「もうゲーミングデスクトップPCは不要かもしれない」
そう思わせてくれたのが、台湾メーカーASUSが発売するゲーミングノートPC ASUS TUF DASH F15です。
ASUS TUF DASH F15はノート用最高クラスのゲーミング性能の第11世代CPU Intel Core i7 11370Hプロセッサと、専用グラフィックスチップにNVIDIA GeForce 3070を搭載。
二つのパーツの高い性能をASUS独自の冷却機構により長時間維持できるのが特徴です。
今回発売前にメーカーより実機をお借りしたのでレビューしていきます。
スペック
ASUS TUF DASH F15 FX516PR | |
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モニター |
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CPU |
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dGPU |
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メモリ |
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SSD |
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サイズ(幅×奥行×厚さ) | 幅約360mm×奥行き約252mm×高さ約19.9-20.9mm |
バッテリー持続時間 | 約11時間 |
無線通信規格 | Wi-Fi6/Bluetooth V5対応 |
充電タイプ | DCジャック |
重量 | 約2.1kg |
保証 | 12か月間のインターナショナル保証 |
インターフェース規格など仕様詳細はASUS製品ページから閲覧可能です。
ASUSの製品は購入後、あんしん保証および3年の延長保証あんしん保証プレミアムに加入可能です。
日本国内のメーカー保証以上に手厚い保証なので、ハードに使うゲーミングノートPCを購入検討されている方はあんしん保証も検討するとよいでしょう。
ASUS TUF DASH F15
公式サイトで確認価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。
ASUS TUF DASH F15FX516PRの特徴
動画で見る
YouTubeでも検証して感じたことを紹介させていただいております。
第11世代 インテル® CoreTigerLake H35シリーズ Intel Core i7 11370H搭載
ASUS TUF DASH FX15FX516PRはインテルの第11世代プロセッサIntel Core i7 11370Hを搭載しています。
世代 | 第11世代 Core |
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コードネーム | Tiger Lake |
CPUコア数 | 4 |
スレッド数 | 8 |
プロセスルール | 10nmSuperFin |
基本クロック | 3.3Ghz |
ブーストクロック | 4.8GhzGhz |
TDP | 35W |
第11世代CPUはシングルスレッドあたりの性能を高めつつ、コアを削減することで低消費電力+ハイフレームレートゲーミングを可能にした点が特徴的です。
TDPは35WでゲーミングノートPCやクリエイター向けのPCに搭載されるCPUにもかかわらず、モバイル用と比較してもそれほど高くはありません。
重量級のゲームソフトでは、グラフィックボードの性能だけでなんとかなるので、新しいインテルCPUの一つの形になるでしょう。
NVIDIA GeForce RTX3070搭載
GPUには8nmプロセスで製造されたRTX3070を搭載。もともとGPUはCPUよりも発熱が少なく余裕があったのですが、新アーキテクチャによってさらに電力効率がアップした感じがあります。
体感的なパフォーマンスは従来機のハイエンドモデルをしようしているとわかりづらいかもしれませんが、PCでゲームを起動しピーク時のトータルの電力が約135Wでした。
後述しますが、仮にこのマシンの性能で、トータル出力を100W以下まで下げらるのであれば、僕はデスクトップPCをやめる。
少ない消費電力でハイパフォーマンスをひねり出せることもまた確かにロマンだ。
240Hz3msのゲーミングディスプレイ搭載
ASUS TUF DASH F15は1秒間に240回の画面更新が可能な240Hzの高いリフレッシュレートを持つディスプレイを採用しています。応答速度はメーカー公称値で3msです。
リフレッシュレートは競技性の高いシューター系のゲームタイトルで有利不利を決める重要な要素となるため、ユーザーとしては非常にありがたい。
ASUSのTUFシリーズは従来まで144Hzまでの対応でしたが、2021年に発売するモデルより240Hzに対応。ハイエンドゲーミングブランドROGシリーズはおそらく300Hz級のモニターだと思いますが、実戦地では240Hzと300Hzの差は目視では確認できないレベルなので、240Hzで必要にして十分でしょう。
