大学生時代にMacBook Pro15 retinaを初めて購入した時の感動は今でも鮮明に覚えている。
当時、まだ僕がAlienwarem11 R2と同時並行で使っていたノートPC。洗練されたデザインや新たなユーザーインターフェースは心が震えるほどの感動でした。
今回、ZenBook Pro 15をメーカーからお借りして開封した際、またしてもそのような気持ちになってしまったので、正直、この製品をどう紹介しようか混乱している中でキーボードをたたいているわけです。
ということで、今回は究極の体験を与えてくれるノートPC『ASUS ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)』のレビューです。
ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)の特徴
動画で確認する
10分弱でまとめました。特徴を解説しています。サクッと見たい方はこちらをどうぞ
ZenBook Pro 15 UX580の『特徴』は非常にシンプルです。
現存するコンシューマー向けの最高ランクのノート用CPU『Core i9 8950HK』に汎用性が高いGPU『GeForce GTX1050Ti』を搭載したノートPCです。
ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)が快適に行える作業
クリエイター向けに特化されたユーザーインターフェースやASUSの『ScreenPad』、高品質なタッチパネルディスプレイを搭載するなど、ケチのつけどころが一点もない贅沢な構成で、これから紹介する僕が行った検証結果では下記作業を非常に快適に行えるノートPCということがわかりました。
- Adobe Photoshopを使った写真の補正
- Adobe lightroomClassic CCを使ったRAW現像
- 主要オンラインゲームの中画質プレイ
- 動画編集ソフトによる書き出し
ほかにもイラスト マンガ制作ソフト・アプリ CLIP STUDIO PAINTも得意とするところです。
ZenBook Pro 15 UX580GEスペック
OS | Windows 10 Pro 64ビット |
---|---|
モニター | 15.6インチ(3820×2160ドット)・タッチ対応・IPS |
CPU | Core i7 8950HK |
GPU | GeForce GTX1050Ti(Optimus Technology対応) |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 1TB SSD(NVMe) |
ODD | – |
通信機能 | 無線 IEEE802.11 ac/a/b/g/n + Bluetooth 4.1モジュール内蔵 |
インターフェース | USB3.1(Gen2)×2/USB 3.1 Type-C(thunderbolt)×2/オーディオジャック×1/マ/HDMI×1/microSDカードリーダー |
サイズ/重量 | 365x242x18.9mm/2.01kg |
バッテリー | 約4.7時間 |
オフィス | 別売り |
カメラ | 30万画素 |
保証 | 購入日より12ヵ月間のインターナショナル保証 |
ラインナップと価格
型番 | UX580GE-8950X | UX580GD-8750 |
---|---|---|
CPU | Core i9 8950HK | Core i7 8750H |
メモリ | 16GB | 16GB |
SSD | 1TB | 512GB |
バッテリー | 4.7時間 | – |
重量 | 2.01kg | 2.01kg |
価格 | 379,500円 | 225,000円 |
保証 | 購入日より12ヵ月間のインターナショナル保証 |
下位モデルは2019年3月現在、ASUS公式Storeで見つけられませんでしたが、販売は行っているそうです。
さて、書きたいことは多いものの、やはり外観からの紹介からしていきます。
本体外観・デザインについて
ASUSが付けたディープダイブブルーというカラーリングは、ブルーというよりはブラックに近い色です。
天板にはASUSおなじみのデザイン、スピン加工。
側面はダイヤモンドカットが施され、ローズゴールドを配色として取り入れています。エッジが効いていて、より一層存在感を引き立てています。
キーボード側は斜めにヘアライン加工が施されています。
ロゴもゴールドカラーで渋すぎる。しかも全く目立たないんです。このこだわり方がすごい。
ZenBook Pro 15UX580は細部までこだわったつくりだと感じました。ディテールにまでこだわって作られた製品というのは、見ているだけで楽しくなりますね。
