NG7700はDAIV 7Nへと型番変更されました。
マウスコンピューターのDAIV NG7700シリーズはCore i9 9900K+RTX2080搭載のフルパワーノートPCです。
今回メーカーから実機をお借りできたのでレビューしていきます。
DAIV 7Nのおすすめポイント
先にDAIV 7Nの弱点を紹介しておくと、単純な性能だけでDGZ530(DAIVのデスクトップ)シリーズと比較すると割高といった点です。
CPUやグラフィックボードを同じ構成にすると10万円以上NG7700の方が高いのです。
となれば、NG7700を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか?
広色域の4K液晶モニター
DAIV 7Nの4K液晶モニターの色域 | |
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Adobe sRGB比 | 138.6% |
Adobe sRGBカバー率 | 100.% |
Adobe RGB比 | 102.8% |
Adobe RGBカバー率 | 98.4% |
NG7700に搭載されている4KUHD(3840×2160ドット)モニターは出荷時にも正確な色を再現できる高価な液晶モニターを搭載しています。
BenQモニターやASUSのハイエンドノートPCに搭載されるパネルを採用していた
筐体ごとのばらつきはあるかもしれませんし、供給元が変わる可能性もありますが、プロファイルにて液晶パネルを確認したところAUO社(BenQの子会社)の高品質パネルを採用していました。
- 参考-BenQ SW240レビュー|24.1インチの写真編集入門用モニターを紹介します。
- 参考-ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)レビュー|最強のクリエイターPCは究極の体験を与えてくれる。
液晶パネルの詳細は海外サイトにてPDFが公開されていたので、詳細まで知らないと購入できないという方は参考にしてください(全部英語です)
- AUO B173ZAN1.0 PDF
個体差は出るでしょうが、Adobe RGBカバー率100%のモデルもおそらく存在するでしょう。今回僕がお借りしたモデルに関しては、98.4%とのことでしたが、これだけの再現度あれば必要にして十分。
専用の液晶モニターを別途購入する場合4K+Adobe RGBカバー率100%クラスを実現、となると選択肢はそうはありません。(表記しているモニターはたくさんありますが)
例えば、BenQ SW271(4K+Adobe RGB99%)で139,800円ですから、決して高すぎるわけではないということがわかります。
省スペースでハイパワー
日本のオフィスは狭いとよくいわれますが、デスクトップPCを設置するとなると余分にスペースの確保をしなければなりません。
つまり、デスクトップではなくノートPCを選ぶメリットは設置スペースの確保といった点にもあるわけです。
実際にデスクトップPCを設置すると画像右側のように、設置スペースに奥行きや幅を持たせる必要があります。(モデリングイメージ実寸に合わせています。)
このほか、クリエイターの方であれば、完成した作品をクライアントに営業をかける際に持ち運べた方が良いが、レンダリングに時間がかかってしまうため普通のノートPCではダメだ!と考える人もいるはず。
ここまで記載すればわかる通り、コスト対性能だけでは測れないところにNG7700のメリットがありまして、もう少し性能を落としても大丈夫!という方はNG5510が非常に優秀なのでそちらをおすすめします。
DAIV-7Nスペック
※NG7700検証時のスペックを掲載しています。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
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液晶ディスプレイ | 17.3インチ(3840×2160ドット)・タッチ非対応 |
CPU | Core i9 9900K |
グラフィック | GeForce RTX2080 |
メモリ | 64GB |
ストレージ | 512GB (NVMe)×2 |
光学ドライブ | なし |
通信機能 | 無線 IEEE802.11 ac/a/b/g/n (最大1.73Gbps) + Bluetooth 4.2モジュール内蔵/1 有線 (1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(RJ-45) |
インターフェース | USB3.0×4/USB 3.1Type-C×2/ヘッドホン出力×1/マイク入力×1)/miniDisplayport×2/HDMI×1/SDカードリーダー |
セキュリティ | ケンジントンロック/マカフィーリブセーフ(60日) |
サイズ/重量 | 418×295.3×41.5mm (折り畳み時/ 突起部含まず)/約4.4kg |
