DAIV-NG5520シリーズは、DAIV5Pへと型番が変更されました。マウスコンピューターのクリエイター向けPCブランド『DAIV』から発売される15.6型のノートPCです。
マウスコンピューターよりPC本体をお借りしたので、特徴を含めて解説いたします。これから動画制作を始める方の最初の一台に最適です。
DAIV5Pの特徴
動画で確認する
下記動画は、前モデルDAIV-NG5510のレビュー動画ですが、ベースは同じでCPUとGPUが違うだけなので構造やパフォーマンスの出方は参考になると思います。
Core i7 9750H+GTX1650搭載で動画編集に最適
YouTubeなどのプラットフォームはフルHDの解像度に仕上げることが多いと思いのですが、5分から10分程度の動画を制作にするのにあたって、CPUとGPUのパフォーマンスは必要不可欠です。
快適性は人によって変わりますが、CPUはノート用上位のCore i7 9750H、GPUはGTX1650を搭載しているモデルがベターな選択と思われます。(少なくとも僕はそう思う。)
実際に動画の変換をしてみた
普段僕はYouTuberとしても活動を行っています。実際にYouTubeにアップロードした動画を5分に区切って書き出しを行いました。
- H264 YouTubeプリセット
- 尺は5分
- テロップ、BGM、アニメーションあり
以上のような条件です。一般的なYouTuberといわれる人がアップロードしているデータにかなり近いと思われます。
DAIV5Pの動画の書き出し時間 | |
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ソフトウェア | 7分19秒 |
CUDA | 4分40秒 |
ソフトウェアというのはCPUの単体処理のことで、GPUを搭載していないモデルはソフトウェア処理によるレンダリング時間となり、CUDAはGPUのCUDAコアも使った処理のこと。
搭載されているメモリの量によっても処理時間が変わるため、上記はやや控えめな速度と思います。
シルバーメタリックカラーで渋いデザイン
天板のみアルミ素材をあしらい、高級感を演出しています。
縦に入ったヘアライン加工もカラーにマッチしていると思います。
派手さ控えめで、どんな部屋のインテリアにもマッチしそうな印象を受けました。
銀色を見ると思わずフジフィルムのカメラを思い出します。”クリエイター向け”としているだけあって渋さがこのパソコンのデザインの特徴なのだと思います。
どちらかといえば、メモリは16GBに抑えつつ、SSDやHDDの容量を増やしたほうが、より実用的なノートPCに仕上げることができると思います。
動画でも取り上げていますが4K動画ではメモリの量で作業スピードが変わるため、本格的に動画制作を行いたい方は、32GB、あるいはGPUが上位のモデルを検討したほうが良いと思います。
DAIV 5Pのスペック
※執筆時のDAIV NG5520のスペックです
DAIV-NG5520S1-SH2のスペック | |
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CPU | Core i7 9750H |
GPU | GTX1650 |
メモリ | 8GB |
SSD | 256GB |
HDD | 1TB |
サイズ | 約360×243.5×20.3mm |
バッテリー駆動時間 | 約7.4時間 |
重量 | 約2.1kg |
保証 | 1年間無償保証および24時間365日電話サポート |
DAIV-NG5520は購入すると1年間の無償保証および24時間365日の電話サポートを受けられます。
パソコンを初めて購入する初心者の方にも安心です。
インターフェース
右側面
- SDカードスロット
- USB 3.0
- USB 3.0
左側面
- ケンジントンロック
- LAN端子
- USB 2.0
- マイクジャック
- イヤフォンジャック
奥側面
- MiniDisplay
- MiniDisplay
- HDMI
- USB-C
- DCジャック
DAIV 5Pは映像出力端子が3ポートあります。最大で3画面外部出力が可能で、一般的なノートPCよりも多い。
スペースを取るデスクトップPCと違い、薄型、コンパクトに仕上げられたDAIV 5Pであれば、省スペースでマルチモニター環境を構築可能ということ。
僕のYouTubeのコメント欄に寄せられる、「動画編集にお勧めはなんですか?」という質問の多くで、ノートPCの性能について言及される方が多いのですが、こうした出力などの細かい点もとても大切です。
はじめは15.6型でもいいのですが、作業スペースが増えると作業効率も上がるので、ゆくゆくはモニターを増やして使いたいと考えている人はこうした点にも注目するとよいでしょう。
「いや、とりあえずモニターの増設はなしでノートPCだけで動画編集を行てみたい」という方は同社が発売するm-Book W890シリーズがおすすめです。
色域が広く、17.3型でモニターがDAIV-NG5520よりも大きいため作業がしやすいです。
デザイン・外観詳細
既に記載していますが、DAIV-NG5520シリーズは、天板のみアルミ素材を使った筐体でそのほかの部分は樹脂素材です。
天板の側面はダイヤモンドカットが施されており、反射するときらりとひかります。
ノートPCの開閉部のへこみは力を加えずともサッと開ける親切設計です。
底面は内部が透けるほど細かく穴の開いた空気穴があります。
M.2SSDのスロットに余分があるため、PCに詳しい方ならば、低価格になったSSDを別途増設することも難しくはありません。メモリーは絶縁シートでおおわれていますが、こちらも交換は容易です。
サイズ
厚さは約20.3mmでGPUを搭載した15.6型のクリエイター向けノートPCとしてはかなり薄い筐体です。
持ち運び時にバッグに収納する際に役立つでしょう
重量
メーカー公称値では、約2.1kgとしていましたが、実際の重量は1.956kgでした。15.6型のMacbookProと同等の重量ですので、持運びできるレベルだと思います。
実際に手に持ってみてもそんなに重いという感じありません。
ただし、AC合わせた重量は2.6kgほどありまして、出先で使うとなるとそれなりの”装備”になります。
持運び重視で検討されるなら、同社のNG4300が非常にお勧めできます。
