ROG Strix Scar 15 G532LWSの特徴
ASUSが発売するROG Strix Scar 15は昨年発売されたG531シリーズで定評のあったBMW Designworksとの共同開発のデザイン、そして圧倒的なパフォーマンスを発揮するための設計です。インテル 第10世代プロセッサの最上位CPU Core i9 10980HKとRTX2070Superおよび、eSportsに必須な300hzの高リフレッシュレートモニターを採用しています。
メーカーより実機をお借りしたので検証結果と僕の感想を記載します。上記動画でも解説していますので是非参考にしてください。
BMWDesignworksと共同設計されたボディ
近未来感を表現する独特なデザインは高級外車で有名なBMWのデザイン部門BMWDesignworksとのコラボレーションで生まれた形です。
個人的にBMWで印象に残っているのは(1回だけ運転したことがあります)、スマートな一面よりもフロントグリルで、ROG Strix Scar 15についても同様な気がします。PC下部に備え付けられたライトバーは近未来感を表現しています。サメのエラからヒントを得たデザインは、やはり豪快。
前モデルから採用された、個人データプロファイルの格納のためのツール「Keystone(キーストーン)」を装着可能な右側部のみ、縦にラインが入っています。ちょうどPC本体を印象付けるガイドライン的な役割を果たすため、目線は自然とヒンジ部に誘導されます。
好みはわかれそうですが、独特な構造で唯一無二な感じがします。コストもかかっていそうです。
300hz,3msのゲーミングモニター搭載
ASUSは世界最高クラスの液晶モニターをROG Strix Scarに搭載しました。300hzは一般的なゲーミングモニターよりもさらに高リフレッシュレートです。
搭載されているグラフィックスチップはNvidiaのGeForce RTX2070Superで、人気のバトルロイヤルゲームにおいて、中画質に、さらに画質調整を施すと240fpsオーバーの描写は可能なので実用的だと思います。
こうした高リフレッシュレートなモニターはプレイヤーの腕前に関係なく、キルデスレートがあがる=ゲームが有利になる、というデータをNvidiaが膨大な量のハイライトから導き出しました。eSportsやストリーマーには必須のモニターです。
ROG Strix Scar 15 G532LWSはAmoury Crateからパネルオーバードライブの設定が可能。3msの応答速度で動作します。
Core i9 10980HK搭載で最強クラスの性能
ROG Strix Scar 15 G532LWSは8コア16スレッドを有するノート用最強クラスのCPUを搭載しています。基本設計は14nmプロセスのままですが、最大動作周波数は5.3Ghzとハイフレーム時の実行性能はいまだRyzenよりも上。
加えて、ASUSでは、冷やしづらい最上クラスのCPUを効率的に冷却すべく本体設計だけでなく、CPUグリスにも着手しました。
自作PC界隈で定評のあるサーマルグリズリー社のCPUグリスを塗布することで通常のモデルよりも冷却効率を上げています。
搭載メモリーはSamsungのDRAMを搭載した高クロックなメモリでした。
Cinebench R20
データは過去当サイトで計測した結果を記載しています。当記事では、ベンチマークはROG Strix Scar 15 G532LWSをターボモードにして計測を行っています。
Cinebench R20の総合スコア | |
---|---|
Ryzen 7 3700X | |
Core i9 10980HK(レビュー記) | |
Ryzen 9 4900HS | |
Core i9 10980HK(比較機) | |
Ryzen 5 3600 | |
Core i7 9700 | |
Core i7 9750H | |
Ryzen 5 3500 |
CPUのレンダリングスピードを計測するCinebench R20では、4312ptsでした。シングルコア性能も487ptsで非常に高い数値だと思います。
同じCPUを搭載しているmsi社のGE75Raiderよりも1割ほどスコアですのでROG Strix Scar 15 G532LWSのほうが冷却性能が高いといっていいでしょう。メモリや冷却性能が影響していると思われます。これにより、本当の意味で最強クラスというわけです。
ASUS ROG Strix Scar 15
公式サイトで確認ROG Strix Scar 15 G532LWSのスペック