バッテリー駆動時間 | 約2.2時間 |
オフィス | 別売り |
カメラ | 200万画素 |
保証 | 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート |
Adobe Photoshopの快適性
デスクトップよりもパフォーマンスはやや低下した
Photoshopの快適性や相対的な性能を図るベンチマークソフトがあります。
米国の『Puget Systems』が開発したテストで、現存する最高のCPU Core i9 9900K+RTX2080Ti搭載モデル、メモリ64GBを1000点とし、そのマシンがどのくらいの作業スピードを持つのかが相対的に測れます。
なお、2019年本記事執筆時には、RTX2080製造元となるNvidiaが2種のドライバーを用意しています。ゲームを動作させるのに最適化されているソフトウェア『Game Ready Driver』動画編集や、フォトショップに最適化されている『Creator Ready Driver』があります。
上記のテスト結果ではパフォーマンス微増といった形ではあるモノの、スコアアップが見られました。
顕著なのはフィルター系のスコアとGPUスコアがアップしています。
Adobe Photoshop CC Benchmark | |
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Core i9 9900K メモリ 64GB RTX2080 | |
Core i7 8750H メモリ32GB RTX2060 | |
Core i7 8750H メモリ32GB GTX1050(4GB) | |
Core i9 8950HK メモリ16GB GTX1050Ti | |
Ryzen 7 2700X メモリ16GB GTX1060(6GB) |
やはり、Core i9 9900Kとメモリ64GBの効果は絶大で、ベンチマークテストも一瞬で終わりました。
このベンチマークテストでは、基準となるPCとほぼ同じ性能なはずなのでスコアが低いのは、デスクトップ用メモリとノート用メモリの差がそのままスコア差になっているのだと思います。
が、性能だけでいえば、現存するノートPCの最強クラスのパフォーマンスです。
Adobe lightroomClassic CCのRAW現像スピード
なお、RAW現像時にも『Game Ready Driver』と『Game Ready Driver』の比較を行いましたが、1秒未満の変化で誤差でした。
Adobe lightroomClassic CCにて、Adobe Lightroom Classicにて、α7Ⅱで撮影したRAWファイル(1枚あたり24Mb)を100枚JPEGに書き出しするスピードを計測したところ1分25秒秒でした。
- 画像形式JPEG
- カラースペースsRGB
- 画質60
- メタ情報『すべてのメタデータ』人物情報の削除、場所情報を削除
スペック | 書き出し時間 |
---|---|
Core i7 9700K メモリ16GB(DGZ530) | 1分24秒 |
Core i9 9900K メモリ64GB | 1分25秒 |
Core i7 8750H メモリ32GB | 1分51秒 |
Photoshop同様ノートPC用メモリであることがネックになっていそうな感じです。
実性能においてはDGZ530の中間クラスのモデルを購入しておけば変わらないと思われます。
Vegas Pro15による4K動画の書き出し時間
Vegas Proにてプライベート旅行で撮影した4K動画の書き出し、音声あり、データ修正はなしデータを5分で区切って書き出し。3840×2160 59fpsで変換。
変換方法 | FHD | 4K |
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CPU単体 | 9分25秒 | 36分7秒 |
QSV | 未実施 | 未実施 |
NVENC | 7分7秒 | 7分34秒 |
やはり、4K動画の書き出しにおいては、RTX2080のパワーは絶大で、FHD動画の書き出しと同じ時間で書き出すことが可能です。
DAIVノートの下位モデルNG5800でも4K動画の書き出しは試しましたが、NG7700は半分の時間で4K動画の書き出しが可能でした。
動画編集をメインで行う方は、グラフィックボードは妥協しない方がいいでしょう。
SSDの読込・書込み速度
搭載されていたSSDはSamsung製のPM981。
特に注目したいのは書込み速度が非常に高速な点。動画の書き出しやRAW現像においては、読込速度よりも書込み速度の方が重要です。
SSDの中でも上位に入る書込み速度で非常に高品質なSSDを搭載しています。
液晶モニターについて
階調表現が豊かな液晶ディスプレイだと思います。流行りのナローベゼルデザインではありません。
極端な色の変化もありませんでした。視野角も広いと思います。
トーンカーブに若干のブレはありますが、軽度のものです。