上位機を彷彿とさせるスタイリッシュなデザイン
TUF DASHFX15はROG Zephyrusシリーズを彷彿とさせる、洗練されたボディを採用しています。
最も厚い箇所で2cm程度とゲーミングノートPCとしては非常にスタイリッシュで持ち運びも視野に入れて使えるでしょう。
ゲーミングノートPCを使いたいけれど、派手なデザインが苦手という方にもおすすめです。
性能について
ASUS TUF DASH F15FX516PRの性能についてです。定番のベンチマークソフトやメジャーなゲームタイトルのフレームレートを測定した結果を掲載するので目安としてご利用ください。
Cinebench R20
Cinebench R20の総合スコア | |
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Core i9 10980HK | |
Ryzen 9 4900HS | |
Core i7 10875H | |
Ryzen 5 4600H | |
Core i7 10750H | |
Core i7 11370H(レビュー機) | |
m-Book K700 Core i7 9750H | |
HP ENVY X360 13 Ryzen 7 4700U | |
HP ENVY x360 15Ryzen 5 4500U | |
Core i5 10300H | |
ThinkPad E14 Gen 2(AMD) | |
Prestige 15 Core i7 10710U | |
mouse X5 (Core i7 10510UI) | |
ThinkPad E595(Ryzen 5 3500U) | |
ThinkPad X390(Core i7 8565U) |
CPUのレンダリングスピードを計測するCinebench R20では、2755ptsでした。Core i7 10370Hは物理コアが4コアで総合的なパフォーマンスがマイルドになっていますが、シングルスレッドは581ptsで、最新のデスクトップCPUなみの性能があります。シングルスレッドあたりのパフォーマンスが大幅に向上しているため、従来機と比較してサクサク動作してくれる印象です。
Cinebench R23
Cinebench R23の総合スコア | |
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M1 | |
Core i7 11370H |
最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では4コアにもかかわらず、8コアM1チップとほぼ同水準の性能を発揮していました。
全体的なパフォーマンスは従来機よりも大幅に向上していると思います。なお、シングルスレッドにおいては、1520ptsで、M1Macよりもわずかに高いパフォーマンスでした。
ゲーム性能
フォートナイト
フォートナイトは、実際にソロでプレイを5分程度行い、その平均フレームレートを計測しました。(スカイダイブ時は非計測 プレイ内容を完全再現できないのであくまで参考程度の指標としてとらえてください。
画質はプリセットの「最高画質」「高画質」「中画質」を選択しました。
フォートナイトシーズン2の平均フレームレート | |
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フルHD(1920×1080ドット) | |
エピック(最高画質) | |
高画質 | |
中画質 |
結果として、最高画質で117fpsでした。
4コア8スレッドになったことが影響しているのか、高いフレームレートを伸ばしづらいようで、中画質にしても平均が184fpsどまりでした。
これはマルチタスキング(計測ソフトを動作させながら計測)を行う場合CPUのリソースが咲かれてしまい、ゲーム時の使用率が高まらなかったためだと思います。
PUBG
PUBGはトレーニングモードで建物周辺を5分程度集会した平均を算出。
おそらく、実際のゲームプレイでは、平均で10fps以上上下するものと思われます。テストモードでの集会はプレイヤーの数によってフレームレートがブレますのでこちらも参考程度に。
プリセットは、「ウルトラ(最高画質)」「高画質」「中画質」を選択
PUBGではウルトラで116fpsでした。
PUBGのトレーニングモードに関しては、周囲のプレイヤーの人数や攻撃を受ける回数によって上下してしまいますが、おおむねフォートナイト同様の結果。
最低フレームレートは100前後なので、安定度は高いのですが、最高フレームレートがいまひとつのびきりません。
サイバーパンク2077
トリプルA級のビッグタイトルサイバーパンク2077ではフルHD解像度でレイトレーシングウルトラ/ウルトラにて計測しました。
サイバーパンク2077の平均フレームレート | |
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フルHD(1920×1080ドット) | |