今回は下記のような構成で性能を検証しています。
ROG Strix Scar 15 G532LWSスペック | |
---|---|
モニター | 15.6型(1920×1080ドット)300hz/3ms ノングレア |
CPU | インテル Core i9 10980HK |
iGPU | Intel UHD |
dGPU | Nvidia RTX2070Super |
メモリ | 32GB(DDR4-3200) |
SSD | 2TB(RAID 0) |
インターフェース | HDMI×1/USB3.1 Gen2 Type-C (DP1.4/)/3.5mmオーディオジャック/USB 3.1 Gen2 Type-C/USB3.0 Type-A×3 /セキュリティスロット/オーディオコンボジャック |
フロントカメラ | なし |
ワイヤレス機能 | Wi-Fi 6 Bluetooth 5対応 |
サイズ | 360×275×21-24.9mm |
バッテリー連続動作時間 | 約8時間 |
重量 | 約2.35kg |
保証 | 12か月間のメーカー保証・グローバル保証・ASUSあんしん保証 |
ASUSは購入後1年間のグローバルに対応したメーカー保証が付帯、そして2020年5月よりスタートした、ASUSのあんしん保証に加入可能です。
ASUSのあんしん保証はASUSのメンバーシップサイトMy ASUSに登録が必要ですが、非常に手厚い保証となっていますので、故障がちらついてハイエンドゲーミングノートPCに手が伸ばせないという方はこちらも一緒に検討しましょう。別途追加費用を支払うと保証期間を3年に伸ばせます。
ゲーム性能
msiのソフトウェア「afterburner」のベンチマーク機能を使い、1秒間に表示される画、いわゆるフレームレートを計測。平均フレームレートを算出します。
高グラフィックのゲームタイトルでは60fps以上で快適、シューター系ゲームでは100fps以上で快適と、当サイトではさせていただいております。
フォートナイト/PUBG/Apex Legends
フォートナイト
フォートナイトは、実際にソロでプレイを5分程度行い、その平均フレームレートを計測しました。(スカイダイブ時も計測しています。)プレイ内容を完全再現できないのであくまで参考程度の指標としてとらえてください。
画質はプリセットの「最高画質」「高画質」「中画質」を選択しました。
フォートナイトシーズン2の平均フレームレート | |
---|---|
フルHD(1920×1080ドット) | |
エピック(最高画質) | |
高画質 | |
中画質 |
人気ゲームタイトル『Fortnite』は最高画質で138fpsでした。最高画質でも十分にプレイ可能です。
中画質まで調整すれば300hzモニターも扱える性能があります。さらにハイフレームで安定させることも可能だと思います。
PUBG
PUBGはトレーニングモードで建物周辺を5分程度集会した平均を算出。
おそらく、実際のゲームプレイでは、平均で10fps以上上下するものと思われます。テストモードでの集会はプレイヤーの数によってフレームレートがブレますのでこちらも参考程度に。
プリセットは、「ウルトラ(最高画質)」「高画質」「中画質」を選択
PUBGではウルトラで156fpsでした。PUBGのトレーニングモードに関しては、周囲のプレイヤーの人数や攻撃を受ける回数によって上下してしまいます。
中画質までおとすと184fpsまで向上。300hzを狙うにはさらに画質調整が必要です。
ApexLegends
ApexLegendsのトレーニングモードで5分ほどマップを周回、フレームリミッターを解除し、垂直同期をオフにして、「アンチエイリアス」「テクスチャストリーミング」「テクスチャフィルタリング」、「アンビエントオクルージョン品質」を1段階ずつ引き下げ、最高画質、高画質、中画質として記載します。
ApexLgendsの平均フレームレート | |
---|---|
フルHD(1920×1080ドット) | |
最高画質 | |
高画質 | |
中画質 |
ApexLegendsでは比較的順当な結果になったかな、と。
フォートナイトやApexLegendsはソフトウェアの最適化が進んでいる中級クラスのゲームタイトルです。低画質~中画質でテクスチャ設定をもう少し控えめにすれば、300hzモニターの性能を活かしきれると思います。プレイが可能と思われます。
重量級ゲームタイトル/MHW/SOT
モンスターハンターワールドは、重量級ゲームタイトルの筆頭です。DX12オフ、垂直同期をオフにし、各プリセットにて1-1のマップを5分ほど周回しました。