カラーマネジメントツールは用意した方が良いでしょう。
DAIV NG7700には工場出荷時に色域検査表を同梱しています。冒頭で紹介したのは僕が測定した結果ですが、メーカー側としてもユーザー満足度を高めるためにこうした企業努力をしています。
マウスコンピューターの厳しい検査に合格したPCだけが、製品として手元に届くため、パソコンのクオリティに妥協したくない方におすすめできます。
耐久性
高価なPCであるため、耐久性を不安に思う方もいらっしゃるでしょうが、その辺のデスクトップPCよりも発熱に対しても、マウスコンピューターは抜かりがありません。
ピーク時のCore i9 9900Kの温度
超重量級のベンチマークテスト『ファイナルファンタジー15』の4K画質にて1時間ほど実施。
ソフトウェアにて確認しましたがピーク時の温度で81℃と非常に安定していました。
ピーク時のRTX2080の温度
RTX2080も76℃と非常に安定していました。
ピーク時の表面温度
サーモグラフィで計測したところ、最も熱い部分で40℃前後でした。PC内部の温度は伝わりにくくなっているようですが、高めの温度で注意が必要です。
背面の最も熱い部分は47度でした。
デスクトップ用ではないため、ベンチマークスコアはデスクトップPCに及ばないものの、これだけのパフォーマンスが出ていて、この温度に収まっていればかなり耐久性の高いノートPCといえます。
NG7700の外観
天板部はエッジが効いたつくりで、質実剛健感があります。
キーボード・タッチパッド
キーピッチは約18.4mmと間隔が広い。そのうえキーストロークは約2.0mmです。
筐体がかなりしっかりしているのか、”たわみ”を感じることなく心地よく打鍵できます。
エンターキー周辺のキーが小さいのが気になりますが、メインで使うであろう左側のShitやCtrlキーなどは一般的なデスクトップキーと同程度の大きさなのでとても使いやすいと思います。
タッチパッドも大き目にスペースがとられているため非常に使いやすいです。
ControlCenterでタッチパッドをオフにできるため、マウスを使う方は設定しておきましょう。
左クリック、右クリックに関しては、やや柔らか目の”クリック感”でした。操作性は非常に良いと思います。
インターフェース
左側面
- RJ45(イーサネット)
- USB Type-C(thunderbolt3)
- USB 3.1Type-C
- USB 3.0×2
- SDカードスロット
右側面
- ラインイン
- マイクジャック
- ラインアウト
- ヘッドフォンジャック
- USB3.0×2
- ケンジントンロック
奥側面
- HDMI
- miniDisplayport×2
- 電源
拡張性
NVMe SSD及びSATA SSDスロットが計4つありました。ノートPCとしての拡張性は非常に高いと思います。
また、ネジを外してズラスだけで基盤にアクセスできるため、増設は比較的容易です。
DAIV 7Nで気になる点
音
デュアルファンが全開で回ると、不快感を覚えました。
とはいえ、ハイエンドクラスのCPUやGPUを搭載しているパソコンはデスクトップであろうがノートであろうが、騒音問題は避けられません。高い処理能力を得るためには、ファンの駆動音は避けられない問題です。
付属のコントロールセンターでファンの回転数は抑えられるため、必要に応じて回転数を設定しましょう(当たり前ですがファンの回転数を下げるとパフォーマンスも低下します。)
重量
DAIV 7Nの重量 | |
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本体 | 4.358kg |
本体+AC | 5.728kg |
上記のように、昨今のノートPCと比較して倍以上重量があります。携帯性に関しては宅内、室内で持ち運べるノートPCと考えた方が良いでしょう。
DAIV 7Nの評価とまとめ
法人クリエイター向けPC
DAIV 7Nの評価 | |
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価格 | パーツ構成から考えれば妥当だけど高い |
性能 | 筐体サイズを考えれば驚異的な性能 |
携帯性 | 室内での持ち運びができるサイズ。外への持ち運びはきつい |
液晶 | とても良い。専用モニターと同等の高品質なモニター |
デザイン | 無骨&無骨、良くも悪くも業務用といった感じ |
ニーズがあって、希望通りなら買った方が良い。中途半端なパソコンを買うくらいならNG7700を選択しましょう。
耐久性と性能両方を約束してくれるので、作品をクライアントに見せるために持ち運べる必要性がある企業担当者の方や、省スペースで作業環境を構築しなければならないフリーランスの人におすすめできます。
なお、価格や仕様は記事執筆時のもので変更となる恐れがあるため、かならず公式ページで確認をお願いします。
このほか、当ブログではDAIVの選び方やマウスコンピュータ―の評判についてまとめた記事を執筆しています是非ご覧ください。