DAIV 5Nはマウスコンピューターがのクリエイター向けブランドから発売されている動画編集用に最適な15.6型のノートPC。
最大130W出力で動作し、高い処理能力を持つGPU NVIDIA GeforceRTX3060を搭載しているのが特徴で、フルHDの動画編集から4K10bitなどGPUの性能を必要とする作業においてノートPCを検討しているユーザーにおすすめだ。
今回メーカーより実機をお借りできたので使い勝手やベンチマークソフトの検証結果を記載していく。
スペック
DAIV 5N スペック | |
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モニター |
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CPU |
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dGPU |
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メモリ |
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SSD |
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サイズ(幅×奥行×厚さ) | 幅約355.5mm×奥行き約236.7mm×高さ約20.6mm |
バッテリー持続時間 | – |
充電タイプ | ACアダプター |
重量 | 約1.73kg |
保証 | 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート |
マウスコンピューターは製品購入後、無償で24時間×365日の電話サポートをうけることができる。
DAIV 5N 2021年モデル
公式サイトで確認なお、価格や仕様は変更となる恐れがあるため必ず公式ページにて確認を。
特徴
最大グラフィックスパワー130WのRTX3060搭載
ノートPC用のGPUは筐体ごとに出力が管理され、「上位モデルなのにパフォーマンスがおもったほど出ない」ということがありえるのだが、DAIV 5N 2021年モデルは安心してよさそうだ。
NVIDIAのシステム情報でグラフィックスパワーを確認してみたところ、最大グラフィックスパワーは130Wで、おそらくノートPC用のRTX3060のなかでも最高性能が発揮できる設計。
他社のRTX3060搭載モデルよりもベンチマークスコアはが伸びる傾向にあり、パフォーマンスの高さで外資系メーカーと戦えるマシン。性能は期待してもよい。
動画編集用のノートPCで4K動画の編集用マシンを検討しているのならこのモデルはおすすめだ。
WQHD(2560×1440ドット)/165Hzのモニターを採用
DAIV 5Nに搭載されれているパネルはWQHDの解像度で165Hzのリフレッシュレートに対応する。高いリフレッシュレートのパネルは主にゲーミングノートPCに搭載されるものだが、最近ではクリエイター向けのモニターにsRGB比100%程度の色域と応答性の早さを併せ持つパネルが量産されているようで、クリエイターノートPCにも搭載され始めている。
高解像度のモニターは表示領域が広くなるため、動画編集ソフトの利用時などクリエイティブなタスクで重宝する。
また、ゲーミングノートPCとして販売されてはいないが、高性能なGPUを搭載しているのでゲームをプレイするのにも向いている。
32GB構成も購入可能。最大64GBまでのカスタマイズに対応で高性能モデルが買いやすい
DAIV 5Nは初期構成から16GBモデルと32GBモデルが選択可能。今回検証しているのはこの32GBモデルでとてもパワフルだった。
マウスコンピューターの強みはBTOカスタマイズで自分に合った構成を選択できるところであるが、64GBのカスタマイズ幅を残しつつ、ベースモデルとして32GBを用意してくれているため、高画素カメラのRAW現像や、3Dのモデリングでメモリをガッツリ利用したいユーザーにおすすめだ。
DAIV 5N 2021年モデル
公式サイトで確認なお、価格や仕様は変更となる恐れがあるため必ず公式ページにて確認を。
デザインや外観について
DAIVシリーズは、大手外資系メーカーのようなスタイリッシュさというよりは、”業務用”を追求したデザインで、”現場PC”といったいで立ちだ。
やや玄人好みのグレーカラーでデザインは従来から大きくは変わってはいないが、2020年モデルからボディ本体は薄く、重量は軽くなった。