ウルトラレイトレ有DLSSバランス | |
ウルトラレイトレなしDLSSバランス |
画質ウルトラでレイトレーシング有の場合平均48fpsでした。カクツキが分かる程度。一方でレイトレーシングをオフにすれば常時60spfにハリツキでゲームをプレイ可能。
シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダー
シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダーのベンチマーク機能を使って、最高画質、高画質、中画質のプリセットを計測。
選択画質は「最高画質」「高画質」「中画質」です。
同じく重量級ゲームタイトルのシャドウオブザトゥームレイダーでは最高画質でも75ps以上で描画可能でした。
ゲーム性能まとめ
RTX3070は従来のRTX2000シリーズよりも基本性能が高くフレームレートが安定しました。
しかし、Intel CPUの4コアが影響したのか、高いフレームレートで出力することができず、240Hzモニターの宝の持ち腐れ感が否めません。
一方、3D描写がきれいなアクションゲームでは、60fpsオーバーを発揮できるということもあって、快適にゲームのプレイが可能。
全体的に高いゲーム性能をもちながらも、ミドルクラスのゲーミングノートPCという位置づけになるでしょう。
搭載SSDの性能
搭載されている1TBのSSDはNVMe接続のモノが採用されています。シーケンシャルリードは理論値付近の速度まで出ており、ゲームやクリエイティブな作業に最適なSSDだと思います。
クリエイティブ性能
Adobe Premiere Pro CC動画の書き出し速度検証
過去YouTubeにアップロード用に作成したプロジェクトの書き出し時間を測定しました。α7R4で撮影したフルHD動画をH264 YouTube1080Pプリセットで書き出し、その時間を検証するというもの。
Premiere ProCCは2021年1月9日時点の最新バージョンに更新、ハードウェアエンコーディングで実施しました。
- XAVC S FHD24P(50Mbps)
- 動画の長さ15分11秒
- テロップ/カット編集/画像挿入あり
- シーケンス設定は24fpsです。
スペック | I7/16GB/RTX3070 |
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24fpsの書出し時間 | 2分22秒 |
フルHDの動画編集は超快適といえる水準のノートPCです。Core i7 11370HやRTX3070シリーズの組み合わせはゲームのプレイももちろんですが、クリエイティブな作業で真価を発揮する構成だと思います。
Lightroom Classic CCにてRAW現像時間を検証
Adobe Lightroom Classic CCにてα7Ⅱで撮影した24MPのRAWファイル100枚を一斉に書出し、その速度を検証しました。
LightroomClassic CC初期プリセットで画質を100に設定し、デスクトップへ書出し。結果は下記のとおりです。
I7/16GB/RTX3070 | |
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書出し時間 | 1分41秒 |
RAW現像はCPUのシングルコア性能が結果に大きく影響することもあり、第11世代のパワーアップをもろに体感できます。
動画編集や写真の補正は超快適な水準です。
クリエイティブ性能まとめ
CPUパフォーマンスの向上が体感できるのはゲームではなく、クリエイティブだと感じました。特に動画編集時のサクサク差はミドルハイクラスのデスクトップPCを操作しているかのような感覚でノートPCとは思えないほど快適です。
動画編集用にPCを検討されている方におすすめできると思います。
モニターについて
ASUS TUF DASH F15に搭載されているモニターは前述の通り、ゲーマーのための240Hz、3msでゲーミングモニターの役割を果たします。
アンチグレアタイプのパネルを採用しているため、ゲーム時にも光の反射が気にならず長時間のプレイにも耐えられる作りです。
色域・トーンカーブ
キャリブレーションツールでトーンカーブを計測。赤と緑が強めです。ゲーム用に調整しているのかもしれません。
計測した色域をソフトウェアで各色域と比較した結果が下記です。
ASUS TUF DASH F15FX516PRの色域 | |
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sRGBカバー率 | 98.3% |
Adobe RGBカバー率 | 74.2%% |
DCI-P3カバー率 | 74.7% |
sRGBの色域をわずかに超える程度の色域がありますが、カバー率は98.3%でした。ゲーミングノートPCとして考えると非常に広い色域を持ったPCだと思います。
YouTubeにアップロードする動画の確認や、ブログやウェブサイトにアップロードするようなウェブコンテンツ用としては十分なクオリティのパネルです。
ファンの動作音やPC内部の温度