選択画質は「最高画質」「高画質」「中画質」です。
最高画質でも84fps以上で駆動していました。
MHWはシューター系のゲームではないため、60fps以上でプレイできれば概ね快適とされています。最低フレームレートは47fpsでしたので、最高画質でのプレイもこなせます。高画質で安定といった感じ。
シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダー
シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダーのベンチマーク機能を使って、最高画質、高画質、中画質のプリセットを計測。
選択画質は「最高画質」「高画質」「中画質」です。
同じく重量級ゲームタイトルのシャドウオブザトゥームレイダーでは最高画質でも103ps以上で描画可能です。
デスクトップ用RTX2070Super搭載機との比較
FF15 FHD 高品質スコア | |
---|---|
ROG Strix Scar 15 G532LWS | 8909 |
RTX2070Super(デスクトップPC) | 9467 |
Radeon RX5700(デスクトップPC) | 6412 |
デスクトップPCのGPUと比較してもそん色ないスコアが出ています。
ゲーム性能まとめ
ROG Strix Scar 15 G532LWSはフルHDの解像度で設定すれば300hzのパネル性能を十分に発揮できるとともに、高グラフィックで描写されるゲームタイトルにおいてもUWQHDや4Kでも十分にプレイ可能だと思われます。
RTX2070SuperモデルとしてノートPCのパーツで構成されたモデルとしては最高峰の性能を発揮します。
クリエイティブ性能
クリエイティブ性能はPugetsystems社のベンチマークソフトPugetBenchを使ったテストを行い、デスクトップPCの最上位クラスと比較します。
PugetBenchは決められたタスクを処理させ相対的な性能を計測します。
PhotoshopBench
PhotoshopBenchでは基準であるデスクトップPCに迫るスコアでした。特にグラフィック性能が大幅にアップしているせいか、レンズフィルターを用いた処理が高速化しているようで。100点以上でした。
一方で一般的な処理速度、メモリーなどが多く関係する箇所では、7割程度に収まっています。
とはいえ、Photoshopに関してデスクトップPCと同等以上の性能があるといえます。
PremierePro
PremierePro Benchはハリウッドで使われる超高級シネマカメラの10bitRAWで撮影された4Kや8K素材データの書出しやプレビューを測定します。個人的なソースですが、50点くらいでYouTubeの動画編集は快適だと感じられるはずです。
ガチガチのプロユースを想定してベンチマークテストが作られているのでテスト結果は厳し目ですが、フルHDの動画編集程度ならば、HP ENVY 15でも可能。 ROG Scarなら4K動画の編集も十分にこなせる性能があります。
LightroomClassicBench
lightroomclassicCCではほとんどCore i9 9900Kを搭載したワークステーションと同等クラスの性能が出ていました。アクティブスコアはいわゆる高画素カメラのプレビュー、スクロールのスピードで、こちらがやや低いのですが、プロユースでも体感的にほとんど差を感じられない程度だと思われます。
クリエイティブ性能まとめ
ROG Strix Scar 15 G532LWSはデスクトップワークステーションに迫る性能を併せ持った怪物級のノートPCです。ROGシリーズはゲーミングノートPCとして販売されていますが、4K動画の編集などにも使えるでしょう。
デザインについて
ROG Strix Scar 15 G532LWSは近未来を表現したLEDライトバーが特徴的なノートPCです。
冷却効率を上げるための台形カットや天面部のラインはシャープな印象を与えます。(とはいえ大きいんですけどね。)
ライトは光らせないことも可能です。グレーを基調としたカラーリングで武骨なイメージ。既に紹介していますがヒンジ部がアクセントとなり世界観を表現しています。
背面からはボディ本体がうっすらと透けてみえるような穴が開いていました。内部の銅製パイプがうっすらと見えます。
重量
ROG Strix Scar 15 G532LWSの重量 | |
---|---|
本体 | 2.338kg |