キーボード側もベゼルが細くスタイリッシュな印象。
左側から見るとモニター側の薄さも相まって非常にスタイリッシュなことがわかる。昨今の超薄型モバイルノートPCほどではないが、15.6型のクリエイターPCとして考えれば、かなりの薄型設計だ。
15.6型のクリエイターPCといえば、2kg越えがあたりまえだったが、DAIV 5Nは高いパフォーマンスを維持しつつ、薄型、軽量化している点が素晴らしい。
底面は、ゲーミングノートPC顔負けの吸気穴ではあるが、ヒートパイプが露出しないようおおわれている。
一般的なユーザーに適したノートPCでは銅製のヒートパイプがむき出しになっていることが多く、パーツ単位でも差別化をはかっていることがわかる。
後述するが冷却性能は非常に高く、CPUの性能を活かしきれる設計だ。
キーボード・タッチパッドについて
DAIV 5Nはテンキー付きのキーボードを搭載。3列テンキーが気になるユーザーもいるかもしれないが基本的には癖のないJIS配列でエンターキーやスペースキーが大きめにとられているので事務作業も使いやすいと感じるはず。
キーストローク(押し込んだ時の深さ)は浅めで、メーカー公称値では1.4mmほど。最近流行のモバイルノートPCのようなうちごこちで好き嫌いはあるかもしれない。
キーボードのバックライトにも対応している。
動画編集者はマウスを使うと思うのでそこまで重視する必要はないが、タッチパッドも標準的なサイズ感で使い勝手は良い。
モニターについて
15.6型ノングレアタイプのパネルを採用。光の映り込みがすくなく視野角も広め。
高解像度パネルで応答性も早いのでウェブの閲覧をきびきびと動作し情報取得効率が高い。
色域・トーンカーブ
キャリブレーションツールによるトーンカーブの測定では上記画像のような結果に。
RとBがやや強めに調整されている。
sRGBカバー率は実測値で98.5%、sRGB対比では103%程度の広い色域を持つパネルだ。フォトグラファーが行うRAW現像で使われるモニターはsRGBよりも広いAdobe RGBが望ましいとされているが、YouTubeなどウェブコンテンツ用であれば、このモニターでも必要にして十分な色域だ。
インターフェースについて
奥側面
DAIV 5Nは奥側にインターフェースを設置することで、多くの外部デバイスとの接続をサポートしている。
- USB-C
- HDMI
- 有線LAN
- DCジャック
右側面
- microSDカードスロット
- USB-A×2
左側面
- ケンジントンロック
- USB-A
- マイクジャック
- ヘッドフォンジャック
一つ残念なのは、2020年モデルに搭載の最大40Gbpsのデータ転送が可能なThunderbolt 3に対応したUSB-Cのポートが最大10Gbpsの転送速度にスペックダウンしていたことだ。
Thunderboltに対応した機器がすくないということもあっての判断かもしれないが、4K以上のデータをSSDで頻繁にやりとりしたり、外部のモニターと出力するようなプロのクリエイターから、不満があがるかもしれない。
また、microSDカードスロットも、高画質化するミラーレスカメラの推奨がUHS-Ⅱの規格なため、DAIV 5NもフルサイズのUHS-Ⅱ対応SDカードスロットだったらもっとよかった。
性能について
DAIV 5Nにはファンの回転数を制御しパフォーマンスをコントロールする「パフォーマンスモード」「バランスモード」「静音モード」の3種類が用意されている。
今回の検証では「パフォーマンスモード」を使用し、定番のベンチマークテストや人気のゲームタイトルを実際に動作をさせ検証を行った。
Cinebench R20
Cinebench R20はCPUのパフォーマンスのみでコンピューターグラフィックを生成し、CPUの性能を測定するベンチマークソフト。点数が高ければ高いほど高性能とされているが、実際のソフトウェアを動作させた際の実性能と差が開く可能性があるが結果下記の通り
Cinebench R20の総合スコア | |
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Ryzen 9 5900HX | |
Core i9 10980HK | |
Ryzen 9 4900HS | |
Core i7 10875H | |
Core i7 10870H(レビュー機) | |
Ryzen 7 4800H | |
Ryzen 5 4600H(TUF Gaming) | |
Ryzen 5 4600H | |
Core i7 10750H | |
