してきたため、今後発売予定のPixel 5、(あるいは5XL)は512GB+動画性能の向上もありえるかもしれませんね。
既存ユーザーは買わなくてもよいかも
最後に、買う価値はあるか、という点ですが、Pixel 3aをすでに購入しているユーザーはあまり恩恵を感じづらいと思います。
Pixel 4aをおすすめな人は、廉価な中華スマホを愛用してきた人で、安定的に使えて政治的に問題がなさそうな端末を求めている人にPixel 4aはおすすめです。