超高色域なディスプレイ
クリエイターに必要な”モノ”は性能だけではなく、自分の目で見る情報が正しくなければいけません。
ZenBook Pro 15に搭載される液晶ディスプレイは、Adobe RGBカバー率99.9%(実測値)の広い色域を持つ4K液晶ディスプレイを搭載しています。
キャリブレーションツールにてICCプロファイルを作成したのち、『ColorAC』にてプロファイルを比較しました。
結果、フォトグラファーに必須ともいえる色域Adobe RGBを99.9%カバー、そしてウェブコンテンツ制作者にとって必須なAdobe sRGB対比で141.5%という結果を見て驚愕しました。
それもそのはず、作られたカラープロファイルの名前を見る限り、パネルは台湾モニターメーカー大手『BenQ』にも採用されるAUO社(AU Optronics)のパネルが採用されていました。
実際、コスパが高いといわれるBenQでこのクラス(4K+Adobe RGB100%カバー)の液晶ディスプレイを購入する場合の市場価格は約15万程度(BenQのSW271)です。
つまり、モニターサイズを考慮しなければ、ZenBook Pro 15は15万円クラスのモニターが搭載されているとかんがえてよいです。(ただ、ハードウェアキャリブレーションには対応していないなど、外付けモニターの優位性まで含めるとこの金額比の有効性は難しいですが…あくまでニュアンスでね。)
もし、このPCと一緒に外付けモニターを購入するのであればBenQ一択ですね。
発色
トーンカーブを再現したところ、ほんの少し赤が強めに出ていましたが、良好です。自然な発色を目で確認できます。
グレアIPSパネル
視野角の広いIPSパネルです。真上から撮影しても見え方が変わることはありませんでした。
ただし、グレアパネルを採用しているため、映り込みがあります。
ASUSタッチペン対応
別売りの『ASUSペン』は1024段階の筆圧感知が可能です。UX580GEはタッチパネルですので、アイデアやスケッチをパソコンに直接書き込めます。
性能
Core i9 8950HK
ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)に搭載されるCore i9 8950HKといえば、MacbookPro 15インチにも搭載されるノート用最強のインテルCPUです。
CINEBENCH R15
パフォーマンスは1217cb。
プロ用編集ソフトで動画をYouTube用に書き出し
プロ用動画編集ソフト『Vegas Pro15』を用いて実際にYouTubeにアップロードした元データを使ってレンダリング=書き出しを行い、その速度を検証します。
動画に用いられたデータは5分程度のFHDファイルと、テロップ、アニメーション有り、『Vegas Pro インターネットHD1080p59fps』フォーマットに変換
CPU単体処理
QSV処理(CPU+iGPU)
ハードウェア | CPU単体 | QSV |
Core i9 8950HK | 14分08秒 | 9分43秒 |
Core i7 8700(m-BookG) | 17分34秒 | 12分57秒 |
Core i7 8550U(B400H) | 32分46秒 | 15分41秒 |
Core i5 8250U(Pavilion CS) | 30分07秒 | 13分55秒 |
デスクトップ用CPU Core i7 8700を大きく短縮する結果となりました。もちろんほかのノートPCとの差は歴然。
上記のCore i7 8700はマウスコンピューターのm-Book GというデスクトップCPU搭載可能なノートPCと比較したのですが、ノート用最上位モデルは伊達ではなく、実際のパフォーマンスにしっかりとその価格差が反映されていたため安堵しました。
RAW現像
Adobe Lightroom Classicにて、α7Ⅱで撮影したRAWファイル(1枚あたり24Mb)を100枚JPEGに書き出しするスピードを計測したところ1分50秒でした。
スペック | 書き出しにかかった時間 |
Core i7 9700K メモリ16GB(DGZ530) | 1分24秒 |
Core i9 8950HK メモリ16GB | 1分50秒 |
Core i7 8550U,メモリ8GB | 4分17秒 |
流石に第9世代のCPUを搭載したデスクトップPCには負けますが、それでも最新のデスクトップ級のパフォーマンスはあると思います。
ゲーミングパフォーマンス
今回ゲーミングパフォーマンスは下記記事にて詳細に記載しました。
Adobe PhotoShopの相対的な性能