Core i7 11370H | |
DAIV 5P 2021 | |
m-Book K700 Core i7 9750H | |
mouse K5 | |
HP ENVY X360 13 Ryzen 7 4700U | |
HP ENVY x360 15Ryzen 5 4500U | |
Core i5 10300H | |
ThinkPad E14 Gen 2(AMD) | |
Prestige 15 Core i7 10710U | |
mouse X5 (Core i7 10510UI) | |
ThinkPad E595(Ryzen 5 3500U) | |
ThinkPad X390(Core i7 8565U) |
マルチスレッド性能は3858ptsで、クリエイター向けノートPCとしてはまずまずな結果。インテル第10世代の8コア16スレッドの限界までパフォーマンスを引き出せている感じだ。
Cinebench R23
Cinebench R23の総合スコア | |
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Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 9 5900HS | |
Core i7 10870H(レビュー機) | |
M1 | |
Core i7 11370H |
最新のCinebench R23(Minimum Test Duration OFF)では8コア16スレッドの強さを感じ取れた。マルチスレッド性能は最新のAMD Ryzen プロセッサと比較すると不利だが、動画編集などのタスクは快適に行える水準だ。
Cinebench R23のシングルスレッドスコア | |
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Core i7 11370H | |
M1 | |
Ryzen 9 5900HS | |
Core i7 1165G7 | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i7 10870H(レビュー機) |
Cinebench R23には今回のように1度で性能を測定する方法と動画で紹介しているようにストレステストを含んだ測定方法があるため、スコアの上ぶれ下ぶれが発生する。
クリエイティブタスクの快適性に直結するシングルスレッド性能は1230ptsで、他社チップと比較して若干不利といった結果。とはいえ、実行性能上ほとんど差を感じることはないだろう。
3DMark Time Spy
グラフィックス性能とCPU性能を計測できる3DMark Time Spyでは、グラフィックススコアが8228ポイントで非常に高いスコア。
過去、他社モデルでRyzen 9 5900HS、RTX3060(80W)のモデルで計測した3DMark Time Spyを比較してみると、DAIV 5Nがパフォーマンス重視の設計であることがわかる。
ノートPC用に販売されるGPUは筐体の設計によって実際の性能が大きく異なるため、性能を重視したいのであればDAIV 5Nのような高出力のモデルを検討すべきだろう。
SSDの読み書かき速度
SSDはKingSton製のSSDが搭載されていた。大容量のデータを読み書きさせた際に書き込み速度の落ち込みがほとんどなく、長時間の利用でも体感性能が落ちることはないと思われる。
ただ、頻繁に大容量のデータをやりとりするのであれば、NVMeSSDの最高速度が期待できる上位のSSDにカスタマイズするのもおすすめ。
Adobe Premiere Pro CC動画の書き出し速度検証
過去YouTubeにアップロード用に作成したプロジェクトの書き出し時間を測定。α7R4で撮影したフルHD動画をH264 YouTube1080Pプリセットで書き出し、その時間を検証するというもの。
Premiere ProCCは2021年6月6日時点の最新バージョンに更新、ハードウェアエンコーディングで実施。
- XAVC S FHD24P(50Mbps)
- 動画の長さ15分11秒
- テロップ/カット編集/画像挿入あり
- シーケンス設定は24fps
機種 | 24fpsの書出し時間 |
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G-Tune H5 2021年モデル | 1分38秒 |
DAIV 5N 2021年モデル | 1分41秒 |