キーボード・タッチパッド
キーボードはキー配列が特殊で、『¥』が左下に、『ろ』が右下に『→』が0のとなりに入り込んでいます。
頻出するキーではないものの、その分左側のシフトキーや0のスペースが削られているため、文字の入力をする際に違和感を感じるかもしれません。
また、キーストロークは実測値で1.5mmでした。公称値は1.4mmですが、実際にキーをたたいてみると打ち辛さは感じません。キーの配置のほうが気になります。
キーピッチ(キーの中心から隣のキーの中心まで)は18mm-19mm程度なのでキー配置さえ気にならなければかなり打ちやすいキーボードだと思います。
タッチパッドの右上には、指紋認証センサーが搭載されています。Windowsのセットアップ時などで自分の指紋を登録しておけば、Windows Helloによる指紋認証でWindowsにログインでき便利です。
このほか、タッチパッドの操作性は良好で、独立ボタンは搭載されていませんが、『かちかち』としっかりと推した間隔を図れるタッチパッドなので操作しやすいと感じました。
液晶モニターについて
ナローベゼルデザインを採用した、ノングレアタイプの液晶モニターです。
ノングレアタイプなので光の映り込みが少なく、反射してみえるものによって作業が妨げられません。
色域・トーンカーブ
青と緑が強く出ています。肉眼で見た感じ「青っぽいな」と感じたため、RAW現像や写真編集を行う場合、キャリブレーションツールなどを用い調整したほうがいいかもしれません。
色域
DAIV-5Pの色域 | |
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sRGB比 | 99.9% |
sRGBカバー率 | 90.1% |
搭載される液晶パネルは変更となる恐れがありますが、DAIV-NG5520はRAW現像などで重視されるsRGBカバー率が90.1%で、やや足りない。
いずれにしても本格的なRAW現像を行う場合はハードウェアキャリブレーションに対応した専用のモニターがあったほうがいいので、RAW現像メインで行われる方は下記記事も参考にしてください。
とはいえ、動画編集であれば必要十分かなと。
- 初心者向けRAW現像・写真編集用液晶モニターの選び方とおすすめ
ベンチマーク結果について
Cinebench R20
CPUのパフォーマンスを測定できるCinebench R20の計測結果です。
Cienebench R20他社機と比較 | |
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DAIV-5P | |
GS65 Stealth9SE-475JP | |
NEXTGEAR-NOTE i5565 | |
LEGION Y740(15) |
マウスコンピューターのゲーミングPCブランド『G-Tune』から発売されている『NEXTGEAR-NOTE i5565』および、MSI社のゲーミングノートと比較しました。
DAIV-NG5520は同じCPUを搭載しているモデルの中では上位の性能を発揮します。比較している高価なゲーミングPCと同等以上の性能が発揮でき高性能。
DAIVを買う方の用途にはあっていないかもしれませんが、GTX1650であれば、比較的重たいゲームのプレイも快適レベルです。
FF14
大人気オンラインゲームファイナルファンタジー15では、非常に快適レベルを示しています。
CPUクロックと温度
上記は30分間連続駆動した際のパフォーマンス推移です。CPUのクロック周波数が4.0Ghzで安定し、CPU温度は最高で76℃とうまくCPUの熱をコントロールできていると思います。
CPU温度が76℃というのは一般的にCore i7 9750H搭載モデルの中でもかなり低い水準ですので、DAIV 5Pは比較的耐久性が高いといえそうです。
Crystal Disk Mark
SSD
SSDはSATA接続のKINGSTON製が採用されていました。SSDとしては控えめな速度ですが、これよりも高速なSSDを利用した場合と体感速度は大きく変わりません。
HDD
HDDは5400rpmの回転数のものでそこまで早くはありません。データ保存用に利用するのが良いと思います。
HDDやSSDは必要最低限といった形ですが、BTOで上位モデルにグレードアップしたり、容量を多くできます。
下記ページよりご確認いただけます。
- マウスコンピューター公式-DAIV-5P
本体温度
空気の通り道は下から吸って、横、奥の排気穴から排気する仕組みです。
ゲームのプレイ時や動画のレンダリング時はキーボードの表面温度が41.2℃程度。低温やけどの範囲からは外れていますが、注意したほうがいいかもしれません。
Core i7 9750H搭載マシンとしては、やや低めの温度ですので、製品としては良いと思います。
駆動音について
DAIV-NG5520のファンの駆動音 | |
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アイドル時 | 40db前後 |
ピーク時 | 50db前後 |
ファイナルファンタジー14を駆動した際に計測したファンの駆動音です。
立ち上がりは静かで、不可のかかる重たいシーンなどでCPUが全開で駆動するとファンの駆動音は50db程度まで上昇します。
静かな場所で作業する方はうるさいと感じるレベルだと思います。動画のレンダリング時にも同レベルの音がします。
DAIV 5Pの評価とまとめ
DAIV-NG5520の評価 | |
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価格 | 普通 |
性能 | 他社の同スペックより高性能 |
携帯性 | クリエイター向けとしては良い |
液晶 | 色域がやや足りない |
デザイン | 渋さ際立つ |
冒頭で紹介した通り、これからクリエイティブな作業を行う方に適したノートPCだと思います。弱点としては、”クリエイター向け”と銘打っているなかでやや色域が足りない点ですが、最初から厳密に色を再現できる高品質なモニターをそろえる人も、そうはいないと思われますし、色域の少なさは外部モニターでカバーできるでしょうから、本格的に行いたい方は当初から専用モニターの購入をおすすめします。
なお、価格や仕様は記事執筆時のもので変更となる恐れがあります、必ず販売元でご確認ください。