クリエイター向けソフトAdobe PhotoShopの相対的な性能を計測した結果を記載します。
この結果は、米国のPuget Systemsより無償公開されている『Adobe Photoshop CC Benchmark』で、Photoshopで代表される処理にかかった時間を計測し、スコア化します。このベンチマークは現存するコンシューマー向けの最高性能をもつCPUをベースの1000点(Overall Basic Score)とし、計測したPCがどの程度の性能をもつPCなのか、大まかに判断するものです。
ZenBook UX580では、709点でした。ベースとなる点数はCore i7 9900K+64GBのメモリとしているためわかりづらいかと思いますので、僕の自作PCと比較してみました。
Adobe Photoshop CC Benchmark | |
---|---|
Core i9 8950HK メモリ16GB GTX1050Ti | |
Ryzen 7 2700X メモリ16GB GTX1060(6GB) |
ノートPCとデスクトップPCではメモリーの影響を受けますから、ややスコアが僕の自作PCの方が高いです。
ベンチマーク結果や上記の動画の書き出しなどの時間を考慮すると、ZenBook Pro 15 UX580GEはコンテンツ制作処理においてCore i7 8700~Core i7 9700Kの間くらい、高性能デスクトップPCクラスの性能を発揮します。Adobe系の画像編集ソフトは超快適に使えますよー
既存の15.6インチと同じ筐体サイズで、最高クラスの液晶ディスプレイを有している唯一無二のノートPCといえるでしょう。
バッテリーもち
PCMark8という、高負荷をかけつづけるベンチマークテストの結果で2時間31分でした。ウェブ閲覧などでは、4時間半~5時間程度は持つと思います。が、4KディスプレイはやはりACとの接続必須だと思います。
SSD
Samsung 3bit MLC V-NAND採用M.2 2280 NVMe SSD PM961シリーズが搭載されていました。3000mb/sと非常に高速。(ちなみにゲームのダウンロードしまくってて容量がやばいのは内緒だぞ。)
このSSDは市場からの評価がめちゃくちゃ高いです。
キーボード
キーピッチ(キーの中心から隣のキーの中心まで)は実測で約19mmほど1.5mmのキーストローク(キーの沈み込み)を持つキーボードです。
タイプ感は高級マシンにふさわしいシャキシャキとした押し味です。バタフライメカニカルではない Macbookシリーズと非常に似ている。ノートPCとして最高のうち味。
おそらく、Macのキーボードは打鍵圧の強いオジサンからは嫌われているけれど、若い人は好きだと思うんですよね、だから若い人はZenBook Pro15に触ってほしいんです。世界が変わる打ちやすさのノートPCです。
ScreenPad
ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)を語るうえで外せないのがASUSが開発した『ScreenPad』です。
感覚的なものでいうと、Androidの一番上をスワイプしたら使えるウィジェットがタッチパッドについたような感じ。
Zenfoneで培ったZenUI要素をふんだんに盛り込んでおり、すごくわかりやすいので初見で誰でも使いこなせます。
spotifyが一発で呼び出せるのは個人的に「最高かよ!」と思いました。
ScreenPadは本当によくできていて、ウザいと思ったらF6で消灯することもできるし、逆にお気に入りの壁紙も設定できる。
ScreenPad、拡張ディスプレイ、タッチパッドと切り替えが可能。前述の『ScreenPadモード』はタッチパッド+Androidウィジェットみたいなイメージが僕としては一番しっくりくる。
で、本当にすごいのはここからで、
ディスプレイの拡張が行えるんです。ZenBook Pro15UX580GEは本体の画面+ScreenPadで最大2画面まで表示が可能。つまり1台で2枚のモニターってことなのです。
もちろん、タッチパッドの大きさがそもそも大きくないため、これを利用する場合、マウスカーソルが非常に使いづらくなるし、ウェブサイトの閲覧では、視認性はあまりよくないです。
また、これをするとマウスカーソルの移動が遅くなるし、タッチはなかなか慣れるまで時間かかるような操作感だったので、外付けのマウスは必須なのですが…
例えば、株のトレードをする人は拡張したScreenPad画面にチャートを表示させたり、イラストレーターはここにイメージする写真なんかを配置しておくことで、作業効率がかなり高まる。(と、思う。)
インターフェース
左側面
- 電源(DCジャック)
- HDMI
- USB Type-C×2