ファンの動作音
ゲームのベンチマーク時にファンの動作音を測定しました。
ASUS TUF DASHF15 FX516PRのファンの動作音 | |
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サイレント時 | 約39.2db |
ターボ時 | 約46.1db |
従来のモデルと比較すると静かになったと思います。とはいえ、46.1dbはファンの回転音が気になるため、神経質な方だとかなり気になると思います。ヘッドセット推奨
PCの温度
内部のCPU温度
OCCTで1時間ほどCPUの使用率100%の状態でどの程度本体内部のCPUの温度が上昇するか計測しました。
OCCT実行時のCPUの温度 | |
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最大温度 | 84℃ |
最小温度 | 37℃ |
内部の温度はCPUの使用率が100%になっても84℃程度で推移していたため、長時間ゲームをプレイしても壊れる心配がありません。
第11世代のインテルCPUはパフォーマンスのアップだけではなく、PC本体の耐久性も高めてくれます。
PCの表面温度
この時のPCの表面温度は38.2℃でした。
人が触らない箇所が43.8℃でした。ファンクションキー周辺は高温ですが、それでもぎりぎり低温やけどにならない程度の温度です。
ASUSはサーマルコントロールが優秀という点ももちろんですが、ユーザーフレンドリーな設計なので万人におすすめしやすいんですよね。
パフォーマンスにて記載しましたが、シングルスレッドの性能がこれほど高いにもかかわらず、PC本体がこの温度で推移するのは驚異的だと思います。
デザインについて
ASUS TUF DASH F15 FX516PR同社のゲーミングブランドROG Zephyrusシリーズを思わせるスタイリッシュなデザインが特徴です。(※PC背景のバックライトはイメージです)
近代兵器の装甲を思わせるデザインが特徴的でしたが、天面のロゴは小さく印字されています。
ゲーミングともとれるし、一般的なノートPCともとれるような柔和なデザインで一般ユーザーからも受け入れられそうです。ごてごてしたデザインはROGを買おうということなのかもしれませんね。
底面はデュアルファンが露出し、しっかりとCPUとGPUの熱を冷やしてくれます。中央には、ヒートパイプが見えます。
TUF DASH F15 516PRは最厚い箇所で20.9mmとゲーミングノートPCの中ではかなり薄い筐体を採用している点がとてもよく、それでいてしっかりと有線LANを搭載してくれています。
インターフェース
左側側面
- DCジャック
- 有線LAN
- HDMI
- USB-A
- USB-C(Thunderbolt 4)
- オーディオコンボジャック
右側面
- USB-A×2
- ケンジントンロック
キーボードについて
キーボードのバックライトは単色で各色に発光可能です。キーストロークは1.5mmほど。クリック感のあるタイプです。
タイピングがしやすく、シューターゲームでも利用しやすいと思います。ASUSは昨年より日本語配列(JIS配列)に最適化されたキーボードを採用しているため、普段から日本語配列になじみのあるひとも使いやすいと思います。
ASUS TUF DASH F15 F516評価とまとめ
良かった点
- (デスクトップPCと比較して)低消費電力で重量級のゲームを快適にプレイ可能
- クリエイティブの性能もミドルハイクラスのデスクトップとそん色なし
- PC本体の冷却効率がよく、ユーザーフレンドリー
- 一般ユーザーの手に取りやすいスタイリッシュなデザイン
気になった点
- 240Hzモニターの宝の持ち腐れ感が否めない
クリエイティブにもつかえる今風のゲーミングノートPC
残念な点を挙げるとするならば、CPUや4コアになったことによるリソース不足感がいなめないところ。
フルHDの重量級のゲームタイトルも最高画質で遊べることから、「ゲームをプレイしたい」ユーザーのニーズには答えているのかもしれない。とはいえ、本来であればシングルスレッド性能が大幅に向上しているため、「平均で240fpsだせます!!」と記載したかったのですが、ふたを開けてみればフォートナイトの中画質で平均が184fpsという中途半端な結果に。
シューター系のゲームで240Hzを活かしたければ、Ryzen搭載モデル(がラインアップに加われば)のほうが優秀かもしれない。
一方で、クリエイティブな用途で使いたいユーザーには非常におすすめできるノートPCだと思います。動画編集やRAW現像など、コンテンツ制作に必須ともいえるアプリケーションはデスクトップPCのミドルハイクラスと同等以上の性能を発揮可能なので、持ち運びやサブで検討されている方にはおすすめできます。パネルの表示領域も広いですし。
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ASUS TUF DASH F15
公式サイトで確認価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。