ROG Strix SCAR 17 | 2分13秒 |
ASUS TUF DASH F15 | 2分22秒 |
DAIV 5P | 2分56秒 |
mouse K5 | 5分5秒 |
XPS 13(9310) | 6分25秒 |
mouse X5-R7 | 10分29秒 |
MacBook Air (M1) | 10分46秒 |
mouse X5-R5 | 11分22秒 |
弊ブログで毎度おなじみのYouTube動画の書出しでは、処理時間が1分41秒だった。
ソフトウェアの最適化+インテルCPUとソフトの相性+フルパワーRTX3060でエンコード時間が短い。
32GBメモリの効果もあって、RTX3070を搭載したG-Tune H5に迫る性能だ。
Lightroom Classic CCにてRAW現像時間を検証
Adobe Lightroom Classic CCにてα7Ⅱで撮影した24MPのRAWファイル100枚を一斉に書出し、その速度を検証しました。
LightroomClassic CC初期プリセットで画質を100に設定し、デスクトップへ書出し。結果は下記のとおりです。
機種 | 書出し時間 |
---|---|
ROG Strix SCAR 17 | 1分26秒 |
DAIV 5N | 1分26秒 |
G-Tune H5 | 1分36秒 |
XPS 13(9310) | 1分37秒 |
mouse K5 | 1分53秒 |
mouse X5-R7 | 1分57秒 |
MacBook Air(M1) | 1分58秒 |
DAIV 5P | 2分50秒 |
mouse X4-R5 | 3分8秒 |
RAW現像の速度は最新のCPUを搭載するモデルと近しい結果に。今回の検証機は32GBモデルだったので非常に速いスピードで書出しできた。
PCの温度やファンの駆動音
CPU温度
OCCTv8.2.1は、CPU使用率を100%にできるソフトウェアで検証用などで用いられる。
CPUの最大温度は96℃まで。第10世代のインテルCPUはとにかく発熱する。
無償版で1時間動作が可能なため実施したところ、目視していたが、動作周波数は3.8G-3.9Ghzと高い動作周波数を維持していた。
PC表面の温度
この時のPC表面温度は最も熱い箇所でも41.6℃なので、非常に冷却性能が高いことが分かった。低温やけどなどの心配もない。
後方からしっかりと熱を排気していることがわかった。
ファンの駆動音
パフォーマンスモードで最大負荷をかけるとファンの動作音は53.3dbほどになった。全開動作じは非常に不快な音で遮音性の高いノイズキャンセリングに対応したヘッドセット、イヤフォンの利用をおすすめ。
また、パフォーマンスはおちるが、静音モードやバランスモードなどファンの動作音をコントロールする機能もあるため適宜調整するとよい。
DAIV 5N2021年モデルの評価とまとめ
良い点
- フルパワーRTX3060で他社RTX3060搭載モデルよりも性能が高い
- sRGBカバー率98.5%の広色域パネル搭載で
- パフォーマンスをフルに発揮できる冷却性能
気になった点
- Thunderbolt 3非対応になった
- ファンの最大動作音がうるさい
マシンパワーを重視して動画編集用のノートPCを検討している人におすすめ
PC本体のデザインが業務用感をかもしだしているが、そこも気にならなければ非常に高いパフォーマンスを持つ高性能クリエイティブノートPCとしておすすめできる。
個人的に気に名になった点はやはりファンの動作音で、最大53dbは室内で使っていると非常にうるさく感じた。動画編集時は静音モード、エンコード時はパフォーマンスモードと、使い分けることによってストレスなく使うことはできそうだが、作業環境も大事だと考えている人は注意が必要。
また、搭載USB-CがThunderbolt 3ではなくなったため、対応機器を利用して高速なデータ転送を行いたいユーザーも注意が必要。
とはいえ、DAIV 5Nは最大130W出力で動作するRTX3060を搭載し、動画編集時のエンコード時間は短い。
動画編集などのクリエイティブなタスクにおいてはRTX3070やRTX3080搭載した他社のノートPCとそん色ないパフォーマンスが期待できるため、お得感がある。このDAIV 5Nのマシンパワーに魅力を感じる人におすすめのノートPCだと思う。
DAIV 5N 2021年モデル
公式サイトで確認なお、価格や仕様は変更となる恐れがあるため必ず公式ページにて確認を。
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