右側面
- 3.5mmオーディオジャック
- MicroSDスロット
- USB3.1 (Gen2)×2
USB Type-Cはthunderbolt対応となっており、データ転送、充電、画面出力が行えます。
高負荷時の本体温度
動画書き出し検証を行った際のCPU温度を計測しました。
Core i9 8950HKは最高温度が100℃です。パフォーマンスも高いのですが、温度も高い。サーマルスロットリングがでる原因ともなるので、4K動画の編集などは別売りクーラーをつけるなどして、対策を行えばさらにパフォーマンスがでるのではと感じました。
一方、本体表面の温度はCPU温度ほどでもありません。サーモグラフィで本体表面温度を計測したところ、液晶ディスプレイのつなぎ目で49.2℃(4Kモニター搭載モデルとしては普通)
キーボード部で35.2℃。ZenBookシリーズはデュアルファンを搭載しているため、キーボードの左右が極端に温度が低いのはそういった理由です。
ここまで熱対策しているのに、CPU温度が上がってしまうのはPC本体というよりもインテルCore i9 8950HKの発熱がすごいんだと思います。(実際MacBookProではサーマルスロットだしちゃってましたし)
これだけのパフォーマンスがでることと、本体の大きさを勘案すればPC本体の排熱機構は優れていると思います。
重量
本体重量は実測値で2.0kg、AC合わせて2.5kgなので、持ち運びにはやや厳しめの重量。
ですが、デスクトップ級の性能を持つと考えると非常に利便性の高い重量です。僕個人の意見ではありますが、2kgまではバックパックを使えばギリギリ許容してもいいかなと考えています。
ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)の評価
ZenBook Pro 15 UX580GE(UX580GE-8950X)の評価 | |
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価格 | 高い、30万を超えると税法上でも償却が面倒 |
性能 | 全てのパーツが高次元で非常に高い |
携帯性 | 対MacBookProで考えると普通。市場のノートPCのなかでは重い部類 |
液晶 | 市場の全液晶モニターと比較しても高性能。 |
デザイン | ASUSらしい人を惹きつけるオシャレなデザイン。とても良い |
実際問題、金額がウルトラハイエンドノートPCのなかでも高めの値段設定で”個人”としては手が伸びづらい金額。
とはいえ、前述した液晶ディスプレイの性能などをみると決して割高ではないと思いますし、ScreenPadのギミックなど未来を感じさせてくれる製品ですから、お金を払う価値はあると思います。(少なくとも僕は開封して起動したあと1時間は「このノートPCはやばい」という独り言を発言し続けていたくらいはわくわくさせてくれます。)
さらに付け加えるのであれば、Windowsの反応速度が他社PCと比較しても早く感じました。ふと思い出したのですが、元PC雑誌編集のこまめブログのこまめさんがSurface Studio 2(Surfaceシリーズの上位モデル)のレビュー記事で下記のような感想を持っていたことを思い出しました。
実際に使ってみるとわかるのですが、とにかくWindows 10の反応がすごくいいのです。ウィンドウやメニューの表示が速いとかソフトの起動が速いとかだけでなく、なんだかよくわからないけどとにかくサクサク動きます。まるでこちらの行動を見通して、先回りしているようです(気のせいに違いないのですが)。
おそらくコンマ何秒かの違いなのでしょうけれども、Windows 10の総合的な体感速度という点では圧倒的に優れています。そりゃそうですよね、なんて言ったってマイクロソフト製ですし。ちょっとズルイんじゃないですかね。-こまめブログ
感覚的なものなのでどこがどうって説明はできないのですが、他のPCと比較しても体感速度が違うんです。もしかしたらSurfaceはこれ以上なのかもしれないですが…
デザインや性能などのディテールにこだわりを持ちつつも、上位のデスクトップPCと同等性能を持つノートPCですので、鋭敏な創造力を発揮したいフォトグラファーやデザイナーにおすすめしたいノートPCです。(ビジネスで使えば減価償却できる!!)
また、UX580GD(Core i7 8750H)でもコンテンツクリエイトにおいて、パフォーマンスが大幅に変わるといったことはないでしょうから、予算と価格の開きがある場合は、UX580GDを検討するのもありかもしれません。
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