本体+AC | 3.344kg |
280Wの電源と合わせると3kgオーバーと携帯性は決して高くはありません。
いざという時に持ち運ぶことはできますが、基本的に家で置いて使うタイプのゲーミングノートPCです。
液晶モニターについて
ナローベゼルデザインを採用したモニターは、おそらくIPSパネルで色、視野角ともに良好でした。
色域・トーンカーブ
シャドウ部分(画面の暗いところ)が少し持ち上げられています。ひょっとしたらゲーム時に暗いマップでの索敵性能をほんと少しだけあげてくれる工夫がされているのかもしれません。
肉眼だとコントラストが強めに感じました。
色域を計測したところsRGBカバー率は99.5%でした。コンテンツクリエイトにも使えるほど広い色域を持ったパネルです。
ROG Strix Scar 15 G532LWSの色域 | |
---|---|
sRGBカバー率 | 99.5% |
Adobe RGBカバー率 | 74.2% |
キーボード・タッチパッド
15.6型のオーソドックスなサイズ感ですが、USキー仕様です。日本語仕様が欲しい方はTUF GamingやZephyrusシリーズを検討するとよいでしょう。
テンキーは非対応ですがタッチパッドの右端をタップするとナンバーパッドが出現します。ゲーマーはゲーミングマウスを買うでしょうから、実質テンキー付きといってもいいと思います。
キーのタッチ感ですが、ストロークが浅めのタイプでクリック感があります。一般的なノートPCよりも打ちやすさを感じますが、USキーに慣れていない人は大変かもしれません。
ゲーミングノートPCは残念なタッチパッドが多いのですが、 ROG Strix Scar 15 G532LWSは比較的使いやすい独立ボタンを採用しています。深めで柔らかいクリック感で操作性は良いと思いました。
インターフェース
ROG Strix Scar 15 G532LWSは右側部にインターフェースをなくすことで、排気した熱が手に当たらないようユーザビリティを高めています。
そのため、奥側と左側にポートが集中し、簡易的なデスクトップ環境が作りやすいようになっています。
左側部
- USB-A 3.0×3
- オーディオコンボジャック
右側部
- キーストーン
奥側部
- Ethernet
- HDMI
- USB-C(Thunderbolt 3)
- DCジャック
となります。
キーストーンはアクセサリーのようにカラビナとセットになっていますが、ここから外すとPCに装着可能です。プライベートファイルの保護が可能になります。映画に登場するアイテムのようなイメージ。
動作音・PC内部の温度
ファイナルファンタジー15のベンチマーク実行時、パソコンの排気音や熱を測定しました。
ファンの動作音
50.0dbでした。
ピーク時のファンの動作音 | |
---|---|
サイレント時 | 約43.6db |
ターボ時 | 約53.9db |
ファンは非常に豪快な音が鳴ります。ヘッドセットをつければ気にならない程度に調整されていますが、最大パフォーマンス時はかなり大きい音が鳴ります。
PCの表面温度
表面温度は35.7℃。ご覧の通り、熱は後方および右側から放出されます。ゲーミングマウスを使う場合でも、近距離で使わなければ全く熱くないと思います。
PC内部の温度
ターボ時の温度ですが、CPUが100℃付近で動作しています。ノートPCとしてはあまりよろしくありません。GPUは80℃以下でしっかりとコントロールされていました。
ROG Strix Scar 15 G532LWSの評価とまとめ
良い点
- 4K動画編集にも十分可能
- 300hz液晶搭載でeSportsに最適
- 同ランクの他社機よりもパフォーマンスが高い
- 先進的なライトバー装備でゲーミングPC感が強い
気になる点
- ファンの動作音
- CPU温度
クリエイターにもおすすめできる最強クラスノートPC
個人的にデザインは賛否あってしかるべきな感じで、ドイツ車ってこんなかんじだよなぁみたいないかつい感じです。
性能は同じCPUを搭載した他社のマシンよりも上なので、最強のノートPCは?と言われたら真っ先にROG Strix Scar 15 G532LWSを指名するでしょう。
ただし、CPU温度とファンの動作音はやはり切り離せないためこの点は注意が必要です。特に熱はPC故障の原因ともなるため、ハードにゲームのプレイを行う方はASUSのあんしん保証必須です。
ASUS ROG Strix Scar 15
公式サイトで確認価格や仕様は変更となる恐れがありますので、必ず公式ページでご確認ください。